売買の三角形と逆三角形の関係

売買の三角形と逆三角形の関係

ここで、【図1】で表している関係の二つの意味合い(気持ちと数量)について説明いたします。

【気持ち】
当たり前の話ですが、売主は物件をなるべく高く売りたい。そして買主はなるべく安く買いたい。このように売主と買主の気持ち、つまりニーズは、このような三角形・逆三角形の関係にあります。

【数量】
昨今の不動産投資ブームにより、サラリーマン投資家が急増しています。
また、買主立場で考えていきますと融資状況も厳しくなっていることから、低価格帯の収益物件には数多くの買ニーズが存在します。

その結果、売主(特に不動産ファンド、デベロッパー案件)の物件のうち、安い価格帯は多く処理され、だんだんと少なくなり、高額の物件が多くなっている状況にあります。
このように実際の売物件の価格帯別物件の数量と買ニーズの数量においても、三角形・逆三角形の関係にあります。

よって現在は、低価格帯の物件情報が流れると、成約スピードは非常に早く、買主である皆様も経験があると思いますが、早い段階で物件の見極めをしないと既に契約済や終了しているといったことが多く存在している状況下にあります。そして、思った程の指値(金額交渉)が通らない傾向にあります。

高価格帯の物件の場合は融資の壁もあることから、その点、低価格帯に比べると高い金額であればあるほど、成約スピードは遅く、指値(金額交渉)の幅も大きいことから、融資を通すことのできる属性の方にとっては、非常に良い環境下にあります。

「図1に示している点線の価格帯はどのあたりですか?」と質問を受けることが多いのですが、当初の「販売価格」と「利回り」で違いはあるものの、少し前までは1億円あたりとお話していましたが、現在は1億中盤迄上がってきていると感じています。

これは、ここで説明してきた「三角形・逆三角形の関係」の「数量」が影響しているからです。

ですので、この価格帯以下は非常に不動産投資にとって激戦区であるといえるでしょう。 皆様の購入希望価格と照らし合わせていただければ幸いです。

そして2009年に入ってから、少し異変がありました。

ある不動産ファンド会社には、所有していた約50物件をなるべく昨年末までに売り切ろうという動きがありました。そのため、通常に比べ指値金額も大きく検討してもらうことができたのですが、今年に入ってからは、「売り急がない」といった方針が出た例もあります。

また、決算期の問題や税制改正の動き等の絡みから、売却時期を3月迄とするか4月以降にするか、といった検討する動きもあります。

1月はお正月とあって、挨拶回りや担当者の休暇の取り方等によって、通常業務は実質1月中旬からがスタートしたといっても良いでしょう。

ですから、物件の情報も鈍化されたことから、今年に入って3月末日までに売却する予定の物件が多く出るのではないかと思っていたのですが、思った程以上には、出ていないのが現状です。

このように、売主の状況、その他融資状況、税制、会計基準等、皆様の外部環境要因によって不動産投資の状況が変化していきますので、常に情報収集していくことが必要となってきます。

取引事例(不動産ファンド会社放出物件を主とした事例)

平成20年7月~12月の取引事例

No 所在地 価格 表面利回り 構造 築年
神奈川県川崎市 19,000万円 11.83% RC造 平成4年
東京都杉並区 20,500万円 8.72% RC造 平成3年
神奈川県川崎市 35,000万円 9.00% RC造 平成17年
千葉県浦安市 42,000万円 11.95% RC造 平成17年
神奈川県相模原市 26,200万円 13.23% RC造 平成3年
東京都世田谷区 25,500万円 9.69% RC造 平成3年
東京都目黒区 21,800万円 10.23% RC造 平成3年
合計 190,000万円 平均 10.72%

※冒頭で記載しています2008年7月から12月における私の取引実績です。

次回からは本編として、「取引事例を分析し購入戦略を立てる(分析編)」について書きたいと思います。