「正直に言って、地獄を見ました。もうこの規模の物件の再生はやらないかな…」

そんな風に、力なく笑いながら本音を吐露するのは、静岡県内で複数の物件を所有する小島良樹さん(仮名)。サラリーマンとしての本業をこなしながら、RC物件を中心に規模拡大をしてきた、年間家賃収入約4000万円という投資家だ。

そんな小島さんがこの1年、注力していたのは、昨年秋に購入した一棟RC物件の再生。全16室のうち15室が空きの状態で購入した物件だが、残る1室も購入直後に退去したため、「全空物件」を一から再生させることとなった。

満室となれば、表面で約50%、リフォーム費を含めても20%程度になるという高利回りだが、1年間、再生事業に携わってきた小島さんは「安易に手を出すべきではなかった」と後悔も口にする。

いったい、どのような苦労があったのか。物件は現在、どのような状態になったのか。小島さんの1年間の軌跡を追った。

ほとんど「廃墟」の物件、断念する人も多く

小島さんが購入したのは、築40年超のRC物件。4階建てで、テナント2室を含む全16室が設けられていた。駅からは少し離れているものの、市役所や学校などのすぐそばという立地。需要はありそうだと感じた。

建築当初は億単位で費用をかけていただろうと一目でわかるしっかりとした作りも魅力だったという。

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