税理士の和田晃輔です。不動産オーナー専門税理士として、和田晃輔税理士事務所(https://www.wada-taxconsul.com/)の代表をしています。
私自身も不動産投資に取り組み、首都圏を中心に80戸程度を保有しています。そうした経験も生かし、不動産投資家・不動産オーナーのみなさまの税務や相続、事業承継のお手伝いをしております。
楽待では、不動産投資家として、また不動産オーナー専門税理士として、不動産に関するさまざまな検討を行う中で得た、ちょっと深掘りした情報をお届けできればと考えております。
◇
今回も、前回と前々回に引き続き「役員借入金」についてです。中小企業の役員が、主に会社の運転資金などとして会社に貸し付けるお金のことです。「代表者借入金」などと呼ばれることもあります。
この役員借入金が増大してしまうと、相続時にトラブルが発生する可能性があるということを、ここまでの記事でご説明してきました。これを避けるための事前の対策として、今回は以下の4~10の方法を取り上げたいと思います。
【前回取り上げた項目】
1.定期的な弁済&法人口座に弁済資金を貯めていく
2.役員報酬の減額と、差額による役員借入金の返済
3.債務免除の実行
【今回取り上げる項目】
4.デッド・エクイティ・スワップ(DES)の実行
5.疑似DES(金銭払込型DES)
6.代物弁済
7.貸付金債権の生前贈与
8.いわゆる第二会社方式を利用した債務整理
9.受益権分離型信託を利用した貸付金債権の評価額の圧縮
10.どうしようもないものはどうしようもない。納税資金の手当てをする
4. デッド・エクイティ・スワップ(DES)の実行
デッド・エクイティ・スワップ(DES)とは、個人が有する貸付金債権を、法人に現物出資する方法です。これによって、個人は貸付金債権と同額の株式を得ます。
一方、法人の側では、同一個人に対する借入金と貸付金を同額両建てで保有することになるので、「混同」(対立する2つの法律上の地位が同一人に帰属すること)により、債権債務は消滅して増加した資本金が残ります。
その名の通り、借入金(デッド)を資本金(エクイティ)に転換(スワップ)したということです。
従来、DESは法的要件が重く、大きな会社が金融機関を巻き込んで会社再建を行う場合などに利用されていました。しかし、会社法施行以降は手続き面も緩和され、中小企業でも活用の余地が生じています。
プロフィール画像を登録