pic606_02通常の物件よりも安値で取引されることが多い「事故物件」。住む人にとって心理的に何らかの欠陥・欠点を有する物件との意味で「心理的瑕疵(かし)物件」と呼ばれることもある。

広義で「事故物件」とは、過去に人の死に関わる事件があったり、雨漏りや白アリなどの被害があったり、近隣に墓や指定暴力団組織、宗教組織などがあったりするような、告知義務のある不動産物件を指す。

ただし、世間一般に「事故物件」は自殺や他殺、孤独死、火災による死亡事故などをはじめとする事件があった建物として認知されていることが多く、そのような「事故物件」を集めたウェブサイトも存在する。

これらの事故物件、心理的瑕疵物件は「訳あり物件」として、同じ建物内でも他の部屋と比べて、安く貸し出されたり売却されたりする点が特徴だ。不動産広告で「告知事項あり」「重要告知事項あり」などの記載を見たことがある人もいるだろう。

「死んだ人の霊が出そう」と避ける人もいるが、完全にリフォームされた物件が割安で借りられるとあって、一部では事故物件を積極的に探す人も少なくないと聞く。では、どんな人がどんな考えで事故物件に住もうと思うのか、また住みたくない人はどんな思いを抱えているのか、20〜30代の男女数人に話を聞いた。

死のニオイを感じない物件であれば気にしない

まずは「事故物件、心理的瑕疵物件に住める」派の意見を見てみよう。彼らの中には「霊を信じない」とする意見が目立つ。

「完璧にリフォームされていて過去を感じるものがなければ、事故物件かどうかはまったく気にならない。どんな理由で人が亡くなったとしても、臭いが残っていたり、虫が寄ってきたりと実際的な影響がなければ、他の物件と変わらない。とくに割引がなくても気に入った物件であれば入居する」(男性・26歳)

「上京して事故物件に住んでいたことがある。実家がお寺だということもあって、霊などは気にならない」(男性・28歳)

以前、風呂場で首吊り自殺が起きた物件を内見した経験を持つ男性は「不気味な雰囲気や嫌な雰囲気はなかった」と振り返る。

「幽霊などの心霊現象は信じていないし、臭いや汚れが残っていなければ問題ない。値引き交渉しやすくなるので、家賃を安くあげたい自分にはありがたい。事故物件に限らず騒音問題などのトラブルは誰にでも起こる可能性があり、事故物件か否かは深くは気にしない」(男性・32歳)

事故物件の告知義務期間を過ぎていたり、誰かが一度でも住めば心理的瑕疵物件である旨を伝える必要がないと考える不動産屋もいるので、事故物件とは知らずに暮らしている人はたくさんいると思う、と男性は語る。

女性の多くは「霊(の存在)を信じているから嫌」と回答

さようなら一方、大多数からは「事故物件、心理的瑕疵物件には住みたくない」との回答が寄せられた。とくに取材対象者の女性はほぼ全員「住めない」と答えている。その理由を詳しく見てみよう。

「ちょっとした物音や単なる金縛りでも幽霊を連想して恐怖を感じるから」(女性・28歳)

「自分は霊感があるタイプではないが、何かある度に『やはり事故物件のせいでは』と疑心暗鬼になってしまいそうだから」(女性・28歳)

「幽霊という存在をある程度信じているので、幽霊と関わりそうな場所は避けたい」(女性・29歳)

「霊が出ないかずっと気になってしまいそうなので無理。家は毎日生活するところだから、スッキリした気持ちで住みたい」(女性・30歳)

「怖いし気持ちが悪い。まだ幽霊を見たことはないが、何かが見えたり変なことが起きたりしたら嫌だ」(女性・34歳)

など、多くは「事故物件=人が死んだ場所=霊が存在するのではないか」と連想していることがわかる。

「家族や友人の中に事故物件を嫌う人間がいて、人間関係を考慮するとそこを選ばないほうが利益になるから」(男性・26歳)

霊の存在よりも、周囲への配慮をする男性もいた。

明らかな負のオーラを感じた経験談

この他にも、事故物件を忌避するきっかけとなった、興味深いエピソードも寄せられている。

「自殺者が出たビルや建築時に事故死があったビルに勤めていたが、何となく雰囲気がよくなくて、ストレスを感じた経験がある。今はそこそこ安定的な収入があるため、安い家賃にこだわりもなく、あえて事故物件に住もうとは思わない」(女性・28歳)

霊こそ目にはしていないものの、事故物件が肌に合わなかったことから、事故物件に住むのは避けたいと思うようになったという。

「以前ほぼ新築のマンションに入居2ヵ月後から、部屋中にカビが生え始めるという怪奇現象に見舞われたことが理由。まな板からカーテンから、とにかく持ち物すべてにカビが生えてしまい、その4ヵ月後逃げるようにその部屋を後にした」(女性・27歳)

新築物件で異様な体験をした女性は、どんなにお金に困ってしまっても事故物件は無理だと強く口にする。

一方、ほとんど貯金がなく家賃を安く抑えたいと語る女性は、住めそうな事故物件のラインについて教えてくれた。

「火災で仕方なく人が死んでしまった場合はリフォームでもいいけれど、自殺や殺人物件があった場合は怨念が蓄積していそうだから建て替えでないと無理。自然死や孤独死はリフォームされていても微妙かも知れない」(女性・27歳)

ほぼすべての女性が心理的瑕疵物件を避けたいと話す一方、男性は心理的瑕疵物件であってもさほど気にしないといったリアルが明らかになった。霊の存在を信じるか信じないかが、大きく関わっていると思われる。もし自身の物件が心理的瑕疵物件になってしまった場合には、男性をターゲットに客付けを検討してはいかがだろうか。

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