犯罪の凶悪化

こんにちは元警察官の佐藤直希です。
前回は「他人事では決してない!泥棒の実態(後編)」として泥棒の服装・心理等をお話ししました。
今回は「年々進化する!今時の泥棒」として過去の犯罪データを基に「泥棒の進化」についてお話ししたいと思います。

平成19年版警察白書によると
「刑法犯の認知件数は、平成8年から14年にかけて、7年連続で戦後最多の記録を更新し続けた。
その後、15年から減少に転じ、18年中は205万850件と、前年より21万8,443件(9.6%)減少した。
しかし、減少したとはいえ、120万件前後で推移していた昭和40年代の1.5倍を超える水準にあることに変わりはなく、 情勢は依然として厳しい。」
と発表しています。
第1回でも触れましたが「認知件数」とは被害に遭いましたと警察に届出た件数ですので、実際の件数はもっと多いはずです。

また同白書では
「街頭犯罪・侵入犯罪の発生数は、依然として高い水準にあることに変わりはなく、過去10年間で、路上強盗は1.7倍、 街頭における強制わいせつは1.9倍、街頭における暴行は4.0倍、侵入強盗は1.9倍、住居侵入は2.5倍と、それぞれ増加している。」
と犯罪の凶悪化が数値に表れていることを示しています。
それにしても街頭における暴行は4倍、住居侵入は2.5倍ですよ。

物騒な世の中になってしまったことをデータも証明しています。

進化する泥棒の侵入方法

10年前より2.5倍になってしまった住居侵入。泥棒の侵入方法にも変化は起きているのでしょうか?

皆さんは「ピッキング」や「サムターン回し」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは侵入方法の名称のことです。
大雑把に説明するとピッキングとは鍵穴にピッキング用具を差し込んで施錠を解き住居に侵入する手口です。
サムターン回しとはドアの内側に鍵を開け閉めする時に操作するつまみがありますが、このつまみを「サムターン」といいます。
ドアに穴を開け器具を差し込んでこれを回してしまう方法やドアスコープをはずしてその穴からという方法もあるようです。

ピッキングの手口については平成14年には19121件認知していますが、その後減少し平成18年には平成14年の約12分の1になっています。
ドリルを使用したサムターン回しも平成15年をピークに平成18年には5分の1に減少しました。
ピッキングについてはピッキング対応の錠などが普及したことから激減していますが、サムターン回しは当初ドリルでドアに穴を開ける手口から始まり、ドアスコープを外したり、最近ではドアポストから手を入れる等の手口へ「進化」しているようです。

このように侵入方法一つでも常に「進化」しているのです。
進化した新手の手口は対策を講じていない場合が多く、爆発的に発生件数が増えますので、早めの対策が必要です。

進化しているようであまり進化していないのが侵入口です。
当たり前ですが侵入口の多くは窓や玄関など人が出入りできるところとなります。
特に窓は侵入口ナンバー1ですので注意が必要です。最近では窓に取付ける防犯グッズをよく見かけるようになりました。
皆さんがよく見かけるということは、泥棒もよく見かけているということになります。
個人的に100円ショップ等で売られている窓に貼る防犯ステッカーの効果は「?」に思います。
なぜなら泥棒に「バレバレ」だからです。

体験談

窃盗余罪が沢山あった泥棒を扱いました。この男は30歳代でした。
前科もかなりあるので懲役刑が確実なのは本人も知っての犯行だったようです。
この泥棒は半分開き直っていましたので、自慢げに侵入手口について話ていたのでとても印象に残っています。
手口についてはシステム的に攻略されているようなことでした。
大手住宅メーカーの名を挙げ「Aメーカーはこうやれば・・・」「Bはここが弱点だ」といった具合です。
とても研究熱心です。もう少し違う方向に熱心さを向ければよいのに・・・

全ての泥棒に当てはまりますが、泥棒は基本的に臆病です。
泥棒が物理的弱点を突くように、私たちは泥棒の心理的な弱点を突くことで防犯効果を高くすることができます。

外国人の犯罪

外国人の犯罪として思いつくのは強盗・麻薬密売などだと思います。
外国人犯罪の特徴は
 ・グループで犯罪を犯す(主犯は日本人)
 ・強盗などの凶悪事件が多い
 ・ヒット・アンド・アウェイ型の犯行が多い
  (航空機や電車、車等を使用して移動し、犯行後素早く逃走するもの)

家造りを考えている方にとって一見関係ないように思われるのが外国人犯罪ですが、ピッキングなどの犯罪は実働部隊に外国人を使用したりしています。
彼らは不法滞在者が多く、犯行を目撃されたなら目撃者に危害を加えることを平気でします。
財産的被害が身体的被害に発展しては元も子もありません。
今後、外国人の増加によって外国人犯罪も増加する可能性がありますが、日本人による犯罪の割合からすればまだ少ない方でしょう。
でも油断は禁物です。

体験談

警察官は通報があれば現場に駆けつけます。夫婦げんかの通報で駆けつけることもしばしばありました。
その中でものすごい家に駆けつけたことがあります。

日本人夫婦の多くはケンカと言っても口論で警察官が来ると体裁を気にして終わってしまいますが、その家は奥様が外国人の方で、到着した際、まるで台風が直撃したかのような家の荒れようでした。
ガラスは飛び散り、庭にはテーブルやイス、電子レンジが散乱していたのです。
室内では大声で怒鳴る奥様の声が聞こえます。このような場合は興奮し包丁などを持っていることが多いため、注意しながら家の中に入ると、更に皿やガラスの割れる音、壁を叩く音などホラー映画のような状況です。
何とか話が出来る状態に宥め事情を聞くと、原因はちょっとした文化の違いから発展したようです。

その文化の違いとは「妻が謝らないから」だそうです。
「謝らないくらいでこの有様はないでしょう」と夫に言ったところ夫からは「これは全て妻がやった」とポツリ。
てっきり夫がやったものと思っていた他の警察官も目が点になっていました。