築100年超の太宰治の生家

お宝不動産シリーズの出版社である筑摩書房さんといえば、作家・太宰治の作品で戦後大きく飛躍したことで有名です。

太宰作品は「若者が一度はかかる、麻疹」のようなもの。
とも言われているようで、理系を自認する私自身、高校生時代には見事に殆どの作品に感染してしまいました(笑)

太宰治研究家でベスト・ロングセラー「太宰治論」の著者としても有名な奥野健男氏(旭日小綬章受勲 )は、東京工業大学卒業後、東芝に入社してトランジスタの開発に取り組み、1959年に大河内記念技術賞を、1963年に科学技術庁長官奨励賞、1964年に特許庁長官賞を受賞なさった一流エンジニアですが、太宰作品に魅了された文学評論家でもあります。

こんな面から太宰作品は、いわゆる文学青年だけでない、広い読者層を魅了する不思議な魅力を備えていたことがわかります。

その秘密は、太宰が特別に、読者一人だけに、ひそかに語りかけるような文体にもあると言われています。

読者は、あたかも太宰が自分一人だけのために、オーダーメイド作品を書いてくれたような、あるいは、太宰が密かに自分宛に手紙を書いてくれたような、そんな魔力に魅せられてしまうところにあるようです。

その文体の誕生は、太宰が結婚後、婦人の協力を得て始めた口述筆記による創作にもあるといわれています。

しかし、一見すらすらと筆記されたような作品も、最近発見されたその原稿の下書きによれば、実は、何度も何度も推敲を重ねた筆跡が残されており、緻密な計算によって、文書が精緻に組立てられて行ったことが分かったそうです。

この、読者一人だけに向かって特別ひそかに語りかけるという手法が、今のネット社会、メール社会に合い通じるものがあり、それが人気を再燃させている秘密なのかもしれません。

「楽待」会員の皆様にはご自分のブログを運営なさっていらっしゃる方も多いかと思います。

そんな意味で、ブログの購読者を増やし、リピーターを定着させる手法として、太宰の文体は参考になるかもしれませんね(笑)

文学以外にも色々と話題が多かった太宰ですが、戦後の物資・食料難の時代、原稿料や印税が、進駐軍闇ルートの高価なジョニーウォーカーなどの酒代にどんどん化けて行ったとのこと。

年末、膨大な納税額が全部酒代で消えてしまっており、キャッシュフローが回らない黒字倒産状態のこともあったようです(笑)

彼の人間体験そのものが作品の糧となったわけで、正に身を削ったレバレッジによる先行投資だったのかもしれません。

今年はその太宰治氏生誕100周年ということで、6月の桜桃忌はマスコミでも大きく取り上げられました。

斜陽館

斜陽館

その中で興味があったのは、太宰治記念館として一般公開され、国の重要文化財に指定されている生家「斜陽館」です。

金木にあるこの建物は、明治の大地主、津島源右衛門(太宰治の父)の手で建設された入母屋造りで、明治40年、日本三大美林のヒバを使い、当時のお金で工事費約4万円をかけて造られました。

築100年を越える、木造住宅です。

古い木造建築といえば、私にはお寺の親戚があり、子供の頃から日常的にお寺の文化や建物に身近に触れてきました。

鎌倉時代から続く臨済宗の禅寺ですが、山中にある建物は江戸時代の建築で、その中の重要文化財の観音菩薩他、様々の仏像は当然木製ですが、鎌倉時代以降、延々と引継がれています。

子供の頃、そして今、何時のときも、その空間に自分を置くと不思議に心が癒されてきます。

最近は歴史好きな若い女性「歴女」や仏像ブームで、日本的な古風なものが見直されているようです。

不動産投資家の皆様の物件リノベも、こういった建築物を見学なさると、色々な面でヒントがあるかもしれませんね。

このような、神社仏閣、古城などの伝統木造建築の他にも、近代明治以降の一般(といえるか?ですが)木造住宅でも、100年住宅が実在する一例が「斜陽館」なのでしょう。

築30年超の区分をどうするか?

今月も、冒頭、脱線ストーリーが続いてしまい、申し訳ございません。
なぜか、毎月のこの無駄話が楽しい。
と仰って下さる「楽待」読者の方がいらっしゃり、ついつい悪い癖が出てしまいました(笑)

不動産投資での悩み&リスクに建物の築年経過による老朽化があります。

特に区分の場合は建物全体と専有区分部分が別管理のため、建物全体の状態や将来の予定を考慮しないで、自分持分の専有部のメンテナンスに費用を掛けすぎると、それを利益確定できないまま終焉を迎えかねません。

建物自体が築30年超以上の区分物件の場合、専有区分持分に大きな金額を投下して、大規模なリフォーム(リノベーションということもありますが、単に新築に近づけることは、そう言えない場合もあります:後述します)をすべきか?
あるいは、最小限の現状維持メンテに留めて、家賃を下げる戦略の方が得策なのか?は、悩ましいところです。

建物に見切りをつけ、更地にして、土地売却により出口にでる。
という戦略を自分単独では採れません。

そのため、部屋を売却するか、賃貸を継続する選択肢しか無い為、どちらにしても何らかの専有部メンテナンスは必須となります。

今月ご紹介の事例は、私が生まれて初めて購入した不動産。

築31年、2DK区分物件のリフォームのお話です。

●物件概要
まず、簡単に物件概要をご紹介します。
1978年築の全42戸(3LDK~2DKファミリー)8階建SRCで、1988年に築10年で購入しました。
最初は自宅として私自身が居住した後、賃貸に回し、現在4代目の賃借人の方が住んでいます。今は3人のルームシェアですので、4組目と言った方が良いかもしれません。

ご推察の通りバブル期真最中、自宅用としての購入ですので、利回相当では、2~3%程度です。

今、投資物件と見れば、論外の買い物です。
生まれて初めて、何も知らない時に買った不動産でした。

しかし、私が始めて不動産購入を体験し、初めて賃貸運営を体験させてくれた物件ですので、色々な実験・研究用に未だに運営しております(笑)

3代目の賃借人の入退去までは、内装リフォームは全て自分でやっており、一度もプロの手はかけておりませんでした。

●リフォーム戦略考
前述のように自宅として、購入価格は2780万円でした。
賃料相場はずっと7万円前後です。

つまり、諸費用&税引き後のインカムゲインだけでは、絶対に投資はペイしません。

築年と買値を考えると、出口は、いつか、売却しかありえない物件です。
保有運営している意義は、自分で色々できる実験研究素材として手ごろであることが最大の理由です。

一方、建物全体は現在までに2回の大規模修繕を経験しました。

管理状態は良好で、大きな問題はありません。

大規模修繕のたびごと、僅かではありますが、建物のグレード感は上がっています。
管理組合の自主管理が上手く行っているので、管理会社が入っていないため、管理・修繕積立費からマージンを抜かれずに、全額を管理・修繕に当てられるので、財源が潤沢なのです。

そのため、大規模修繕も2~3社の施工会社へ直接相見積もりを依頼し、3000~4000万円をかけて余すところ無く、相当丁寧な工事を10数年毎に2回施工できています。

このように、購入後20年間の経緯から、私の専有部にある程度投資をしても、建物全体の維持状態から、その価値はあると判断しました。

もし、建物管理があまり芳しくない状態なら、いくら自分の専有部へ投資しても、その効果は限定的なものになってしまいます。

最悪、自分の専有部の先行投下資金がペイし終わらないうちに、建物全体が終焉を迎えてしまっては意味がありません。