平成バブルの崩壊後、不動産価格が大暴落し、銀行などが大量の不良債権に苦しんでいた時代。一世を風靡したビジネスがある。
100兆円とも言われた不良債権問題の裏で、担保価値が落ちた不動産を安く買い取り、バリューアップ後に売却するなどして大きな利益を生む「不動産ファンド」だ。
「ディール(商取引)っていうのは、カネの匂いがするかしないか。優れた投資家はカネの匂いを嗅ぎつける嗅覚に優れているものだ」
こう語るのは、日本における不動産ファンドビジネスの先駆者と言われる川島敦氏だ。
ケネディクスの代表を退いて5年あまり。その穏やかな表情の裏には、リーマンショックの余波で倒産寸前まで追い込まれた過去がある。
不動産で天国と地獄を味わった川島氏が、波乱万丈の半生をまとめた著書『100兆円の不良債権をビジネスにした男』(プレジデント社)を今年6月に出版した。
それは、不動産ビジネスの世界を渡り歩くヒントが詰め込まれた「生きた教科書」そのもの。著書で語られた数々の逸話の中から選りすぐりのエピソードを、インタビューで聞いたこぼれ話とともに紹介する。
不動産業界にやってきた「黒船」
―不動産ファンドビジネスが始まったのは、平成バブル崩壊後で日本経済全体がどんよりしていた時期ですね
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