取材裏話

昨年末、日経BP社さんから取材のオファーを頂戴し、その記事を日経マネー2009年2月号に掲載いただきました。

大家さん業界の著名先生方ばかりの記事中で、何故、筆者のような者を?と不思議ですが、おそらく、不動産投資を始めようとしている幅広いサラリーマンが読者。と想定すると、価格が手軽な区分マンションがとっつき易いと感じるだろうから、という趣旨が理由だと思います。

その実態はどうなのか?という切口からの選定だったと想像しています。

それと、区分マンションの情報は、業者サイドのものが殆どで、投資家サイドからのものは非常に少なくて・・・・。というお話もされていました。

ここでも、日経マネー紙面に掲載されていない、取材裏話を「楽待」読者様だけにご披露させていただきます(笑)

日経マネーさんには、筆者の著書が新刊時に、書評欄に取り上げていただき、大変有益な書評を頂いたこともありまして、不思議とご縁があります。

実は、この取材の後、ご担当記者と、区分マンション投資家もうお一人(ふくちゃんさん)の3人で飲んだのですが、偶然3人とも理系出身者で、趣味などの共通点もあり、盛り上がってしまいました。

ご担当記者が、紙面にご登場された不動産投資家へ取材後のご感想は、一言
「皆さん本当に熱心で、自分には到底、不動産投資は向かないというのが良く分かりましたよ。」
「毎月、〆切りが近付くと、会社へ泊り込みでの仕事の私にはちょっと・・・・」
という本音でした。

色々な経済界キーマンや、著名投資家を幅広く取材されていらっしゃるプロの率直なご意見は、私自身も非常に参考になりました。前回お話したように、唯一リスクをコントロールできる不動産投資は、自分の得意分野を見つけ、どれほどエネルギーを注げるかで、成否が決まります。流石に経済誌のプロでいらっしゃるだけあり、その本質&ポイントを、短期間の取材でズバリ、見抜いておられるわけです。

裏返せば、不動産が好きな方であれば、こういったエネルギー注入自体が楽しみなのですから、成功するわけですね。

裏話でなく、表の記事(?)をご覧になりたい方は、雑誌のバックナンバーをご覧頂くしかありませんが、既に市販されていません。こういう場合、どうしたら良いのでしょうか?

筆者が良く活用する方法は「図書館」です。
「インターネットがこれだけ普及した時代に図書館!?」
とお感じになられる読者も多いことでしょう。図書館といえば、新刊本や、高価な最新専門書でも無料で借りることができ、節約に役立つ。という印象が強いと思います。
しかし、新しい本ほど、多くの人が借りるため、出払っていることが多いのです。

現在はインターネットの普及とともに、苦戦する出版業界では、売れそうなテーマに絞り、ホットな時期に集中販売し、手仕舞いも素早く、短いライフサイクルで次々と新刊を出版します。つまり、本の寿命が非常に短命、多品種少量生産になっているのです。

そんな中で、手に入りにくい古い評判の良書やバイブル的な絶版本。貴重な記事が掲載されている雑誌のバックナンバーなどを読みたい時は、ネット上の中古本市場もありますが、図書館を利用するのも、極めて有効です。

地元の図書館に在庫が無い場合、図書館ネットワークを使って、他の地域の図書館から無料で取り寄せてくれます。時間はかかりますが、貴重なシステムです。
「楽待」会員様は、勉強熱心な方が多いと思いますので、大いにご利用なさることをお奨めいたします。

物件概要

閑話休題。
お話が大分脱線してしまいました。(笑)

さて、今月は、私が最近購入した横浜の中古区分1Rを一例に、区分所有投資ならではの選定方法・判断基準などを解説させて頂きたいと思います。

この日経マネー誌の取材でご紹介し、事例として2009年2月号に掲載いただいた物件がこれです。

対象物件は、神奈川県横浜市の1Rです。
・買値470万円
・家賃6万円(表面利回15.3%)
・管理・修繕費 7000円(ネット利回13.5%)
・私鉄駅徒歩10分
・課税評価額250万円
・1990年築(築18年)
・RC造5階建・全30室の3階部分南向部屋
・16m23点ユニット

一般的な物件情報ですが、ごく平凡な区分投資物件、いわゆる中古ワンルームです。
それでは、何故、私がこの物件に投資したかをお話させて頂きます。

ある営業マンのお話

今月事例紹介させて頂く物件を仲介してくれた営業マンの方(仮にYさんとします)とは、もう4年近いお付き合いでしたが、実は、この方からの成約は初めてなのです。まずは、この当りのお話から・・・

また、話が脱線して恐縮ですが、最近、TVで「お宝鑑定団」という番組がゴールデンタイム枠へ移り、人気です。
全国から、視聴者がご自分所有の、絵画や年代物の焼き物などの「お宝」をスタジオへ持ってきて、専門家が鑑定して金額を査定し、当り・外れで盛り上がる。という筋です。不動産投資家としても活躍されている、島田紳助氏の絶妙なトークも絡み、楽しくワクワクする番組です。

この番組を見ていると、かなり怪しげなものもあれば、素人が見ても、これは絶対にお宝だ!大丈夫!という場合もあります。

では、どういった場合が、素人目でもOKなのでしょうか?
それは
「所有者の誕生記念に、その方の祖父が***画伯に注文して描いてもらった絵」
のように、その発祥が明らかな品物です。

不動産も同様で、その物件が新築された際の背景、オーナー状況、そして売却事情などが良く分かっていれば、投資リスクを少なくできます。物件のみならず、仲介会社の営業マンの人なりについても同様です。

この物件を仲介してくれた営業マンは、実は昔、ある大手著名マンション開発販売会社(仮りにA社とします。)の社員だった方で、その会社の上司の方とともにスピンアウトされて、今の小さな仲介会社(仮にB社とします)を起業されました。

Yさんからは、この4年間、色々なA社製・仲介中古物件の御紹介を頂いて、成約には至りませんでしたが、気心の通ったパートナーとしてお付き合いさせて頂いておりました。

この物件は、そのA社が開発した物件で、Yさんが在籍当時、それを今のオーナーへ販売されたものでした。実は、B社には(何故か?)A社開発販売物件の全資料が整っており(実は、退社される際に、コピーを全部持って出たそうですが・・・)現在となってはA社自身よりも完璧な資料の管理整備状態で保存されています。

今回の物件は、元地主が等価交換で新築した物件とのことでした。1階が元地主所有・経営の店舗。2~4階は、新築当時、纏まった資金が必要だったため、賃貸ではなく、A社が一般投資家へ区分販売。
元地主は、5階のファミリー区分の1室のオーナーとして、現在もずっとお住まいで、1階の店舗の物件と商売両方のオーナーでもあり、18年間、ずっと運営なさっている。
という物件でした。

一方、今回仲介対象の区分は、YさんがA社在籍当時、新築として販売し、地方にお住まいの公務員サラリーマンの方がオーナーとなられました。借り手は、その物件の直ぐ隣の法人が借り上げて、従業員の寮として、新築以来18年間、同じ家賃で更新し続けていました。
新築当初、A社がサブリースして、家賃保証として18年間、そのオーナーさんと契約更新し続けています。

この情報を聞けば、お宝不動産鑑定に精通している読者でしたら、物件素性から、検討の対象足りうると判断されるでしょう。

マイソクやインターネット事情からは得られない、Yさん独自のインサイダー情報です。