収益不動産をお持ちの読者は、現状の金利条件に満足しているだろうか。
同じ利回りで金利条件が良ければ、受け取るキャッシュが増える。やり方次第では大きな効果の望める借換えが、今、不動産投資家の間で熱を帯びているようだ。
また、借り換えではなく、借入先の銀行への金利交渉をする投資家も増えているようだ。交渉次第では借換え以上のメリットも享受できるとあって、金利交渉に挑戦する不動産オーナーも後を絶たない。
しかし、借換えにしても金利交渉にしても、やり方を間違えてしまえば、うまくいく可能性が低くなる。交渉のために必要な情報、話を進めていくのに重要な順序もある。そこで今回は銀行借換えや金利交渉に成功した投資家達に取材した実態をお届けする。
まずは準備、タイミングを見定める
借換えには準備が必要だ。自分の属性だけでなく、賃貸経営における規模や経営状態も大切。それからタイミングもある。1棟目を購入したばかりでは、まだ実績がないということで門前払いをされる可能性もあるため、最低でも半年、できれば1年以上の返済実績を作ってからの方が良いと言われている。
注意したいのは地銀のS銀行など、いわゆる「担保評価が甘い」と言われている銀行からのフルローン借入だ。他行では担保価値が足りずに借換えができない場合もあるそうだ。
その対策としては、数年待って返済が進んでから話を持っていくか、ある程度自己資金を使って借入額を減らすなどがあげられる。
逆に担保があまっているというケースもある。例えば、自己資金を多めに入れて融資を受けたときがそうだ。その場合は、他行で金利を下げてもらえる可能性が非常に高いようだ。
金利交渉必勝テクニック
もっとも手間がかからないのは、借換えではなくて、今借りている銀行に交渉して金利を下げてもらうこと。ここで必要となるものは「他行の金利情報」だ。
まずはライバル銀行の情報収集。大家さん仲間や先輩大家さんから紹介を受けて、いろんな銀行の情報を担当者レベルで集めたい。「知り合いの大家さんがいない……」というときは、大家の会に参加するなり、著名投資家のセミナーに参加するなり、なんらかの手段で紹介ルートを手に入れよう。そこは努力が必要だ。
そして銀行の担当者を紹介してもらえても、あえて借換えについて相談せず、あくまで「金利何%で貸している」という情報収集だけに徹する。それが、今借りている銀行の金利より低いことがもっとも大切なポイントだ。
情報収集が終わったら、現在の借入銀行に、金利交渉の余地があるかどうかを確認する。その上で、現在借りている金利より「安い金利」にならないか交渉を進めていく。具体的には「○○銀行から○%で貸してくれるという打診をいただきました。できれば銀行を変えたくないので、金利交渉をさせてもらえないでしょうか」となるべく丁重に話を進めるべきだという。
実際には借換えのオファは来ていなくてもかまわない。「話が来ている様にふるまうだけでいい」と成功者は語る。
この方法を使って高金利で有名なS銀行で、1%以上の金利交渉に成功した不動産投資家もいる。もちろん失敗した投資家もいて、その場合はS銀行から別の銀行に借換えることが次のアクションになると言う。
そこで大事なのは、現状の融資を一括返済した場合の違約金の有無など、借換えにいくらの資金が必要なのかを確認すること。そして、それに見合うだけの利益を確保できるのかも確認する必要がある。
上記の通り準備を整えたら、本格的に借換え先の銀行を調査する。その時、このような借換えのための動きは、現状の融資を受けている銀行へは決して見せないこと。報告する場合は「たまたま良い条件でお話をいただいたので」と、先方から借換えの提案をされてしまった……というスタンスを貫き通すことが重要のようだ。
本来、借換えは金融機関にとって大きな損失であり、良くは思われない。後々を考えてなるべく円満にしておいた方が賢明というのは、成功者の面々が共通して語っていたことだ。
借換え交渉をする銀行はどうやって選ぶのか
借入している金融機関が地方銀行や信用金庫であれば、同じエリアにある地方銀行、信用金庫に持っていくのが吉。できるだけライバル関係にある金融機関の方が、話は進みやすい。
なお金利だけいえばメガバンクがもっとも低く、ついで地方銀行、信用金庫となる。借換えの交渉を行うには、同じ投資家仲間からの紹介があるのが一番いいという。
一部注意が必要なのは、地方銀行の支店によっては融資部の人材が手薄な場合があることだ。普通の支店とローンセンターであれば、ローンセンターの方が有利な場合もあるので、その辺の情報収集もできているといいだろう。
借換え&金利交渉、成功の秘訣
借換えや金利交渉に成功している先輩投資家に共通しているのは、「きちんと経営できている」の一言に尽きる。サラリーマン大家の場合は属性が良いこともポイントになるが、不動産賃貸事業が順調に黒字で経営できていることがもっとも重要と言える。
そして、もうひとつのポイントとして、「キャッシュフローを口座に貯めている」こと。融資を受けていると、その銀行の口座を家賃の振込口座に指定されることが多い。しかし、その口座からは修繕費用や税金など、不動産経営に関わる経費以外には引出さない方が堅実な経営者という印象を与えられるようだ。
また、不動産の経費や収入などを一目瞭然にしておくことで、「しっかり管理できている経営者」という信用を得られやすいという声もあった。
最後に借換えや金利交渉で折衝する際に、絶対に言ってはいけない地雷ワードをお伝えしよう。不動産投資家やサラリーマン大家さんであれば、よく使う言葉であるが、金融機関では絶対に言ってはいけない!
【地雷ワード1:不動産投資】
融資の申し込み時にも言ってはいけない。「不動産賃貸事業」というべし!
【地雷ワード2:出口戦略/売却/キャピタルゲイン】
不動産賃貸事業の基本は持ち続けること。売買目的では「投資」と見られてしまう。
基本的に金融機関は「投資」には融資しない。あくまで不動産賃貸事業の設備資金に融資するので、そこは間違えないようにしたい。借換えをすることによって、投資効率は上がるのが事実だが、「経営が改善される」という表現がベターのようだ。
以上のことを踏まえて、金利に不満のある読者は、借換えや金利交渉を検討してみるのも一つの選択肢かもしれない。
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