豊富な実績を誇る2人の投資家が、お互いの不動産投資について語り合う本企画。今回は、名古屋市を中心に17棟235室を所有する石黒博章さんと、総投資額180億円の税理士大家・鳥山昌則さんの対談だ。
現在、総投資額が約50億円の石黒さん。総投資額100億円を達成する方法について、「鳥山さんに話を聞きたい」という石黒さんの強い希望があり今回の対談が実現した。
「100億円を達成するまでに大きな壁にぶつかった」と話す鳥山さんだが、どのようにしてその壁を乗り越えてきたのか。さらなる規模拡大を目指すには具体的にどんなことを実践すればよいのか。鳥山さんの歩んできた道から、その成功の秘訣を探っていく。
【出演者プロフィール】
鳥山昌則
税理法人とりやま財産経営代表。税理士法人や不動産会社などのグループ会社10社を束ねる。総投資額は180億円、家賃年収は12億円にのぼる。楽待では「住宅専用より店舗併用! 税理士大家が『2.4億円の店舗付き物件』を買ったワケ」など、多数の動画に出演している。
石黒博章
不動産投資歴18年。愛知・岐阜・三重に17棟235室を所有し、総投資額は約50億円にのぼる。名古屋市内の区分マンションから不動産投資をスタートし、現在は新築物件に力を入れている。過去の出演動画に「年収400万円のサラリーマンだった私が『家賃収入2.5億円の大家』になるまで」がある。
100億円達成までに直面した「壁」
石黒 今回は対談企画を受けていただきありがとうございます。私はこれまで、名古屋市を中心に50億円近くの投資を行ってきたのですが、地元の方でこの規模を超える方と上手く出会えていない状況でした。
このような貴重な機会をいただいたからには、先輩大家である鳥山先生からさまざまなお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
鳥山 光栄です。よろしくお願いします。
石黒 鳥山先生は総投資額100億円を超えていらっしゃいますよね。その過程で特に大変だったことは何でしょうか?
鳥山 最も大変だったのは、50億円から100億円に到達するまでの時期でした。特に融資については大きな壁を感じました。
私が取引していた銀行は、個人にしか不動産融資をしていませんでした。私は複数の会社を所有していますが、本業の税理士業(個人事業)で見られるとなると、苦しかったですね。
融資期間が短く、耐用年数の残り期間でしか融資をしてもらえなかった。RCの物件で20年ほどの融資期間だったので、返済が大変でした。
個人なので税率は所得税・個人住民税・事業税を含めて57.5%になりますし、短期間の返済により元金比率も高くなります。結果としてキャッシュフローがかなり圧迫されました。
1000万円や2000万円の税金を払うために、銀行から借り入れを毎年繰り返す最悪の状態でした。税理士の税金滞納は懲戒免職の対象となるので絶対に避けなければならず、非常に厳しい状況でした。
石黒 すでに持っている物件を手放すことは考えなかったのですか?
鳥山 売却が1番簡単な解決策ですよね。でも私は欲張りなので、物件を手放して家賃収入が無くなることが嫌だったんです。そこで、自分が設立した法人に物件を売却することにしました。
まず、信用金庫に融資をお願いし、50億円までの融資を確約してもらいました。そして名目上は相続対策、子供に継がせるということで複数の会社をつくりました。各社に1棟ずつ売却して3~5割の利益を出し、返済期間を延長してもらったことで、6億5000万円のキャッシュを確保できたんです。
この資金があったおかげで、また次の物件も買い進めることができ、結果的に総投資額100億円を突破できたということです。
石黒 苦しい時期を越えるまで、どのような心境でしたか?
鳥山 税金を支払うための借入額が年々増加し、かなり焦っていました。最初は1200万円だった借入額が1500万円、2000万円と膨らんでいき、信用金庫の職員にも嫌な顔をされていました。それを見て「次の融資はないかもしれない」と危機感を抱き、常に脱出策を考えていました。
石黒 自分の会社に売却することで、まさに大逆転を起こしたんですね。状況が好転してからは、やはり気持ちとして変わったところもあったのでしょうか?
鳥山 そうですね。まず6億5000万円が手元に残ったことで、すごく気が楽になりました。投資規模が50億円を超えて100億円になるまでが1つ大変なところで、それを超えると150億円にも到達できるイメージです。
「100億大家」に必要なもの
石黒 総投資額50億円からの壁、とても勉強になりました。この壁を超え、100億円を突破する大家になるには、どんな素養が必要でしょうか?
鳥山 そうですね、1つは質素倹約であることだと思います。私は不動産以外にはあまりお金を使わず、日常生活も質素に過ごすことを心がけています。性格的な部分もあると思いますが、車や時計、ブランド品に興味がないんですよ。
もちろん、興味があるものは人それぞれだと思いますが、不動産で規模拡大をするという目標を達成するならば、質素倹約を心がけてお金を貯める努力をするのが方法として1つあると思います。
石黒 贅沢品に興味が向かないほど、不動産に熱心ということですね。
鳥山 はい。それから、良い物件を選び、満室経営を目指すことも大切です。これからの経済情勢を考えると、家賃を値上げしていかなくてはいけませんから、それが可能な物件を選ぶことが重要です。
家賃の値上げが難しい物件は売却し、より良い物件に切り替えていく。これを繰り返せば、自然に規模拡大にもなりますし、金融機関からの評価も高まって融資を受けやすくなると思います。
石黒 私はいま4億円以上の新築アパートを建てていく投資手法を取っているのですが、地方銀行さんからの融資がいずれ上限に到達すると見ています。今後について何かアドバイスをいただけますか?
鳥山 地銀さんのコベナンツ(条件付き)融資を検討してみてはいかがでしょうか。最初に3~5%の手数料を取られたり、2期連続の赤字とならないよう求められたりしますが、少し融資条件が緩くなる印象です。
あとは、私が実践したような自分の法人に物件を売却する方法を、金融機関に提案してみてもよいかもしれません。粘り強く説得すれば、融資してくれる信用金庫もあると思います。
石黒 ありがとうございます! 個人の資産を法人に売却する手法、目から鱗でした。やってみようと思います。
「攻撃は最大の防御なり」
石黒 鳥山先生は楽しみながら投資規模拡大されている印象ですが、モチベーションはどのように維持されていますか?
鳥山 私はもともとポジティブな性格なので、特に意識してモチベーションを維持することはしていません。
「攻撃は最大の防御なり」という考えで、常に前向きに取り組んでいます。サッカーで例えるなら、ゴールキーパーも含めた全員で点を取りに行くようなイメージでしょうか。劣勢になったときこそ勝ち続けられる方法を考え、絶対に諦めず、チャンスを掴む姿勢でいます。
あと最近は、年齢を重ねたことで朝5時半に起きるようになったのですが、目が覚めてきたころに30分くらい今後の投資計画を考えるんです。
例えば、毎月1500万円貯めれば、年間で1億8000万円になります。これを元手にすれば、毎年1棟、現金で物件を購入できる。利回りが5%だとしたらであれば、年間で約1000万円の収入になる。それを2000万円にするにはどうすれば良いか…と考えるのが楽しいんですよね。
石黒 なるほど、私もやってみます! ところで、税理士と不動産投資家というお顔を持つ鳥山先生ですが、「お金」そのものにはどのような考え方をお持ちなんでしょうか。
鳥山 お金は命の次に大切なものだと思っています。ビジネスは戦争のようなもので、お金が尽きれば継続できません。ないより、あった方が絶対に良いですよね。
お金を増やしていくことで、精神的な余裕が生まれるし、子孫のためにもなります。日本もいま、お金を貯めずに運用していく時代になってきました。私も若いころから投資を続けてきた結果、この今につながっていると感じています。
対談を終えて
石黒 鳥山先生、本日は貴重なアドバイスをありがとうございました。現在の投資規模50億円というところから、100億円を突破する想像がなかなかできなかったのですが、お話を聞いて自分にももう1段階上に行ける可能性を感じられました。
100億円に届くかはまだわかりませんが、70億円規模くらいに到達するイメージを持つことができました。鳥山先生に教えていただいたような現金を増やす手法と、実直に1棟ずつ買っていく手法を組み合わせてやっていこうと思います。
鳥山 こちらこそ、ありがとうございました。これからも互いに刺激し合い、意見交換を続けていけたらいいですね。石黒さんの成功を心から応援しています。
石黒 お話を聞けて本当に良かったです。ありがとうございました!
>>石黒さんが不動産投資で達成したい「夢」の話も、動画でご覧になりたい方はこちら<<
(楽待新聞編集部)
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