当初の契約では、「3、4カ月で完成」の予定だった。ところが、たびたび「工期が遅れる」と告げられ、さらに「今支払ってもらわないと、部材が値上がりしてしまう」「浄化槽でトラブルが起きている」など、その都度さまざまな理由で工事代金を要求された―。
関東圏内で、不動産投資家としてのデビューを果たすべく1戸目となる戸建てを購入した男性は、このように話す。
リフォームを職人に発注したものの、作業は遅々として進まず、その上、前払いで代金を支払ったにもかかわらず、職人が自己破産。物件は放置されてしまったという。
それまでに支払ったリフォーム代金は総額500万円。この代金は「免責」と判断され、弁済される見込みもない。
一体、「大家デビュー」を夢見た男性の身に何が起きたのか。なぜ、こうしたトラブルが起きてしまったのか。「私のようなことがこれ以上起きてほしくない」と切実な胸のうちを打ち明けてくれた男性に、詳しく話を聞いた。
リフォーム「精一杯頑張る」と熱意見せた業者に
関東地方に住む会社員、野島佑樹さん(仮名)は、5年ほど前から、不動産投資に関心を寄せていた。勤続10年以上になるものの、「このまま定年まで安定して働いていけるのだろうか」と疑念を覚え、別の収入の柱を持ちたいと思ったことがきっかけだった。
さまざまな不動産投資の書籍を読んだり、大家の会に所属したりしながら勉強し、2022年の夏、初めてとなる物件を購入したという。
「一都三県のエリアにある、築40年ほどの戸建てです。築古ということもあって少し傷みはありましたが、前面道路が広かったり、駐車スペースが作れそうだったり、良さそうな点もありました。100万円で現金買いしたので、大きなヤケドはしないんじゃないかなと考え、購入に踏み切りました」
購入してすぐ、リフォームを請け負ってくれる業者探しを開始。雨漏りの修理、外構工事のほか、キッチンや風呂、洗面化粧台の入れ替えなどの作業を依頼する予定だった。5社ほどに話を聞いたが、見積もりにはかなりばらつきがあったという。
「うちじゃちょっと…とおっしゃるところもありましたし、300万円は超えるとおっしゃるところもありました」
そんな中で、「200万円で頑張ります」と言ってくれたのが、この後トラブルになってしまう「X」という職人だった。
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