Q5 日本の人口は減少傾向ですが、区分投資で生き残るための工夫は?
このご質問も、永遠の課題です(笑)
将来人口が減って、物件は有り余り、家賃がどんどん下落し、空室だらけになり、それに引っ張られて物件価値もただ同然になるのでは?
というリスクです。
もし、日本の出産率が今のまま推移すれば、あと700~800年後には、日本の人口は1000人を割り込むという仮説もあるほどです。
それはともかくとしても、誰でも自分の物件だけは、いつも満室で、安定家賃を望みたいですね。
■商品価値と利用価値
ここで逆説的に考えてみますと、例えば、3点ユニット1Rが古くなっても、月額家賃千円でしたら埋まるはずです。
(逆にそんな安部屋、曰く因縁付きと恐れられて、誰も住まないかもしれませんが、あくまで例え話です)
つまり、家賃下落や空室率は、家賃がその物件の賃貸商品価値相応か?に尽きます。
それには、将来に渡り物件の商品的付加価値と家賃を維持するか、価値と家賃を下げざるを得ないのか、二者択一です。
部屋の仕様が一定なら、経年で家賃はどうしても下落してゆきます。
物件の絶対的価値が一定でも、新しい周辺物件の新価値は年々高まるため、自身の相対値は低下するためです。
物件の付加価値は、広さ、設備、デザインなどハードウェア的なものと、立地や利便性といったソフトウェア的なものがあります。
区分の場合、自己裁量による独自のハードウェア付加価値は専有部内に限定されます。
そこで、立地や利便性のソフトウェア的価値に重きを置くことになります。
その条件下で、前述のように、出口で辻褄が合う価格で入口へ入る、という戦術です。
家賃や物件価値が将来さがっても、その時点で利益確定していれば良いわけです。
■複数の区分物件でポートフォリオを組む
一方、これも前述のように、たった1つの物件だけで辻褄を合わせることはきっと不可能です。
複数の物件からのキャッシュフローを再投資することで、物件全体のポートフォリオで辻褄を合わせ、目的達成する対策もあることでしょう。
例えば、ご自身が目標とする年間家賃収入があるとします。
最初は少ない物件数でようやくそれを達成したとします。
以後、年数をかけつつ、物件数を増やしてゆけば、1室当りの家賃は下落しても、時間をかけて賃貸経営面で腰の強いポートフォリオを築けば、トータルで目標家賃収入がキープできていれば、相変わらず目的は達せられているわけです。
つまり、経年積み上げによる家賃で、1室単位で全て最高の利回りを絞り出すのではなく、一定の収益をポートフォリオ全体で達成すれば良しとする、その代わり、1つ1つの物件の質向上へ再投資し、トータルの家賃収入は目標レベルを維持するという戦略です。
立地が良く賃貸付けの良い物件が古くなったらリノベしても良いでしょう。
共用部管理が悪い古い物件を売却して、築浅物件と入替えても良いでしょう。
人の流れや街の栄枯盛衰が変われば、それに追従して物件を追加購入し、賃貸の芳しくない物件は売却しても良いでしょう。
物件が増えてきたら、利回りだけに固執せず、築年や立地、管理など、物件の質を重視する選択肢も可能となります。区分は、その選択を1室づつできます。
■土地付一棟物件も組込む
もっと広い意味での、土地付一棟物件を含めた不動産投資という意味でのポートフォリオで、担保力のある土地持ちになることで、将来リスクに備えることも有効と思います。
その場合には、そのポートフォリオを乗りこなし、制御できるよう、ご自身の運営システム自体も一棟物件に対応できるように、体質改善を図る必要があります。
■自分で制御できる不動産には集中し、一部を紙で海外へ分散しておく

ここからは私の専門外なので、脱線話となりますが・・・。日本が駄目なら海外があるさ、と海外不動産へ投資する作戦もあるかもしれませんが、その場合は管理がポイントになると思いますので、現地によほど信頼できるパートナーが必要と思います。
自分で制御できなくても良いなら、システムが完備し、手間がかからない海外不動産投資の究極は海外REITということになりましょう。
そうではなく、ご質問が「区分で」ということなので、ご自身のポジションで不動産投資を「区分」に留めたいというなら、不動産以外の、例えば紙系にポートフォリオを分散するという対策もあるでしょう。
自己裁量に限界のある区分へ一極集中することは、リスク制御できない部分があることを意味します。それを紙系の投資へリスク分散しておくというのも一考でしょう。
コミュニティの祭も触れたように、
「自分でコントロールできる投資対象には一極集中し、それができない対象は徹底して分散する」
のが原則だと思います。
この場合、紙系投資は不動産よりも一般的には制御しづらいわけですから、分散を検討する必要があるかと思います。
(紙系投資を制御してしまう凄い方もいらっしゃいますが・・・)
日本が少子高齢化で将来が見えないとご自身が判断し、国内不動産だけでは自分でリスク制御しきれないと感ずるなら、海外の紙系の資産へ一部を分散するのも良いでしょう。
ハイリスクが取れる方は、ハイリターンが期待でき、成長が見込めパイが拡大する、中国やベトナム等海外株の個別銘柄で勝負されるのも良いかもしれません。
レバレッジでハイリターンを取れる方はFXもあるでしょう。
一方、市場のランダム事象に任せ、徹底して分散するなら、紙系とは株にかぎらず、ETFやファンドだと思います。
これらは様々な投資対象をプロが運営して、増えても減っても、様々なコストはしっかり差し引かれ、残りが、利益が上がったときのみ投資家に降りてくるわけですから、大元の投資対象に自分で直接投資するよりは、パフォーマンスが下がることは仕方ないことです。
特に、私のような素人でしたら、ノーロードのINDEXファンドは、コストと手間がかからず良いでしょうし、ETFも手数料、ラニングコストと手軽さと分散のしやすさでメリットがあると思っています。
面倒なのでベンチマークそのものであるWorld Stock Indexを、黙って、安いときに、ノーロードで買い足しながらホールドしておこう、という作戦もあるでしょう。
しかしこれとて、株だけに投資していることに変わりありません。しかも、アメリカの株価指数の影響を最も強く受けてしまいます。
アメリカの主役交代を心配する場合、前述の中国のGNPは、日本を抜き世界第2位に、10年後は米国を抜き、世界トップになるといわれています。
B株やH株の個別銘柄はとても判断できない、かといってファンドは手数料が高い、という方は、外人が投資できないA株でも、INDEXなら手数料の安いETFで、今なら1口数万円単位で購入できます。
しかも、ETFなら株に限らず、海外債権指数、海外不動産、金、銀、各種金属、原油、資源、穀物、外貨(ルーブル、レアル、ルピーなど外貨MMFやFXに無いものも)、などあらゆるものへ、色々な投資手法で分散投資できる、ドラえもんの異次元ポケットのようなものです。
10年前では、スイスのプライベートバンクへ御願いしなければできなかったような、グローバルな分散投資を、最近はETFによりリーズナブルなコストで、私のような素人でも手軽にできるようになりました。
ただし、僅かな金額を分散投資しては、意味が無い。
一点集中こそ、魅力がある。
という考え方もあり、そのあたりは、一点集中した投資対象を自分でどれだけコントロールできるかの、ポジションの考え方次第でしょう。
紙系投資については、私は素人ですので、投資に当っては専門家の方にご相談されることをお奨めします。
事実、紙系投資家で著名な凄い方もコミュニティにご出席頂いておりましたので、そのお話はまた別の機会にさせて頂きます。
裏を返せば、裁量権に限界のある区分だけに一点集中することは、全てのリスクを制御しきれない、ということを意味します(老朽化や、事故・災害などによる共用部の大規模なダメージ復旧で管理組合が纏まらないなどのケース)。
そのヘッジで、他(一棟物件や紙系資産)への分散は必要なのではないでしょうか?
第9回楽待コミュニティ区分版のお知らせ
以上の他に融資に関するご質問も頂戴しておりましたが、それに関しては、定期的に開催されております「楽待コミュニティ一棟版」の方で個別相談なさっていただくのが宜しいかと存じます。
私自身は専門外で、最近は融資を使っていないので、「楽待コミュニティ一棟版」の方が、融資に精通した、お馴染み、松村氏をはじめとした、プロ投資家の方々からのアドバイスを頂けます。
すでに楽待Web上で告知されておりますが、12月19日(土)にも、早々に「第9回楽待コミュニティ」が開催されます。
スタッフさんからは再度のご依頼を頂戴しましたので、また会員の皆様にお会いすることができます。
次回は、物件をこれから購入されようとなさっていらっしゃる、より入門者にターゲットを絞った内容に、とのご依頼を頂戴しております。
前回至らなかった点は、わたくしの方でも改善し、少しでも会員の皆様のご要望にお応えできるような内容に充実してできればと考えております。
どうぞ宜しく御願い申上しげます。
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