不動産投資は簡単ではない

なぜ私が、現在のポジションに来れたのか?

これは正直申しますと、楽な道のりではありませんでした。
私のクライアントは「松村さん、よくやりましたね。」とおっしゃいます。

当時(第1回 不動産投資への心構え)を振り返ると、かなり精神的にも苦しかった。
それを乗り越え、ここまできました。
これは自分で経験しないとわからない世界です。

サラリーマンをやりながら、数億円単位の物件を買っていく。
誰の助けもないので、全部自分でやらなければならない。
しかも、不動産個人投資家に対して逆風の時代。

よく、人からは、「松村さんは不動産投資を始めた時期が良かったね。本当に運が良かったね。」と言われます。
それは結果であって、当時は家族や両親にも反対され、銀行員にも止めた方が良いと突き放された時代です。

前回にも書いたように、私はマーケット価格を見ていたのではありません。
税引き後のキャッシュフローでその物件が良いか悪いかを判断していました。

ですから、不動産投資を始める時期は、私には関係がなかったのです。
ロンドンから帰国し、既に目標をもっていた私は、直ぐに不動産投資を始めました。

皆さん、不動産投資って、簡単にできるんじゃないかな、ローンさえ付けば買えちゃうんじゃないかと、よく勘違いされます。
このコラムを読んでいる方は理解していると思いますが、決してそんなことはありません。

じゃあ、キャッシュフローが出ていればボロ儲けできるよ、というのも間違いです。
例えば10%利回りの物件を購入したとして、ローンでその物件を買い、10%で運用して回す。
その結果、10%が手元に残るということは有り得ない投資です。
当然、元本返済もするわけですし、税金も払うから、決して楽ではありません。

私がクライアントに、「不動産投資を事業として捉え、投資家を経営者と考えた場合、経営者としてのスキルを身に付けていかないと、不動産投資でいずれ失敗する。」という説明をします。
自分がしっかりした戦略を持ってやっていかないと、私でさえ、2年近く買えなかったし、その間、挫折しそうになったこともありました。

そのとき、自分を支えてくれたのは、夢だったし、家族だった。

私にはメンターや相談できる人はいませんでしたから、頼りは本だけでした。
その当時は、「サラリーマンが不動産投資」と言う様な本はありませんでしたから、投資についても成功者の本ばかり読んで、夢見ていました。
どうやって自分のマインドを維持するか、非常に苦労しましたね。
だって、サラリーマンをやっていたら時間もない。

私のクライアントたちはこう言います。
「松村さんが動いてくれなかったら、絶対買えないですね。」と。
でも、私は「それは言わないで下さい。」と言います。
とても有難いことなのですが、「これは本来、アナタがやることなんです。」と。
「私がいなくてもできるようにならないと、いずれ失敗しますよ。」と。

私は業者や銀行担当者とのメールのやり取りの際に、クライアントを必ずBCCに入れます。
それは、私がいなくても次回からできるようになってもらいたいという意味です。
これが、私とクライアントのWin‐winの関係への第一歩だと考えています。
明日、私は海外に行ってしまうかもしれません。
その前に私のノウハウを盗んで欲しいと思うのです。

息子の一言がステップアップに繋がった

私がサラリーマンを辞めて、投資の世界に入ろうと思ったきっかけは、実を言うと息子の一言です。

私は某大手証券系列会社で働いていましたが、物凄い厳しい会社でした。
それで息子との時間がとれなくて、風呂も一緒に入れなかったし、土日も息子を連れて物件を見に行っていた程でしたから、申し訳ないと思っていたのです。

ある程度までいければ、開放されると思い、目標があったので、その間は我慢してくれとも思っていました。
それでも、朝7時過ぎには会社に到着し、夜は10時、11時過ぎに帰宅する毎日でしたから、さすがにある程度不動産を購入できたときに、「パパ疲れたよ。」と息子に言ったのです。

そのとき、「じゃあ、辞めたら。パパは今、自分で会社を作ったから、その会社だけでいいんじゃないの。」と息子が言ってくれたのです。

息子なりに父親が相当参っていると思ったのでしょう。
あの息子の一言で、これは辞めなきゃ駄目だなという結論に至りました。

ただ、周りからは反対されるわけです。
当然、妻は給料がなくなれば不安になるし、両親も反対、有難いことに会社も反対してくれるわけです。

それでも、私としては投資家としてやっていける自信があり、辞めるという決心をした。
これは、本田健さんの著書「きっと、よくなる!」にも書いてありますが、一度、辞めると思い始めると、その感情を止められなかったですね。

他の会社からのオファーもあり、転職も考えましたが、それでも、辞めると決心したら本当に止まりませんでした。
そして、今考えると面白いものですが、全く後悔しておりません。
「本当に辞めてよかった。」「判断して良かった。」と思っています。
結局、辞めるときも大きなステップアップがあったわけです。

悩みがなかったのかというと、正直そうではなく、本当に悩みました。
それでも息子の一言が大きかった。
そして、辞めたことを息子が一番喜びましたね(笑)。
だって、お父さんが家に居て、息子が小学校から帰って来る時に「お帰り。」と言ってくれるのですから、今までに一度も無かった光景です。
今は妻も辞めてよかったと言ってくれます(笑)。

ただ、今振り返ってみると、3月末に退社して、4月は凄く不安になりました。
サラリーマン時代は土日も含めて分刻みの予定が入っていたのに、それが何も入らなくなるわけです。
第7回 不動産投資アドバイザリー にも書きましたが、そんなときにクライアントとの出会いがあり、私は本当にラッキーでした。