PHOTO:gandhi / PIXTA

例えば街灯が切れていたとき、どこに連絡をすればよいか知っているだろうか?

市役所じゃないの? と思ったあなたは、立ち止まって聞いてほしい。場合にもよるが、実は住宅地の防犯灯を設置しているのは市町村とは別の、「自治会(町内会)」であることが多いのだ。

しかし、自治会がどんな組織なのか、必ず加入しなければいけないものなのか、そのあたりをよく知らないという人も多いだろう。

自治会は私たち市民にとって、そして不動産オーナーにとっても無関係ではない。実際、自治会を巡るトラブルも頻発している。

今回は、実際のトラブル事例を紹介しながら、身近にありつつも意外と知られていない「自治会」の実態に迫る。

知っているようで知らない、自治会のキホン

そもそも「自治会」とは、地域の問題に対処するために住民が形成する任意団体だ。「町内会」「町会」など場所によって名称は異なるが、役割は同じである。

活動としては、地域の祭りの運営やゴミステーションの管理、回覧板を回すといった内容を行っている。

世帯数の多い地域では、自治会がさらに「班」や「組」といった組織に分かれることがある。さらに、複数の自治会が「連合会」としてまとめられていることが一般的だ。

一般的な自治会のイメージ(編集部作成)

原則として自治会への加入は任意とされているが、実態としては加入を強制される例が少なくはない。

自治会の会費は各自治会で異なるが、役員や会員が集まる総会で決められるのが一般的。活動内容によって年額数千円から数万円など、ばらつきがある。

集合住宅の場合は、入居者が直接自治会に払うこともあれば、オーナーが入居者から徴収して自治会に払うこともある。

口コミ等をもとに、全国の自治会費のデータをまとめている「自治会費ドットコム」というサイトもあり、地域ごとの自治会費を比較することもできる。

「組長が回ってきたら退去する」入居者の訴え

自治会への加入をめぐるトラブルは、各地で起こっている。

静岡県にアパートを所有する満田三郎さん(仮名)も、自治会とのトラブルを経験したオーナーの1人。

オーナーである満田さんが自治会への加入を断っても、「今度は入居者が勧誘されてしまった」という。「そもそも自治会という組織自体が不要ではないかとすら思います」と不満を漏らす。

満田さんの場合、物件を購入した時点で、前オーナーから自治会について特に何も聞かされず、加入や会費の支払いはすべて入居者に任せていた。

しかし、物件購入から1年ほど経ったころ、入居者から満田さんのもとに自治会に関するクレームが寄せられた。これが、トラブルの始まりだった。

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