pic04

事故物件。それは、事件や事故、自殺などにより、人がその場で亡くなってしまった物件のことを指す。最近は「通常よりも価格が安くなる」などと、事故物件が注目を浴びるケースも増えてきた。
そんな事故物件を抱えてしまった場合、「お祓い」をしてもらうケースが年々増加しているという。

では、実際に事故物件をお祓いしてもらうとすると、どんな準備が必要なのだろうか。

お祓い業界の実態をリサーチすべく、事故物件など、家のお祓いを専門的におこなっている日蓮宗僧侶の及川玄明さんに話を伺った。

依頼主は不動産業、個人大家etc.……

そもそも、事故物件の場合、誰がお祓いを依頼してくるケースが多いのだろうか。

「依頼主の方はさまざまですが、やっぱり一番多いのはその物件を持っていらっしゃる不動産業者さんからの依頼です。あとは、個人でやられている大家さんからもご依頼は受けます。やはり気にされる方は気にされるので、なにかが起こった後、次に新しく入居者を入れる際には一度お祓いをなさるケースが多いようです」

そして、次に多いのが、住民からの依頼だとか。

「感覚が鋭い人の場合、『住み始めて急に体調が悪くなった』『なんだか異変を感じる』など何か異変を感じて、実際にご自分でいろいろと調べてみたら、『実は昔、事件、事故があった』『ここには古い井戸があったらしい』といった事実が判明。それをきっかけに依頼なさる方やお引越しをされてからご自身やご家族や家の異変に不安を感じて土地や物件を見てほしいというご依頼も多くあります」

お祓いは「その場から霊を祓う」だけでなく「供養すること」が大事

人が亡くなった際は葬式をして弔うのが一般的。なぜ一度弔っているにも関わらず、物件でお祓いや供養をしなければならないのだろうか。

「少しオカルトめいた話になってしまうかもしれませんが、人が亡くなると、その想いがその場に残ります。家族に見守られての幸せな最期なら特にお祓いも必要ないと思いますが、自殺、殺人などの場合は、その場に相当に強い恨みや不幸の想いが残ってしまうものなんですね。

孤独死の場合は、そこまで強い想いはないかもしれませんが、どなたにもちゃんと供養されずに、その場に魂が残ってしまって無縁仏になってしまっている可能性もあります。だから、その場にさまざまな恨みなどの想いを残さず、不慮の死を遂げた故人様にあの世の世界(霊山浄土)にいっていただくために、お祓いをするだけでなく、しっかりとその方のために供養をすることが大切なんです」

「祓って供養する」ことが目的なので、宗教や宗派は関係なくてもOK

続いて依頼時に心配なのが、お祓い時の宗教や宗派選び。故人に合わせた宗教を選ぶべきなのか、それとも自分が日頃馴染みの深い宗教でお祓いを頼むべきなのか、悩むところだが……。

「お祓いの場合は、お葬式とは違って、特に宗教や宗派を気になさる方はいらっしゃいません。基本的な目的は、その場から霊魂を祓い清めること、その場を清めること。そして、その方の霊魂を供養して差し上げることです。尊い仏の教え(お経)を唱え、あの世の世界(霊山浄土)に魂が迷わず行っていただけるようにと道筋をつけるのが私たちの役割ですので、お祓いと供養になれば、どんな宗教・宗派のものでも大丈夫です」

「お気持ちで……」とは言われるものの、最低3万円は包むのがマナー

そして、やっぱり気になるのはお祓いにかかる費用だ。1回お祓いをしてもらった場合、だいたいどのくらいが相場なのだろうか?

「業界的には実にさまざまですね。正直、金額を表立って出しているところは少ないんじゃないでしょうか。お寺さんですと、『お気持ちで結構です』とおっしゃるところが多いと思います。その場合、最低3万円は包むのが常識的かもしれないですね」

及川さんの場合、事故物件のお祓いをする際には、「物件内でどのように故人が亡くなったのか」によって料金を変えているそうだ。

自然死なら3万円、自殺なら5万円。そして、殺人の場合は7万円でお願いしております。この金額設定は、『どれだけ故人の方のこの世に残した想いが強いか・関係者の方への恨みの想いが強いか』に比例しています。

たとえば、自然死で亡くなった方ならば、孤独死や老衰が原因なので、さほどこの世に対する想いは強くないケースが多いんです。でも、自殺や殺人が原因の場合は、お亡くなりになるときに残した想いがかなり強くなります。そのため、こちらが祓うべきことも強くなり、負担が大きくなるのです」

この金額は交通費などの諸経費も込み。高いと考えるか、安いと考えるかはあなた次第だ。

お米、酒、果物……。お祓いにはいろいろな下準備が必要だった!

では、いざお願いしたいと思ったとき、いったいどんな作業が必要になるのだろうか。

「普通にお電話でお祓いをしてくれるようにお願いすればOKです。特に紹介などは必要ありません。私もそうですが、インターネット上でも事故物件のお坊さんの派遣をおこなっているところもありますので、特に親しいお寺さんや神社さんがない場合は、こういったところを利用するのもいいかもしれないですね」

連絡をとったら、お互いに予定調整を。特に六曜を気にする必要はないそうだ。

「当日現場で落ち合って、お祓いと供養をします。所要時間としては、だいたいお経をあげるのが30分ほど。ただ、その場に祭壇を作ったり、故人の方についての情報を教えていただいたりと、簡単な打ち合わせ等も必要になりますので、トータルで2時間ぐらいは見ていただくことが多いですね」

また、お願いした側が忘れてはならないのが、供養時に使うさまざまな供物。

「祈祷の際には、お米や野菜、果物、お酒、五穀、塩などの供物が必ず必要になります。本来はご自分でご用意してもらうものなのですが、かなり種類が多かったり、量の感覚がわからなかったりなさると思うので、先方でご用意できないなど事情があるときは、私の場合は、別途料金をいただいて用意することも多いです。

マンションやアパートなどの場合は、だいたい5000円。会社さんや自宅の場合は、敷地全体がお祓いの対象になるので、供物も多めに用意する必要があるため、だいたい別途1万円ぐらいいただいています。この金額は単純にほぼ原価なので、ご自分でご用意されても多分同じぐらいの金額がかかると思います」

これら供物は、使用後の処理にも迷うところだが……。

「お祝いごとですとだいたい終わった後に皆さんに召し上がっていただくことが多いんですが、お悔やみごとのお祓いの場合は、そこを守っている神様に差し上げるものと亡き霊位に供養でささげる物ですので、こちらで全部回収しまして、お焚き上げという形で処理します」

及川さんの場合は、供養をその場限りで終わらせず、故人のためにその後数週間は無料で個人的に供養を続けるそうだ。