よい物件を見つけたのに、土地勘がないエリアにあるので投資判断が難しい―。このようなとき、あなたはどんな行動を取りますか?
多くの方は、何らかのデータを参照するのではないでしょうか。たとえば、楽待の「賃貸経営マップ」では、路線価や公示地価・基準地価、空室率など、不動産投資に必要なデータを地図でまとめて確認できます。
データを投資に生かすためには、投資家の分析力も重要です。今回は、10月1日に更新されたばかりの「空室率データ」を使って、投資歴20年超の投資家2人に、実際にエリア分析をしてもらいました。
そもそも「賃貸経営マップ」で何ができる?
楽待の「賃貸経営マップ」では、さまざまなデータを地図に重ねて表示できます。現在は、スマートフォン用アプリ・PCの両方で、7つのデータをご覧いただけます。
■賃貸経営マップで見られる7つのデータ
1. 路線価
2. 公示地価・基準地価
3. 空室率
4. 人口・世帯数
5. 平均利回り
6. 取引価格
7. ハザードマップ
専門的な情報をワンタップで、Googleマップのような直感的な操作で確認できます。まだ使ったことがない方も、ぜひ一度「賃貸経営マップ」を開いてみてください。
「空室率データ」で分かること
空室率とは、「そのエリアで供給されている賃貸物件のなかに、空室の物件がどれくらいあるか」を示す割合です。総務省統計局が5年ごとに公開する「住宅・土地統計調査」のデータを当社で集計して算出しました。
現在は、最新となる2023年時点のデータまでを反映しています。
賃貸経営マップでは、空室率を市区町村ごとに確認できます。また、空室率の「文字色」に注目することで、前期と比べた上昇率・下落率がわかります。
前回計測時と比べて地価・空室率が上昇したエリアは赤色、下落したエリアは緑色、横這いの場合や最新のデータしかないエリアは黒色で表示されています。
さらに、空室率が気になるエリアをタップすると、具体的な空き家数・借家数や、過去データ(2003年~2018年)も表示されます。
投資家はどう分析する?
不動産投資家は、空室率データからどんな情報を読み取るのでしょうか? 今回は2人の投資家に、実際に賃貸経営マップを使ってもらいます。
MOLTAさん
不動産投資歴31年。西日本エリアの一棟ものを中心に物件を保有する。
テリー隊長さん
不動産歴20年超。2021年にFIREし、現在は専業大家。東京都内を中心に不動産投資を行う。
まずは、「近隣エリア同士で空室率が大きく異なる場所」を見てもらいました。
■MOLTAさん:大阪市北区・中央区
北区と中央区はどちらもオフィス街として栄えており、大規模なタワーマンションがたくさんあるエリアです。しかし、空室率は北区が13%、中央区が22%と、北区のほうが10%ほど低いです。
大阪駅がある北区は、大阪の玄関口ともいえるエリアです。転勤してきた会社員の方が、タワマンやその他の物件を賃貸して住む、という需要が強そうです。新幹線の新大阪駅や伊丹空港にも行きやすく、北区に住めば帰省しやすいでしょう。
隣の中央区は、地元の方からの人気が高い一等地です。しかし、転勤に伴う賃貸需要は大きくないと思います。
北区・中央区ともにタワマンが多く建っていますが、購入者の投資戦略は異なると思います。中央区の物件はより強い投資目的で購入されており、部屋を買うだけ買って、入居者を入れていないオーナーも多いのかもしれません。
空室率に差が出る一因には、こうした背景もあるのではないかと思います。
■テリー隊長さん:千葉県流山市・埼玉県八潮市
ほぼ隣接した2つの市を見てみました。どちらもつくばエクスプレスの沿線にあり、都心へのアクセスは良いです。空室率は八潮市が7.6%、流山市が18.8%となっています。
八潮市の方が空室率が低く、前年度比でも改善されています。ですから、流山市よりも八潮市のほうが投資のリスクが低い、と考える人も多いかもしれません。
しかし実際のところ、八潮市は工場が多く、商業施設も少ないエリアです。居住地としてそこまで人気が高いわけではないと思います。
一方流山市は、流山おおたかの森駅を始め、商業施設が豊富です。また、市が子育て支援をしているので、非常に人気が高いです。
こうした背景を鑑みると、八潮市の空室率が低い理由は、そもそも新築住宅の供給が少ないことだと思います。流山市は将来性と人気があり、新築の供給が多いと考えられます。一時的な供給過多により、空室率が上がったのではないでしょうか。
単に「空室率が低いからこの場所は投資に適している」と考えてはいけないと思いました。
「瞬間的な空室率が何を表しているかは、慎重に分析をしなければならない」とテリー隊長さんはいいます。
より深い分析をするためには、どんなデータに注目するべきでしょうか。賃貸経営マップの一歩進んだ使い方を見てみましょう。
空室率そのものより、その市町村で借家の数が増えているか、減っているかの方が気になりました。賃貸経営マップのエリアの詳細をタップすると、過去の借家数が並んで表示されます。借家数が減っているところは、人口が減少していて投資には適さないところのように思えました。
東京23区を見てみると、人気の世田谷区も借家の数は減っています。これは、土地が高くて新規投入が抑制されている上、すでに供給過多になっているためと思われます。よっぽどいい条件の物件でなければ、投資には慎重になるべきだと感じます。
逆に、借家数が増えているのに空室率が下がっているエリアは有望だと思います。探してみると、首都圏にもそんな場所が見つかりましたよ。
賃貸経営マップが便利なのは、さまざまなデータを比較しながらエリアについて知れるところだと思います。
近くのエリア同士を比べても、空室率が大きく変わるケースもあります。人口が多いのか、世帯数が多いのか、地価に差があるのか…。データを行ったり来たりしながら考えることで、地縁のない場所でも理解を深めることができます。
地図情報も役に立つと思います。たとえば、周辺よりも空室率が低い場所を見つけてよく見たら、複数の国道が集まっていたんです。交通のハブとして機能しているので賃貸需要が高い、ということなのかもしれません。
◇
さまざまな情報を地図の上で、直感的に切り替えながら確認できる「賃貸経営マップ」。投資先として検討しているエリアはもちろん、ご自身の地元や旅先など、気になるエリアの情報をぜひチェックしてみてください。
(楽待広報部)
プロフィール画像を登録