はじめに
株式会社日本資産総研コンサルタントの大野晃弘です。
今回のコラムのテーマを選定するにあたり、現在、数多くの不動産投資に関する書籍が出版され、皆様も大変勉強されていることから、なるべくコンサルティングの現場からフィードバックしたものをコラムにしたいと考えました。
そこで、現在の金融危機・不動産不況の中、2008年7月から12月までの6ヶ月間で取引した、合計7棟・19億円(平均利回り10.7%)の収益不動産の取引事例や現場の話をもとに、全7回にわたり、最新の収益不動産購入戦略・戦術について書いて参りたいと存じます。
本コラムが皆様の今後の不動産投資においてお役に立てれば幸いです。
第1回は導入編として「景気の三気と昨今の不動産市況」についてです。
景気の三気(不動産・建設業界の場合)
【問題】
私がセミナーを開催する際、受講者の皆様とコミュニケーションをとる一環で、このような質問をしています。
開催毎に、すぐに回答が出る場合と出ない場合、また受講者から「空気?」・「熱気?」・「活気?」等、色々な回答があり、私自身大変勉強になることがあります。
さて皆様、お分かりになりましたでしょうか?
答えは「人気」・「天気」・「元気」です。
【人気】
不動産は「1に立地、2に立地、3,4がなくて5に立地」といわれています。
新聞やニュースで皆さんご存知のとおり、地価において首都圏と地方では二極化が鮮明になっております。
収益不動産における入居率は、人気のあるところには空室も少なく、将来売却を考えた際も、人気のあるところは早期に売却しやすいことは言うまでもありません(もちろん適正な価格設定は必要です)。ですから、不動産投資をする際は、交通面等含めて人気のある場所に投資していくことが重要になってきます。
【天気】
2005年8月下旬と少し前のお話ですが、あの米国ルイジアナ州ニューオリンズ市内の8割を水没させた「ハリケーン・カトリーナ」のことを覚えていますでしょうか。
この「ハリケーン・カトリーナ」は、2004年より中国における需要増大等によって原油価格の上昇が続いたものを更に高騰させた要因です。
当時7月末頃には世界の原油の指標であるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)が1バレル(約159リットル)あたり約60ドルだったものが、8月30日には、当時、一時史上最高値の70ドル超を記録して話題となり、インフレの引き金となりました。
このWTIは、今現在は40ドル前後(平成21年2月現在)になっておりますが、昨年の7月11日には史上最高値147.27ドルを記録し、その上昇過程で各商品類は高騰し、建設業界では建材価格を押し上げることとなりました。
その結果、建築費に反映して、デベロッパーをはじめとする建設会社の足かせとなり、現在の状況を招いており、各商品類の価格が下がりつつある現在もなお引きずっている状況です。ですから、天気はとても大事な要因なのです。
【元気】
こちらは、スバリ業界が元気かどうかです。
今は正しく、不動産・建設業界に元気はありません。
私が、顧客やセミナー参加者の皆様に、業界に元気がある場合には、「売り」の時期、元気がない場合には「買い」の時期とお伝えしています。
ですから、よくお客様に「今は、買い時ですか?」と質問されますが、私は「今が買い時です。」と、この「元気」の話と取引実績に基づいてお答えしております。
この連載について
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世界金融危機・不動産不況の真っただ中。自ら戦略を立て、コンサルティングを実施し、半年で19億円の取引実績を誇った大野晃弘さん。「不景気な時代にどう動くべきか」という購入の戦略と戦術を、事例を交えてお伝えします。
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