前回までは、物件を購入する前のことをメインに話を進めてきましたが、今回は、不動産を購入した後のことを少しお話していこうと思います。
いい物件を探し出し、苦労して資金調達もでき、物件引き渡しも滞りなく進み、晴れて不動産を所有することになったら、感動もひとしおでしょう!それまで努力した分、何か達成感のようなものを感じるのではないでしょうか。
そこに水を差すつもりは全くないのですが、不動産投資・経営は、実はココがスタートなのです。というのも、インカムゲインがメインとなっている現在は、物件の管理がうまくいってこそ、不動産経営が成功したと言えるからです。
もちろん、それまでの努力が実り物件を取得できたということは、気持ちの上で一区切りつくと思います。そういった意味では、ちょっとしたお祝いなんかしてもいいかもしれません。
ただし、「これからがいよいよ経営なんだ」、という気持ちを改めて持つことも大切です。
自分のスタンスを決める
物件を所有してまず始めに行うことは管理会社さんを決める、という方は多いと思います。ご自分で物件を管理するという方もいらっしゃいますので、そのような方以外ですが。
本業が忙しい方でしたら、多かれ少なかれ管理会社さんのお世話になる方は多いのではないでしょうか。
ここで私がお伝えしたいのは、自分が賃貸経営に対してどのようなスタンスでいるかということを、始めにある程度決めておくということです。
そしてそれを管理会社さんに分かってもらっておくといいでしょう。こちらのスタンスを予め分かってもらうことで、その後物件を管理していく上で、お互いの誤解が少しでも少なくなるのではないかと思います。
では、どのようなスタンスがあるかというと。
大ざっぱに分けると、以下のように分けられると思います。(ここでは、仲介については除くものとします)
1.自分である程度管理する
2.基本的には任せて、自分は指示だけする
3.すべて任せる
基本的には、1→3に向かうに従って費用がかかりますが、逆に自分の時間を割く必要は少なくなります。といっても、私としては3はおすすめしません。
特に物件取得初期でしたら尚更です。
相当信頼できる管理会社さんがあったとしても、適度な緊張感をお互いに持つことが満室経営(またはそれに近い状態)を維持する近道だと感じているからです。
このことを踏まえ、ご自分の本業やプライベートの時間を考えて、自分はどのくらい賃貸経営に時間を使えるのか、を考えてみるといいでしょう。
もちろん、自分の置かれた環境が変わることによって、スタンスも変わってくることもあると思います。
どこまで自分が介入するのかを管理会社さんが始めに理解していれば、さらにそれがお互いの共通認識になっていれば、やりとりがスムーズにいく可能性が大きくなります。
「普通は自分たちの判断でやるんだけど、あの大家さんには一報入れておかなきゃな。」「あの大家さんは全部自分たちに任せてくれているから、細かい報告はいらないな。」などといった判断が始めからできるので、認識の違いから生じる誤解が少なくなるからです。
では、どうやって自分たちのスタンスを分かってもらうのでしょうか。
一番早いのは、最初に自分から言っておくことでしょう。「自分はこういうスタンスです」といったことを伝えるのです。
ちなみに私は、管理会社さんを決める前に「ウチは結構いろいろうるさいですよ。」と冗談交じりに言ったりもします。そうすることで、ある程度心構えをつくって欲しいからです。
とはいえ、諸事情によりあまりストレートに言えない状況の方もいらっしゃると思います。
そんな場合は、無事管理会社さんが決まって、実際に管理が始まってから、日々の細かいやりとりをしていく中で少しずつ分かってもらうこともあります。
最初にスタンスを伝えていたとしても、やはり実際始めてみないと分からないことも多いですから。「前、言ったはずなのに・・・」ということもしょっちゅうです。
地道ですが、そうやってひとつずつ積み重ねていくことで、お互いの信頼ができていくということを実感しています。
管理会社さんへ託するということ
管理会社さんとは二人三脚なんだ、という意識は常に持っていましょう。
そして信頼は、積み重なってできていくものだということも。
それを続けていくと、普通ならやらないことであっても、相手によっては「全面的に任せる」ということも出てきます。
たとえば、前にあったことをお話しましょう。
入居者募集中の時のことです。物件に興味を持ってくれた方が出てきたのですが、家賃交渉が入りました。
その時、管理会社さんからは、「○○円までの幅で、自分に任せてくれないか。」との申し出がありました。
普通だったら任せてしまって大丈夫なんだろうかと不安にもなりますが、そこまでこの人が言うのだったらということで、お任せしたのです。
普段、着実に業務をしてくれているし、今回は少し任せる幅を広げてみよう、という気持ちがあってのことです。
そして数日後、上手くまとまったという報告があったのです。
これは、もしかすると上手くまとまらないというリクスはあります。それでも、自分たちが負える範囲内で、相手との関係を重視したことを試してみてもいいのではないかと思います。
相手にとっては、任せてもらったということで仕事への責任感が増すということがあるでしょう。任せる側にとっては難しいことでもあるかもしれませんが。
このことは、信頼のある相手に対しては、ある程度幅を持たせてより責任感を持ってもらいながら仕事をしてもらう、ということを考えるきっかけとなった出来事で、大きな収穫でした。
物件を所有し続ける限り、多くの方にとって管理会社さんとの関係は、必須のものと言えるでしょう。ここが上手くいくかいかないかで、最終的な収益にも差が出てくるのです。
地道な毎日の積み重ねによって管理会社さんといい関係をつくっていくことが、いい結果を手にする早道だと感じています。
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