「まさに『トラブル見本市』のような物件でした。一時は自己破産を考えるほど追い詰められていたんです」
福岡県・千葉県に物件を所有する投資家の森崎達夫さん(仮名)。利回りの高さと見た目の綺麗さにつられて物件を購入したが、その後さまざまな問題が発覚し、合計で500万円ほどの修繕費が発生。
家賃収入ゼロのまま月30万円のローン返済を続けなければならないなど、苦しい状況に陥った当時を振り返り、「投資家として本当に基本的なことができていなかった結果だ」と語る。
いったい、森崎さんはどのような物件を購入したのか。購入前に問題点に気付くことはできなかったのか? 詳しい話を聞いた。
高利回りのリノベ物件、全空なのに買ったワケ
もともと、福岡県にいくつかの物件を所有していた森崎さん。関東エリアでも物件を買いたいと考えていたところで、ある物件を見つけて興味をひかれた。
それが、千葉市にあるS造5階建ての一棟マンション。売主の不動産会社が競売で入手し、リノベーションを施した全空物件だった。築年数の割に建物の状態が綺麗だったことが魅力的に見えたという。
森崎さんは当初、関東で知り合った仲介業者に「良い物件があれば教えてほしい」と伝えていた。その仲介業者に、上記の物件はどうかと相談してみたところ…。
「『じゃあ交渉しますね!』と仲介業者が意気込んで、売主の不動産会社と交渉し、なんと1000万円の指値が通ったんです。なぜこんな大幅に値下げされたのか、今考えればこの時点で疑問に思うべきだったのですが、高利回りが狙えると浮かれてしまいました」
■物件情報
・種別:一棟マンション(S造、築25年程度、10室+1階スケルトン、全空)
・場所:千葉市
・購入時期:2010年ごろ
・購入価格:5200万円
・表面利回り:満室想定で15%
・融資:地方銀行でフルローン、金利4.5%、期間25年
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