~収益不動産購入「5つの戦略」(後編)~
今回のテーマは、前回に引き続き収益不動産購入「5つの戦略」の後編です。
【戦略その3】不動産物件の特徴を知る
不動産投資に重要な「ヒト・カネ・時間・情報」と言った”経営資源”は、限られています。特にサラリーマン投資家の方は、日中は勤務先の仕事がありますので「時間」がありません。投資効果を最大限に上げるためには、それらの”経営資源”を集中することが大事です。「する事」と「しない事」を明確にして、効率化を図ってください。
例えば、インターネットには非常に多くの物件情報が掲載されていますが、「自分の検討範囲外の物件情報は見ない!」という強い意志を持つことも必要です。その点から考えると、投資家様の購入希望条件を設定することで、逆に不動産会社が提案してくる「楽待」は時代に即した画期的なシステムと言えます。
【図1】はある投資家様の物件選定方法の一例です。
【図1】相続対策向物件と投資向物件
■「建高・土狭」物件
高層建物で土地面積が狭い物件は、駅近で、商業地域や近隣商業地域に建てられている物件がほとんどです。土地面積が狭いために、積算評価は出にくいのですが、逆に、相続税評価の評価減や、減価償却費を多くとることを希望している方に適した物件です。
したがって、地主様の相続対策、又は現金を多く持っている企業や個人の方に適した物件です。
しかし、融資が出にくいため、借入金をなるべく多く、自己資金はなるべく少なく(これを「レバレッジを効かす」と言います)購入しようとする方には適さない物件です。よって、このような不動産の提案があっても、最初から検討しない方がよいでしょう。
■「建低・土広」物件
低層建物で土地面積が広い物件は、積算評価も高いことが多く、融資も出やすいことから、不動産投資向けの物件となります。前回のコラムでお話した「簡易バランスシート」上も資産状況が良くなりますので、1棟目として購入するには最適の物件と言えます。また、融資が出やすいということは、出口戦略として、将来、売却する際にも有利です。
さらに、RC(鉄筋コンクリート)物件であれば、借入期間が長期になり、毎月の借入返済額を低くすることができますので、キャッシュ・フローが出やすくなります。
このような物件情報を入手した時は、直ちに簡易積算評価を算出しましょう。その後、収支のバランスをチェックし、現地確認や買付を入れるかを、早い段階で決断してください。
但し、積算が出やすい物件は、土地面積が広いため、必然的に建物比率は低くなります。その結果、「建高・土狭」の物件よりも、減価償却費は低く、課税所得が高くなる傾向にあります。したがって、購入後の税金対策を検討していく必要があります。また、土地の固定資産税は年々上がる傾向ですので、公租公課の負担が多くなるというデメリットにも注意してください。
【戦略その4】「現在の不動産投資環境」を知る
第1回のコラムの「売買の三角形と逆三角形」でも記載しましたが、不動産投資の状況は、売主の事情や環境(状況)、金融機関の融資状況、税制、会計基準等の外部環境要因によっても刻々と変化していきます。よって、不動産会社等から常に最新の情報を収集していくことが必要です。
<ワンポイント・アドバイス>
好物件の購入はどうしても競争率が高く、しかも短期間で決まります。よって、不動産投資に精通した、実績のある業者から情報を入手するようにしてください。また、収益不動産取扱業者でも、区分マンション、一棟アパート、一棟マンションとそれぞれ得意分野は異なります。自分の投資スタイルに合った業者や担当者を見つけ、日頃から充分なコミュニケーションをとっておくことが重要です。
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