昨今の不動産市況

今、振り返ると2007年9月から不動産・建設業界は右肩下がりになったといえます。
そして、2008年7-9月から大荒れの状態へと変化していきました。

2007年夏前までは不動産ファンドバブルで、東京のある地域の土地・建物の価格が異常に上昇していたのを覚えています。そして、サブプライムローン問題により2007年9月頃から急に取引が成立しなくなった話を聞くようになりました。

当時、私は恥ずかしながらサブプライムローン問題がここまでの不動産市況に影響を与えるとは思ってもいませんでした。

ですが、このサブプライムローン問題に端を発し、金融機関の融資姿勢が変化しました。
当時、不動産ファンド会社はファンドを組成して、ある一定の利回りで購入していたので、収益不動産を取り扱う企業は「出口はファンド会社へ」という方程式ができていたのですが、この融資環境の変化により一気に状況は変わりました。

そして業界全体は不況となり、それを受けて更に融資は急ブレーキがかかりました。
この影響により、仕入れて販売する不動産・建設業者は在庫過多に陥り、資金繰りが悪化したことによって、数多くの会社は破産宣告・民事再生への道を辿っています。

2008年8月13日のアーバンコーポレイションの民事再生手続開始(負債総額2,558億円)は記憶に新しいところです。

一方、出口であった不動産ファンド会社は、不動産の流動化・証券化によって急成長を遂げました。その不動産ファンド会社の出口戦略を簡単に申し上げると、

  1. ファンド会社からファンド会社へ売却
  2. リファイナンス(借換えをして再度保有)
  3. 市場への売却

以上の3点となります。

ですが、この急激な景気悪化に伴い、上記1、2を選択することが困難な状態となり、 買い手市場となりました。

2008年3月20日の(株)レイコフの民事再生(2008年6月破産宣告)以降、民事再生をする会社が続出し、その当時、非公開情報で表面利回り10%超での取引が出現し始めました。

そして、皆様ご存知の2008年9月15日のリーマン・ショック。
これは、当時私自身、不動産ファンド会社の放出物件の仲介を中心に活動しておりましたので、かなりの影響を受けました。

不動産ファンド会社が不動産の証券化・流動化のKEYともなるレンダー会社(証券化において、金融機関等のノンリコースローンをはじめとする資金の貸し手)の連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用でしたから、当時、買付を入れていた物件が、この絡みで売り止めになり、「先が見えない」という理由から成約にいたりませんでした。

2008年10月9日にはニューシティ・レジデンス投資法人がJ-REIT初の民事再生と、不動産の流動化・証券化の流れに、ここにきて一気にブレーキがかかっているといえるでしょう。

建設業界では、「天気」のところでもお話しているように、原油価格の上昇から建築費の影響(高騰)や耐震問題(姉歯問題)の関係から2007年6月の建築基準法改正がありました。

そして、平成19年の住宅着工戸数は41年ぶりの低水準で前年比17.8%減と5年ぶりに減少しました。平成20年は前年比3.1%と上昇しましたが、そもそも平成19年が低かったことを考えると非常に厳しい状況にあるといっても過言ではないでしょう。

以上のように、不動産・建設業界は正に嵐の中といった状況になっています。
そして現在、今業界で何が起きているか!!