トラブルの当事者別パターンは5つ

先日、東京都西東京市で、「下の階の住人のドアの開け閉めがうるさく、腹が立った」という理由で、自宅マンションに放火した男が逮捕される事件がありました。

この連載の前回の記事、「第2回 借り主同士の争い事に備える。ご近所トラブルのナンバーワンとは!?」を配信後まもなくのことで、知人の不動産オーナー数名から、「騒音トラブル」について相談される機会が続きました。

このシリーズでおなじみの、「安全で快適な暮らし」をモットーに活躍する不動産アドバイザーの穂積啓子さんは、所有する物件で起こりうるトラブルについて、
「当事者別に分類すると、『入居者同士のトラブル』、『入居者に起因するトラブル』、『入居者とオーナーとのトラブル』、『オーナーに起因するトラブル』、『物件関係者以外に起因するトラブル』の5つのパターンがあります。それぞれに応じて、予防法や解決策の情報をあらかじめ知っておくことは有用だと思います」と話します。

今回は、一見、「入居者に起因するトラブル」のうち、「部屋で違法行為をされた場合」についての事例と、オーナーや管理会社の対応について、穂積さんにお話を伺います。

一人暮らしの女性の部屋が、違法風俗店になっていた

――入居者が起こすトラブルのなかでも、「事件化」は最悪のケースでしょう。

穂積さん 先日、こういうことがありました。知人の紹介の分譲賃貸マンションのオーナーに相談された例です。一人暮らしの女性に部屋を貸していたオーナーが、「この部屋の方、水道代がかなり高いのよね……」とつぶやくんです。

『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』(東京書籍)より。原作・文 朝日奈ゆか、漫画 東條さち子

『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』
(東京書籍)より。原作・文 朝日奈ゆか、漫画 東條さち子

 

水道代は、マンションやアパートなどの場合、入居者が家賃とともにオーナーか管理会社に支払うことが多いので、オーナーは入居者の水道代を把握しています。水道代をオーナーらに支払う仕組みは水道メーターの設置の関係ですが、この際そのことではなくて、「なぜその戸だけ、水道代が高額なのか」ということが問題です。

ご存じのとおり、水道代は、家族が一人増えるだけで、また大勢の来客があるなどすると急に料金が上がります。トイレと風呂で相当量を使用するからです。ですから、この女性宅の場合も、実は一人暮らしではなくて、「大勢で暮らしているのかも」、「トイレのタンクの故障かも」などの原因が予想されるわけです。

誰しも、急に高額な水道料金を請求されると、自分からオーナーや管理会社に異議の問い合わせをするでしょう。
この女性の場合、4人暮らしの家庭と比べてもまだ高いのですが、毎月きっちり支払われていたんです。

――つまり、高額請求されたにも関わらず、異議も伝えずにきちんと支払われることこそが不審だというわけですね。

穂積さん はい、そうです。契約時に申告があった「1人」という入居者人数でないことは確かです。大勢で暮らしているか、水を大量に使う何か特別なことをしているのだと推測できます。事実を確認しなければなりません。

――どのようにして原因究明されたのですか。

穂積さん まずは、「部屋の設備に不具合があるのでは」という前提で、ご本人に確認をとります。部屋を訪ねて、「水道代が高額になっています。水漏れの可能性があるので、トイレのタンクやキッチン、風呂を点検させてください」とお願いします。

この時点で部屋の点検に応じない場合は、「不審だ」と確信できます。案の定その女性は、「だ、大丈夫です~」と、点検の必要はないと言い切られ、玄関先に出て来られることもありませんでした。

――穂積さんの「何かあるな!?」という勘が働く瞬間ですか。

穂積さん オーナーに水道代の話を聞いたときから、予感はありました。ずばり、部屋で人に知られたくない仕事、例えば風俗業をしているのではないか、という予感です。