pic04

みなさん、こんにちは。石川貴康です。
現在、売却と購入とを組み合わせて動かして行こうとしていますが、どうも最近は良い物件に出会えず、売却ばかりになっています。既に2件の売却をしました。そうこうしている間に、売らなくてもいいかなぁと思っていた、思い出深い最初の投資物件に買い付けが入り、売買契約を結びました。

さて、前回はワンルームの売却でキャピタルゲインも取れたことをお話ししましたが、今回はRCマンション一棟のお話をします。

>>前回の記事 はコチラ
12年前に「830万円」で買った1Rマンションが「900万円」で売れた!

自己資金ゼロで購入したRC物件の沿革(実はオーバーローン!)

今回、RC物件1棟を売却しました。この物件は、7年前に自己資金ゼロで購入した物件です。当時は、ある銀行がフルローンでの購入を後押ししてくれた時代でした。今考えるとラッキーな時に購入したものです。もっともっと買っておけばよかったのですが、独立後で本業も忙しく、そうもいかなかったという事情もありました。

この物件は地方物件ですが、もともと工務店が自社所有で建てたもので、異様に頑丈に作られていました。6階建てで、全24室。3LDK、2LDK、オフィスの組み合わせです。全戸に2台の駐車場が無料で付きます。土地は600坪超。駅から10分、幹線道路からちょっと入ったところです。地方都市ですが、近隣に大工場、大学をはじめ各種学校、商業施設があります。

購入金額は1億4千万円です。フルローンのOKが出まして、間もなく決済というときにちょっとしたトラブルが銀行との間に起きました。なんと、担当者が長期研修で変更になり、きちんと引き継ぎがされなかったのか、銀行内の処理が進んでいなかったのです。

私は強烈にクレームを入れました。そもそも融資が大丈夫だとの内示を受けて、話を進めていたのです。単なる銀行の怠慢で決済が流れては、私が困るだけでなく、売主、不動産業業者が困ります。引き継いだ担当者もあわてて対応をしてくれました。

このタイミングで、何が起きたのかしれませんが、当初のフルローン1億4千万に、さらに500万上乗せした金額が決裁され、融資可能となったのです。フルローンというよりオーバーローンになりました。

こちらとしては問題ない。むしろ嬉しいくらいでした。不動産仲介手数料が423万円ありましたから、この金額を賄うことができ、登記手数料などの諸費用も賄いました。預かり敷金、家賃分受け取りがあり、固定資産税の負担、銀行の手数料、印紙、等の諸経費分も含めて、ほぼ自己資金ゼロになりました。

当初3年は大変だった。物件はゆっくり、優良物件に育てました

表面利回りは12%超でした。しかし、必ずしも儲からない物件でした。理由の第一は固定資産税の高さです。この物件の固定資産税は年間で150万を超えていました。総家賃収入の10%が持っていかれるのです。

固定資産税は資産価値を役所が計算して決めます。収益があろうが無かろうが、高い金をかけて作った物件ほど評価額があがるので、当初この固定資産税には苦しみました。せっかくのキャッシュが吹っ飛びますから。

次に大変だったのはネット利回りの低さです。表面利回りの12%超は想定です。実質は8%くらいだったしょうか。十分な利回りにも見えますが、先の固定資産税の高さに加え、不動産取得税、オーバーローンの返済、管理費、エレベータ補修や掃除、修繕費などにキャッシュは消え、購入当初はほとんどプラスがなくなり、時に持ち出しになるくらいでした。

対策しなければならなかった実質利回りの低下の原因の一つはオフィスの空室。
4室のうち1室しか埋まっていませんでした。しかし、地域がらなかなか難しいので、半ばあきらめ気味。

さらなる原因が、居住部分の空室。購入後の退室もあり満室ではありませんでした。購入後、すぐに稼働率を上げるため、管理業者と関係の悪くない近隣の不動産業者を回り、私の物件への客付けを依頼して回りました。

購入直後はこまめにこの物件のある町に行き、行くたびに不動産屋周りをする、お土産を持っていき、話をするということを繰り返しました。おかげで入居率は上がり、ここ数年はほぼ満室でした。

満室だけでは足りない、優良物件への条件

満室稼働に近い状況を維持しましたが、優良物件にするのは入居率だけでは足りません。安定的に家賃収入がキープできることが重要なのです。

「あれ、満室なのに、なぜ”安定的家賃収入”というのか?」と不思議に思う方もしるでしょう。しかし、満室と安定的家賃収入は別物なのです。

理由は簡単、満室であっても家賃を滞納したり、まったく支払ってこなかったりする入居者がいるからです。つまり、家賃収入に対する対策をしなければならないのです。

都内物件であれば、私はすべて保障会社を通します。
しかし、この物件は地方物件だったので、保障会社を通す習慣がなかったのです。おかげで一回大きな痛手がありました。購入後2戸申し込んで入居した法人が一度も家賃を振り込まなかったのです。最初から悪意のある入居者で大家を騙してただで居座ろうとしていたのです。

保障会社を通していれば、最初にはじくことができた入居者かもしれません。入金のない期間の家賃も保障されたかもしれません。一番大きいのは、立ち退きを大家自ら行わなくても良いことです。

結果的に、督促、内容証明郵便の送付、少額訴訟、立ち退き訴訟、強制執行まですべて自分でやるはめになりました。

家賃は1年分×2戸回収できず、リフォーム代も回収できす、裁判費用はすべて自腹、ひどい目にあいました。このことは以前のコラム(読んでいない方はコチラ)にも書きましたが、日本の法律は大家を守ってくれませんし、民事裁判は基本的に債権回収に何の役にも立ちません。正直者が馬鹿を見るような法執行体制には、がっかりしたわけです。

この物件を管理委託した地方の不動産業者は遅れています。保障会社の存在を教え、今ではすべての入居者に保障会社経由を課しました。おかげで、確実な家賃収集が可能になりました。

いつまでも古い体質の不動産業者にはうんざり

pic04さて、私はこの物件の管理業者と売却の仲介契約を結びました。その際、地方の業者にとって少しでも良かれと思って専任媒介で結びました。地方が地盤沈下するのは見ていて気持ちのいいものではないので、少しでも役に立てばと思ったのですが、このことが裏目に出ました。

仲介契約をしたら1週間以内にレインズに登録する義務があるのですが、この業者は登録をしようとしませんでした。近隣の業者にも客付けを依頼していたので、売却する旨をお知らせしたのですが、物件が公開されていない旨連絡を受けました。
ある業者は私に言いました。

「物件規模が大きいので両手が欲しいのだろう。この辺の業者はみんな、そうした古い考えでやっていて、大家のことなんか考えていないですよ。こういうことをやっているから、いつまでたっても不動産業界は近代化しないし、バカにされるのです。」

私もそう思います。しかし、少しの間放置しました。なぜなら、仲介を依頼した業者が依頼して2週間目に「買い付けが入ります」と言い出したからです。ところが、なんだか進捗が芳しくない。買い付け証明も来ない、銀行の稟議がどうのこうのと言っているとか、なんだかんだで2カ月以上引っぱられて話が流れたのです。

自分の利益ばかり優先し、大家に迷惑をかける業者だと思いました。しかし、管理の人たちはまじめで誠実なのです。これは経営陣の問題だと思いました。業を煮やした私は、レインズに登録する旨、強く指示しました。業者は素直に従いました。

でも、私はこの時点で、この業者の仲介での売却はやめようと考えていました。仲介契約が切れた時点で業者を変えようと考えていたのです。

ところがまた購入者が現れたというのです。私は、口頭で言うのはやめて、買い付け申し込み書の書面での提示が先だと伝え、やっと買い付け申し込み書が送られてきました。

購入者も業者だったので、どうやら業者間のなあなあがあったようです。法律や契約を軽視する、まったく遅れた業界だと今更ながら痛感しました。
さて、売る気が失せていたのですが、資産の組み変えをしようとしていたので、買い付けに対し1億3000万円でOKを出し、晴れて売却となりました。

キャピタルゲインはマイナス、インカムと売却益はプラス

pic031億4000万円で購入したので、1億3000万円は1000万円のマイナス。約7年の所有期間でインカムゲインは、高い固定資産税、裁判費用などもあったためざっと見て500万くらいでしょうか。

キャピタルゲインはマイナスですが、これは良しとしました。
そもそもこの物件は自己資金ゼロで買いましたので、自分の財布は痛んでいないのです。つまり、投資資金はゼロ、私の手間賃だけでインカムを生んだようなものです。

売価益はざっくり700万位で、この金額にあとで税金がかかります。不動産の税金としては 手残りは1億3000万円から、ローン残債の支払いで1億1000万円、手数料等諸費用で500万円で、結果1500万円でした。
ここから、譲渡所得の税金ざっくり22.1%で700万×22.1%=約155万を引くと、1300万くらいの手残りでしょうね。

さて、トータルで考えるとインカムゲイン500万、手残り1300万で、キャッシュフロー的には1800万位のプラスでしょうか。
フルローンというか、オーバーローンでの購入でしたので自己資金ゼロから7年で1800万くらいのプラスのキャッシュフローを生みだした計算です。このご時世で、まあまあの成績ですかね。

投資額に対しては1800万/1億4500万=12.5%のキャッシュフローリターン、自己資金では1800万/0万=∞というわけです。
年単位に直すと1800万/7年/1億4500万=1.7%、1800万/7年/0万=∞です。
これはキャッシュフロー利回りなので、利益に関する利回りだともっと高いのです。

直近では、年間家賃が1300万で、グロス利回りでは1300万/14500万=9%。
経費が1000万(ローン利子250万、固定資産税150万、減価償却300万、管理費・修繕費で300万くらい)で300万の利益でした。

売上利益率では300万/1300万=23%、ネット利回りで300万/14500万=2%くらい、減価償却分をプラスすると、キャッシュフロー対売上では600万/1300万=46%、キャッシュフロー対投資額では600万/14500万=4.6%です。

しかし、この間に様々な管理上の対応、納税、裁判、保障会社化、入居の努力を行い、優良物件に育ててきたことを考えるとまったく大きな喜びはありません。単にいちビジネスの収支であり、良いも悪いもないというのが感想です。

ただ、ここまで優良物件に育てたわけです。今はオフィスも含めいつもほぼ満室で、最近になって「ばりばりキャッシュを稼げるキャッシュマシーン」になっていたのです。ま、だからこそ売り時でもあったのかもしれませんが。

それから、管理会社の事務の方々には愛着があります。一緒に裁判をしたり、入金の遅れる入居者の対応をしたり、原発事故の放射能で水が飲めなくなった時にはミネラルウォーターを送ったりしてきましたから、戦友のような気持ちがあります。やはり不動産投資は管理をする人たちが大切なパートナーですね。
さて、次の物件を買いに行きましょう。

【関連記事】この記事を見た人はこんな記事も見ています!

・ 現金購入のワンルームを売却した結果、投資利回りは178%に!!
・ 物件売却で銀行を「出入り禁止」に!! 実録・売却物語
・ 眠れない夜も数知れず…トラブルに悩まされた物件をついに売却!
・ 渋谷区にある1棟物件、売却益は4割出るが、売却するのはもったいない?
・ 儲かったら税金が増える…“賢い節税法”を税理士が解説