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9月17日、国土交通省が2024年7月1日時点の「基準地価(都道府県地価調査)」を発表した。全国平均では、全用途平均が前年比で1.4%上昇、住宅地では0.9%上昇、商業地では2.4%上昇と、それぞれ3年連続のプラスとなった。

景気が緩やかに回復している中、地域や用途によって差はあるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が続くなど、全体として地価の上昇基調が強まっている。

地方圏・その他の地域で32年ぶりの上昇

公表された結果によると、基準地価の全用途平均は昨年の1.0%上昇に続き、1.4%の上昇。住宅地、商業地も3年連続の上昇となり、上昇率も拡大した。

全用途平均、商業地は、東京圏で12年連続、大阪圏では3年連続、名古屋圏では4年連続で上昇となった。住宅地においては、東京圏・名古屋圏では4年連続、大阪圏では3年連続で上昇。いずれも上昇率が拡大している。

基準地価の前年比変動率 。( )内は前年の数値であり、▲は下落を表している。地方四市とは、札幌市・仙台市・広島市・福岡市のこと

地方圏でも、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続の上昇となった。昨年、長らく続いていた下落傾向を脱したところだったが、今年も上昇傾向を継続した結果となった。

札幌市・仙台市・広島市・福岡市を指す「地方4市」では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも12年連続での上昇となったが、上昇幅は縮小した。

地方圏のその他の地域では、住宅地でマイナス0.1%、商業地ではプラス0.5%をつけ、全用途平均はプラス0.2%となった。全用途平均が上昇となったのは1992年以来32年ぶりであり、全国的な傾向として地価が上昇基調にあることを裏付ける形となった。

公示地価を補完する「基準地価」

ここで、基準地価とは何か、簡単に振り返っておこう。

基準地価とは全国の「基準地」1平米あたりの価格。公示地価や相続税路線価は1月1日時点の価格であるのに対し、基準地価は7月1日時点の価格を示す。これらを比較することによって、半年ごとの評価の動向を計ることができる。

土地価格の算出方法5つ。基準地価の計測目的は公示地価と同じだが、計測対象など細かな点で違いがある

半導体関連企業誘致の影響も

今回の地価動向で注目すべきは、商業地の地価上昇が著しいことだ。主要都市では、観光需要の回復や都市開発などによって、利便性向上やまちの活性化に期待感が高まり、地価上昇が続いている。

地価変動率の順位表で上位に入った地域を見ると、住宅地・商業地ともに北海道千歳市や熊本県菊池郡といった、大手半導体メーカーの工場が進出する街やその周辺地域が多かった。2023年から23~33%ほどの地価上昇となっている。

熊本県菊池郡菊陽町の基準地価は大きく上昇した(楽待「賃貸経営マップ」より)

従業員向けの住宅需要のほか、関連企業の工場用地や店舗等の需要も旺盛となっているといい、今後もこの高い地価上昇率が継続するのか、注目したいところだ。

今回の調査で、全国の地価は上昇が続いていることがわかった。昨今は経済情勢の変化も目まぐるしい。日銀の利上げなどの影響が今後の不動産市場にどのように表れてくるのか、動向に注目していきたい。

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※基準地価は2024年発表の最新の情報に更新済みです。

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(楽待新聞編集部)