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海外不動産投資を考える際、近年では新興国が集まる東南アジア諸国の物件に注目している人が少なくはないのではないだろうか。

中でもシンガポールは世界でも治安がよく住みやすい国として常に上位に挙げられており、世界各国の富裕層が多く集まることでも知られている。そのため、シンガポールの賃貸用物件の購入を希望する不動産投資家も多い。

シンガポールで不動産の賃貸・購入サポートなどを手がけるフォーランドシンガポール社ダイレクターの顧軍さんに、シンガポールと今注目されているマレーシア・ジョホール州ジョホールバルの物件について話をうかがった。

40平米=7000万円!? シンガポールでは不動産価格が高騰中

シンガポールは現在、不動産価格が高騰しています。例えば、40平米ほどの物件でも7000万円前後と、東京都心よりも高額な物件も少なくありません。

現在は、住宅不動産市場の加熱防止と投機抑止を目的に、シンガポール政府は高い印紙税をかけています。物件を購入した際には、不動産取得者印紙税約3%のほか、買い手が日本人を含む外国人の場合は加算印紙税15%が課されます。例えば、1億の物件を購入した場合、印紙税だけで購入価格の18%分である1800万円も払わなければなりません。

また、4年以内の住宅短期転売についても印紙税率が大幅に引き上げられています。仮にその物件を取得後1年目で売却する場合、取引価格の16%の印紙税を納める必要があります。購入時の18%分と合わせると、34%も余計に支払わなければなりません。短期でその34%分をカバーできる物件は皆無ですので、投資用物件として購入するのは現実的ではありません」

日本とは異なる税金形態が影響し、うかつに手を出すと大損をすることになりかねない。では、商業用物件ではどうか。

「商業物件であれば印紙税はかかりませんが、それでも年間を通じて2%程度の収益しかないのが現状です。いずれにせよ、外国人にとってシンガポールの不動産投資の魅力は薄れているといってよいでしょう。

さらに、現在円安が進んでいることを考えると、日本人にとってはさらに割高感があるのではないでしょうか」

印紙税がかからないとはいえ2%程度の収益しか上がらないのであれば、わざわざシンガポールの不動産に投資するメリットはほとんどない。商業用物件であっても、やはり投資する魅力はないと言わざるをえないようだ。

狙い目は隣国マレーシアの「ジョホールバル」

シンガポールの地価が高騰している一方で、シンガポールと橋でつながる隣国マレーシアのジョホールバルでは、不動産市場も加熱しているという。国家レベルのプロジェクト開発が進んでおり、世界中の不動産投資家が熱い視線を注いでいるのだという。

「海外不動産に注目している方ならご存じの方も多いと思いますが、シンガポールの対岸であるジョホールバルを中心とした地区では、現在「イスカンダル計画」と称される、マレーシアとシンガポールの合同開発プロジェクトが進行しています。

2006〜2025年のおよそ20年に渡って進行される「イスカンダル計画」では、シンガポールの国土の約3倍にあたる約2200平方キロメートルの土地に、マレーシア国内外のデベロッパーらが参画しています。

金融、観光、教育、物流、医療、クリエイティブのサービス業6分野と、電気・電子、油脂・石油化学、食品・農産物加工の3分野を重点分野として、地域をA~Eの5地区に分類。それぞれの地域特性などを活かし、工業団地や大学、テーマパーク、商業施設、住宅地などを整備する大規模な都市開発を行っています。

経済発展著しいシンガポールに面した立地を活かし、シンガポールと同じ経済圏として発展させ、現在150万人ほどの人口を2025年までに300万人に増やすことを目標としています

イスカンダル計画は、国土の狭い日本や、東京23区ほどの面積しかないシンガポールでは到底実現できないような大規模国家プロジェクトだ。世界中の不動産投資家たちが注目しているのもうなずける。

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購入規制があってもマレーシア!? その理由とは

もちろん、マレーシアにおいても今年の5月より、外国人の購入制限が施行されている。購入制限は以下の通り。

「まず、不動産購入最低価格がRM500,000からRM1,000,000に変更されています。(RM=リンギット。マレーシアの通貨)ただし、ジョホールでは5月1日以前に建設許可の下りている物件に関しては現状維持のRM500,000以上の物件でも購入が可能となっています。

次に、キャピタルゲイン税の引き上げ。今までは、不動産購入から売却時期が、2年未満の場合は15% 、年以上5年未満の場合は5% 、5年以上なら0% となっていましたが、今年からは、5年未満なら30% 、5年以上なら5% となっています」

なお、ジョホール州限定で、不動産購入の際には州政府の合意が必要になるそうだ。その際の費用としてRM10,000だったのが、物件価格の2%若しくはRM20,000の高い方となっている。

「上記のことから、日本円に換算して約1500万円から購入できたものが約3000万円以上でないと購入できなくなっており、投資家にとってかなりハードルが上がることとなります。

今までは主婦の方や普通のサラリーマンの方もマレーシア不動産への投資に興味を持たれることが多かったのですがその層が減ってしまったのは事実であり、富裕層向けの市場になりつつあります。

しかし、マレーシア国内で唯一その規制から外れる場所がジョホールバルのメディニという地区にあります。マレーシアの特徴である所有権は持てませんが、99年以上の借地権となっているため特に差異はありません。

また、同エリアであればRM500,000以下からでも購入できますし、キャピタルゲイン税もかからないことから、この地区に熱視線が注がれています」

なお、同エリアでは、三井物産がマスターデベロッパーに参入し、来年にはシンガポールの市立病院も完成する予定だ。

「今は未開の地に少し毛が生えたような状態ですが、数多くの大手デベロッパーもこの地区に土地を保持しており不動産に限らず多くの開発が行われています。また、経済特区となっており積極的に外資系企業が誘致され始めています」

アジア圏で注目されているエリアとしては、他にミャンマー、カンボジア、タイなどが挙げられる。しかし、地域によっては「契約書が英語でなかったり、外国人が不動産を個人名義で購入できなかったりすることもある」そうだ。外国人が購入するハードルとリスクが高いことを考えると、外国人が安心して投資できる環境が整備されているのがマレーシアと言えるだろう。