こんにちは、船井財産コンサルタンツ京葉の大野晃弘です。

今回のテーマは、前回に引き続き「取引事例を分析し購入戦略を立てる(分析編)」のその2です。
前回の「取引事例一覧表」【表1】をご覧になりながらお読みください。

取引事例分析5(年収・利回り)

取引事例における、満室想定時の利回りの平均値は以下のとおりです。
・表面利回り(※1)10.72%(8.72%~13.23%)
・実質利回り(※2) 9.16%(6.79%~11.28%)

※1 表面利回り(GROSS利回り)
「表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100」
収益不動産の年間家賃収入を、物件価格で割った数値で、一般的に販売物件とともに表示されている利回りはこれにあたります。

※2 実質利回り(NET利回り)
「実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間管理コスト)÷物件価格×100」
表面利回りより現実的な収支を見る上で、不動産管理会社への管理料(PM費)、建物管理費(BM費)、固定資産税・都市計画税、損害保険料・火災保険料、修繕費を差し引いた年間粗利を、物件価格で割った数値です。
一般的には、物件価格に購入時取得費(仲介手数料、登記料等)を加えて計算しますが、ここ最近の不動産業者の言うNET利回りはこれにあたります。

平均値を見ると、数年前の不動産市況からは考えられない高利回りでの取引になっています。私見ではありますが、物件の所在地によって差異はあるものの、表面利回りで2%程度は高くなっていると感じています。もちろん利回りが全てではありませんが、高いに越したことはありません。やはり、現在は不動産投資には絶好のタイミングと言えるでしょう。

しかし、利回りの計算においては、注意すべき点が2点あります。

まず家賃収入については、不動産ファンド会社等の売主は、将来の転売を考え、各部屋のリノベーション、外観の大規模修繕や募集条件の変更(敷金・礼金の減額、フリーレント他)等を行った上で、賃料を高くするために努力しています。そのため、一見すると非常に高利回りの物件になっていますので、物件を検討する際には、現在の空室数や募集賃料、入居済の賃料が周辺の相場に見合っているかなど詳しく分析する必要があります。

次に管理コストですが、特に不動産ファンド会社の場合、保有する物件が多いことから、「規模の経済効果」による値引きをさせている場合があります。よって、個人投資家の皆様が購入した後も、その金額がそのまま引き継がれるのか、また、管理会社を変更した場合の金額を事前に調査する必要があります。

<ワンポイントアドバイス>
まず収入面の調査では、レントロール(各部屋の賃料表)を請求し、合わせてインターネットでその地域の賃料相場を把握するようにして下さい。
また支出面の調査では、現行の管理会社や任せたい管理会社から購入後の管理費用の見積を取ってください。または、現行の管理会社を含めた数社から提案書を提出してもらい、プレゼンテーションをしてもらうと良いでしょう。