pic01不動産オーナーに人気のプロパンガス。上手に使えばお得ではあるものの、場合によっては入居者への負担が大きくなりすぎてしまい、空室率の上昇に結びついてしまうケースもあるようだ。

プロパンガスを契約する際、オーナーは何に気をつけるべきなのか。都内のプロパンガス業者らに匿名を条件に裏事情を話していただいた。

給湯器、エアコン、ウォシュレット設置……。過剰サービスに要注意!

都市ガスからプロパンガスに切り替える大家が多い理由のひとつは、設備費が安いこと。給湯器はもちろん、ケースによってはヒーターやウォシュレットなどの設備を、ガス業者が大家の代わりにグレードアップしてくれることもある。

「近年、都市ガスはもちろん、オール電化の参入などによって、業界の競争が激化しています。そのため、プロパンガス業者間ではサービス合戦が繰り広げられているんです。そのなかのひとつが、プロパンガス業者がサービスと称して行っているさまざまな設備の無料貸与です」(都内プロパンガス業者・A氏)

給湯器はもちろん、エアコン、インターフォン、ウォシュレットなどさまざまな設備がすべて無料に。大家にとってはうれしい限りだ。

「しかし、一方で問題もあります。それは工事費をはじめ設置にかかった費用は、原則として入居者のガス料金に上乗せして回収されてしまうこと。都市ガスに比べて、プロパンガスは月額使用料が高い……と言われることが多いですが、それはこの設置費用が含まれているためです。あまりにガス料金が高いので、入居者からクレームがきたり、それを理由に退去されてしまったりするケースもあるようですね」

ガス業者変更はもちろん、ガス料金の値上げにも文句を言えない?

また、一度こうした「設備の貸与契約」を交わしてしまった場合、大家が知らぬ間にガス料金の値上げがおこなわれてしまうケースもあるようだ。

「通常、貸与契約期間は10~15年間に設定されることが多いのですが、その期間は設備の減価償却期間とみなされるので、原則としてほかのガス業者に変更することができません。だから、その契約書を盾にして、いきなりガス料金を値上げしてくる業者も珍しくない。契約を破棄しようとしても、『ならば、設備の減価償却分の残存価格を払ってほしい』と言われてしまう。業者が設置した設備を大家さんが買い取る余裕があれば問題はありませんが、普通の大家さんにとっても、いきなり何十万円~百何十万円の出費は痛いのでなかなか強くいえず、業者の言いなりになる人も多いんじゃないでしょうか」

また、設置サービス以外のサービスとしては、プロパンガス業者が大家に一戸ごとのマージンを払うというケースもあるらしい。

「ガス会社が『うちのガスを使ってくれた御礼』として、大家さんが所有する一戸(一入居者)につき最大2000円ぐらい支払うケースもあります。一棟50戸のマンションだった場合、10万円になる計算です。ただ、そのお金も結局はガス業者ではなく入居者さんのガス料金に加算されていますので、こちらも注意が必要です」

契約更新を阻む、プロパンガス業者の「横のつながり」

また、仮に設備費の残額を支払ったとしても、「大家さん個人が、契約の途中で別のガス業者を見つけるのは難しいかもしれない」と語るのは、同じく都内でガス業者を営むB氏。

プロパンガス業者は非常に横のつながりが強い業界なんです。まず、プロパンガス業者にはガスの仕入れからやっている卸売業者とそこからガスを仕入れて商売をする販売店の2種類あります。卸売業者の顧客に対しては、普通の販売店は手を出しづらいところがありますね。ほかにも地域や会社間でのつながりなどもあるので、安易にほかの業者さんの顧客を取るようなことをすると、仲間内で白い目で見られてしまいます」

だから、契約終了した業者がプロパンガス業界で影響力がある会社だった場合、どこの業者も尻込みして新たに契約してくれない……というケースもあるようだ。ただし、その業者とは関連がない業者をうまく探り当てあてられれば、問題はないらしい。

良いプロパンガス業者との上手な付き合い方とは?

サービスが良いプロパンガス業者には裏があるかもしれないが、一方でサービスが少ない業者を選ぶのも気が引ける。なかなか取捨選択が難しいが、よいプロパンガス業者を見分ける方法はあるのだろうか。

「まず、料金の相場が基準になりますね。地域によって違いはありますが、全国的に見ると、料金は1500円前後が『適正価格』。ただ、東京は若干安めで、ほかの地域だと、プラス100円~300円ぐらい高めになっていることが多いです。そして、従量料金相場が300円~400円前後。これでも業者側は十分利益がとれるので、これ以上の料金をとる業者には値下げ交渉をしてみてもいいかもしれません。また、複数の物件を持つ大家さんなら、別途特別料金として優遇してくれる可能性も高いです」

また、設備設置のサービスなどの利用に関してはどうだろうか。

「これは考え方次第です。入居者目線で考えれば、ガス料金は安いほうがいいにきまっている。でも、大家さんとしては、多少入居者負担が上がっても、無料で設備投資できるというメリットがある。基本的には、給湯器など基本的なもの以外は、後々で貸与期間に縛られてしまうことを考えると、あまり無料貸与のサービスに飛びつくのはおすすめしませんが、いざとなったら買い取るだけの余裕があるならば利用してみてもいいかもしれません」

ただ、場合によってはプロパンガス業者に頼むと設備費が割高になることもあるので、お願いする前にはきっちりと市販の見積と比較検討しておいたほうがベターとのこと。

「そのほかにも、仕入元である卸売業者のほうが中間手数料が発生しない分、普通の販売店よりも相場の料金は安いと言われています。ただ、経営状態が悪い業者さんだと、いきなり料金を上げてくることもある。業者さんを選ぶときは、業者さんの業績とその他の業者の関係性をリサーチしておきましょう」

サービス合戦が加速するプロパンガス屋。うまく利用すれば便利ではあるものの、一方では入居者への不利益になり、結果的には空室率に結びついてしまうことも。何事も「うまい話には裏がある」と心しておきたい。

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