日経平均株価が22日、34年ぶりに最高値を更新した。同日午後には3万9000円台を付け、史上最高値3万8915円87銭(1989年12月29日の終値ベース)を上回った。22日の終値は3万9098円68銭だった。 

34年ぶりの最高値更新に、かつて平成バブルを経験した投資家からは、歓迎と期待の声が上がった。

今後、不動産価格にどのように影響するのか―。

 30年超の低迷が終わり、上げ潮に

「株価はその国の1つのバロメーターなので、最高値更新は非常に良いこと。日本経済低迷の30年が終わり、長期的には上げ潮になっていくと期待しています」

こう語るのは、株式投資歴40年の不動産投資家「芦沢晃」さん。日経平均の上昇は、日本企業の業績の好調さを反映しているとし「これまで安く見られ過ぎていた日本企業が見直されてきたことが、上昇要因の1つ」と話す。

株式投資歴40年の不動産投資家「芦沢晃」さん

株価が上がれば、それを追いかける形で不動産価格もさらに上がるとした上で、「株で得た利益を元手に、不動産を買おうという人も増えてくるのではないか」と予想する。

一方で、株価や不動産価格の上昇をもたらしている背景が平成バブルと異なる事情がある点は注意が必要だと話す。

「海外の機関投資家による大口マネーの影響が大きくなっていると思います。その結果、外国人でも知っているような大企業の株や、都心のタワマンなどの不動産は買われやすい一方で、知名度の低い銘柄やエリアは買われにくい傾向になっていると感じます。どの株もどのエリアの不動産もまんべんなく上がっていた平成バブルの頃との大きな違いではないでしょうか」

日経平均を押し上げた要因は

34年ぶりの最高値更新にお祭りムードが広がる中、大和証券チーフエコノミストの末廣徹さんは、「直近のGDPがマイナス成長だったことを考えると、日本経済が堅調だとは言い切れない部分もある」と話す。それでも日経平均が押し上げられたのには、「別の要因」があるという。

大和証券チーフエコノミストの末廣徹さん

「まずは中国を筆頭に、一部のアジアの国の経済に不安を感じる人が増えたことです。グローバルに投資をしている投資家からすると、相対的に見て日本は安心感があるのだと思います。2つ目は、日本が長く続いたデフレから脱却するのではないかという期待が高まったことです」

足元の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)を見ると、28カ月連続で前年同月比を上回って推移している。直近の日経平均の急伸は、日本が長年続いたデフレから脱却し、今後も景気を回復していくのではないかという投資家からの期待を表しているといえる。

さらに今月8日には、日銀・内田副総裁が奈良市で開いた講演で「仮にマイナス金利政策を解除しても緩和的な金融環境は維持していく」という考えを示した。

この発言から、マイナス金利政策が終わっても急激に金利が上がることはないため、円高が進んで企業業績に悪影響を与える可能性が低く、デフレに戻るリスクも低いとみられ、日本株を買いやすい状況が生まれたと末廣さんは語る。

一方で末廣さんは、この状況が続いていくかどうかはわからない部分もあるという。

「日本株に投資したものの、思ったよりリターンが得られないとなると、違う国にマネーが流れてしまう可能性もあります。製造業など円安が追い風になっている業種が今後も好調か、また円安の恩恵を受けていない内需系の企業も業績を伸ばし、評価されるのかを注視していく必要があります」

平成バブル後の大暴落経験した投資家は

「1989年12月29日に日経平均が史上最高値を付けた後、翌年に株が大暴落し、不動産価格も大暴落したのを印象深く覚えています」

こう語るのは、株式投資歴42年、不動産投資歴37年の加藤隆さんだ。バブル崩壊後、所有不動産の資産価値が目減りした影響で、新たな融資を受けるのが難しくなった苦い経験を持つ。

株式投資歴42年、不動産投資歴37年の加藤隆さん

「資産価値が下がっても持ち続ける分には大きな影響はなかったんですが、債務超過になりかねない状況になりバブル崩壊後しばらくは融資が受けられない時代が続きました」

現在は不動産を中心にしつつ、株や貴金属などに幅広く投資しているという加藤さん。平成バブルと今の状況にはちがいがあると指摘する。

「従来、貴金属と株は逆の動きをしていましたが、今は珍しいことに両方上がっています。これは貴金属や株が上がっているのではなく、お金の価値が下がっていると私は見ています。ですから、現預金にお金を置いておくというのは、逆にリスクがあると思っています」

不動産についても平成バブル時と今では状況が異なるとみており、「地方やリゾートも上がっていましたが、今は立地が良く希少価値が高いところだけです。不動産をやるならエリアを考えた上で、売買差益狙いではなく、安定した家賃収入を狙って、かつ資金繰りには余裕を持たすことが重要」と話す。

不動産価格への影響は

株価と不動産価格にはどのような関係があるのだろうか?

過去の日経平均株価と都内の中古マンション価格の推移を比べると、両者は連動して上昇してきたことがわかる。

出所:東京カンテイ

東京カンテイ上席主任研究員の井出武さんは、この理由について「株価上昇によって売買益が得られ、人々の投資余力が増大し、不動産の購入につながるため」と話す。

東京カンテイ上席主任研究員の井出武さん

「特に都心は株価と不動産価格の連動が顕著です。千代田区、港区、渋谷区のようなエリアの物件は資産性が高く、国内外の投資家から人気なので、株の売買益を不動産に換えるときに選ばれやすく、投資マネーの循環が強く起こっているといえます」

一方で井出さんは、「今後も日経平均と国内の不動産価格の連動が続いていくどうかは疑問」だと語る。

「昨今は、日本人が日本株に投資するケースばかりではなくなっています。外国人が日本株を買うこともあれば、日本人が海外の株を買うことも多くなっています。そうなると、日本株で上がった利益が日本国内の不動産に流れるとは必ずしも言えません。都心部の物件は国内外からの人気が高いため、今後も日経平均と不動産価格の連動が続く可能性がありますが、それ以外の地域については乖離が進んでいくと考えられます」

今後日経平均の上昇が続いた場合、都心部ではどこまで不動産価格が上がるのかについては「利回りが出なくなるまで」と話す。

「日本は家賃を上げられないため、このまま価格が上がり続けると利回りが出なくなり、逆ザヤになるフェーズがやってきます。その時点で不動産購入が頭打ちになり、不動産価格が下落に転じるのではないでしょうか」

日経平均が最高値を更新した22日、見学施設を備える「東証Arrows」には、歴史的瞬間を見守ろうと訪れた個人投資家らの姿も。

日本個別株やJリートに投資しているという女性は「22日朝にダウの値段が上がっているのを見て来ました。東証で歴史的瞬間を迎えられてよかったです」と高揚した様子を見せた。

東証Arrowsを訪れていた投資家

「史上最高値に迫る3万8915円10銭になったときに『あっ』と思ったんですが、その後下がってしまったので今日はもう最高値更新はないかな、と思ったんです。そうしたらまた上がってきて、サクッと高値に到達したので、とてもびっくりしました」

今後の株価や不動産価格の動向を注視したい。

(楽待新聞編集部)