岸田文雄首相の任期満了に伴い、行われた自民党総裁選。27日の投開票の結果、石破茂氏(67)が第28代総裁に選出された。
1回目の投票では高市早苗氏(63)が181票を獲得。石破氏が次いで151票だった。いずれの候補者も過半数に届かなかったため、得票数上位の高市氏、石破氏による決選投票が実施された。
決選投票では高市氏が194票、石破氏が215票を獲得した。石破氏が高市氏を逆転する形で、新総裁に選出された。
金融緩和に前向きな高市氏への期待感が高まっていた株式市場は、石破氏の選出を受けて混乱。日本株の売り姿勢が強まり、夜間取引では一時、日経平均先物の12月物が3万7700円前後まで急落。前日の2000円安を記録した。
石破氏は同日午後6時から、総裁となって初めての記者会見に臨み「岸田前総裁が、自民党をめぐる問題に自ら身を引くという決断をして、こういう形の総裁選になった。党の同志とともに、岸田前総裁の気持ちに報いるように、全身全霊を尽くしてまいる所存だ」と決意を述べた。
記者から「経済に強いイメージはあまりないが、まず、どういった経済政策を打ち出していくのか」と問われると、「喫緊の課題は能登の震災、そして直近の豪雨対策だ。これは補正予算の編成を待っているわけにはいかないので、基本的に予備費で対応していく」としたうえで、「当面の物価高には、対応していかなければならない。どういった施策が最も有効であるかよく見極めてやっていきたい」と話した。
また、経済政策に関連し、海外にある生産拠点に対して「これを国内回帰させることによって、日本国内に雇用と所得の機会をつくっていく」などとも言及した。
衆院解散に関しては、「新政権が発足をするので、いずれの時期には審判を賜わらねばならない。野党とも論戦を交わした上で判断いただきたい。しかしながら、なるべく早く審判を仰ぎたい。その2つをあわせて、適切な時期を判断してまいりたい」と語った。
◇
石破氏は今後、10月1日に招集される臨時国会で首相指名される見通しだ。直近で、楽待新聞が読者の不動産投資家を対象に行ったアンケートでは、54%が金融緩和路線の高市氏を支持していた。
石破氏も「デフレからの脱却を確実なものにしていかなければならない。物価上昇を上回る賃金上昇を実現するために、新しい資本主義に加速度をつけてまいりたい」と述べるが、今後の閣僚人事、あるいは金融政策をどのように打ち出していくのか、注目が集まる。
(楽待新聞編集部)
プロフィール画像を登録