読者の皆様から「聞きたいけど聞きづらい」「今更聞けない」という質問を募集し、複数のプロに答えてもらう豪華企画!!
安藤さんに続き、皆様の疑問を解決してくださるのは、DVDBOX「8つのステップ2014」でお馴染み、菅井敏之さん(融資の講師を担当)。
(安藤さんの質問と回答「「サラリーマン引退」に必要な家賃収入はどう計算する!?」はコチラ)
三井銀行(現在の三井住友銀行)にて支店長を務めた実績もある菅井さんは、なんと6棟もの物件をフルローンで購入されているプロ!
お金を「貸す側」と、投資家としてお金を「借りる側」、どちらの視点も持つ菅井さんが、銀行事情を赤裸々に語ってくださいました!
Q1.菅井様が銀行員だった時のことをお伺いしたいです。属性も物件条件も良いが、融資を断ったケースはありますか?それは何が原因でしたか?(38歳・会社員)
A1.投機性が強い人の場合は、融資をお断りすることも……
いくら属性や物件の条件が良くても、融資を断るケースはあります。私が支店長を務めていた時も、資産明細や投資履歴に投機性が強い人を謝絶したことがあります。
銀行はバブル時代、いわゆる投機的なものに対して貸し込み、大変な悲劇がもたらされました。その反省を踏まえて現在、過剰な財テク資金や、投機的な投融資資金への融資は禁止されています。
例えば、半年前に1棟購入して、まだどのような経営状況か見極められていない内に、また次の案件を持ち込んでみたり、新しい物件を買ってみたり。これは銀行から見て、過度に投機的な融資活動とみなされる場合があります。
Q2.銀行員として貸す側だった時と、投資家になって借りる側になった時、何か変わったことや新しく気づいたことなどはありますか?(31歳・会社員)
A2.「自己資金」に対する見方
貸す側は、資産状況を数字で見て、融資の可否を判断していきます。「この物件であれば、これだけ自己資金がないと難しい」というように。
しかし当たり前ですが、借りる側にとって、それだけの資金を貯めるのは至難の業。時間も掛かりますし、難しいことですよね。私も皆さんと同じように、資金を貯めるのに苦労しています。
「8つのステップ2014」DVDでもお話したように、銀行は「不動産投資」に融資をしているわけではなく「不動産賃貸事業」に融資をします。資金を貯めるという行為は、その事業において「健全な経営者」であることを示す手段となりますので、皆さんも踏ん張りどころです。
Q3.「今は低金利だ」という話しを聞きますが、菅井さんもそう思われますか?(42歳・会社員)
A3.金融緩和により、今は低金利!
金融緩和の影響もあり、今は低金利ですね。私も肌で感じています。実際に、首都圏であればりそな銀行・西武信用金庫・静岡銀行などが積極的に融資を出している印象です。
この状況は、「ある意味チャンス」であることは間違いありません。情報収集を行い、良い物件情報があれば積極的にチャレンジしても良いと思います。
ただし、物件価格が高騰していますので高値掴みをしたり、条件が良くない物件を購入したりすることのないよう、しっかりと勉強して自分で判断する力を付けることも忘れないでください。
Q4.DVDで、フルローンで6棟もの物件を購入されていると拝見しました。フルローンを受けるためのコツはありますか?(32歳・会社員)
A4.自己資金を貯めることがフルローンを受ける1番の近道
質問2でもお伝えしましたが、まずは自己資金を貯めることです。
よくあるのは「積算評価が高い物件であれば、資金がなくてもフルローンが出る」という勘違い。銀行はもう、そのような考え方はとっていません。今は債務者評価になっているので、人間性や信用力を見るのが基本です。
銀行では、「年収がこの程度であれば、何歳でこの程度資金が貯まるはず」と概算し、計画的にやりくりできる人かどうかを判断します。全く資金がない状態で、フルローンを受けたいというのは難しいですね。自己資金があっても使いたくないという場合は、しっかり事情を説明しましょう。
Q5.年収がいくらあれば融資を受ける土台に乗れますか?その土台に乗らなければ、融資を受けることは難しいのでしょうか?(36歳・会社員)
A5.1棟物件の場合、最低年収700万円
1棟物件の場合、最低年収700万円ないと、テーブルに乗らないと思います。
ただし、年収700万円より低い場合でも、純資産(資産から負債を差し引いた額)が高くサブリースを付けるなどできれば、個別判断で対応可能となるかもしれません。銀行は特に、純資産を重点的に見ます。純資産が多い程、もしもの時に対応できる力が高いとみなされ、信用力が上がる根拠となります。
ただし、融資条件は銀行や属性によっても異なりますので、詳細は相談に行かれる銀行に直接お問い合わせください。
Q6.ここ1~2年で築古物件に融資をする銀行が増えてきましたが、それはなぜですか?(40歳・会社員)
A6. 金融緩和の影響
これも上記の通り、金融緩和が影響していると思われます。今後もこの傾向は続くと思います。
築古物件で融資を受けるコツは、耐震工事など、資産強化のためのリフォームを行うこと。返済期間を長期に持っていけば、キャッシュフローを考えた場合、好条件での借り入れが可能です。
Q7.中古物件の流通を図るために、今後、建物の法定耐用年数が見直される可能性はありますか?(40歳・会社員)
A7.ズバリ、あり得る!
法定耐用年数の見直しは大いにあり得ます。中古物件の流通も理由の一つですが、実際に建物自体の寿命も伸びていると思います。例えば、耐震技術などの工法も発達していますので。
法定耐用年数が伸びれば、それに伴い銀行の融資可能年数も伸びることが予測されます。そうなれば今まで以上に融資を受けやすくなりますので、中古市場の活性化に大きく貢献するでしょう。
Q8.海外の方が日本の物件を、日本人が海外の物件を購入したりしていますが、国内の銀行はそれらにも積極的に融資をするようになるでしょうか?(38歳・会社員)
A8.将来的にはあり得るが、まだ時間がかかる。
おっしゃるように、今円安の影響もあり、日本の物件を購入しようという海外の方が増えています。逆に日本の賃貸需要に不安を感じて、海外に購入しようという方もいます。
需要があるということは、将来的に国内外問わず融資を出すようになるとも考えられますが、まだ時間がかかると思います。
皆様ご存知の通り、銀行は融資対象物件が利益を生むかどうかを評価します。場合によっては現地まで行くこともあるので、海外だとその部分が足かせになるでしょう。
ただ、積極的に融資する銀行が出てくれば、それに伴い他行も出すようになる。広がりは一気に加速する可能性が考えられます。その場合、リスクをとって高金利での貸し出しになると思います。
菅井さんからの一言コメント
多くの場合、不動産投資に融資は欠かせません。どの投資家も借り入れの問題に直面し、対応されています。その中で、融資を受けられた方、受けられなかった方がいます。
融資を受けるには、貸す側の論理を知っておくことが重要です。
菅井敏之氏プロフィール
県立山形東高等学校、学習院大学を経て、1983年4月三井銀行入行。
個人・法人取引およびプロジェクトファイナンス事業に従事。
京都支店副支店長、金沢八景支店長、中野支店長を歴任後、独立。
2012年に大田区田園調布にて自家焙煎珈琲豆販売&カフェ「スジェールコーヒー」開業。
不動産賃貸事業、トランクルーム事業、カフェ事業を展開しながら、
銀行員と不動産投資家、両面からの経験に基づいたセミナーや個別相談も行っている。
この連載について
バックナンバーを見る
楽待が販売していた不動産投資DVD「8つのステップ2014」「8つの戦略2015」の講師が、読者の疑問に答える企画。
「聞きたいけど聞きづらい」「今更聞けない」という質問に対し、複数のプロにお答えいただきます!
-
8
「物件を買ってから怖くなった……」この投資は、果たして失敗だったのか!?
2014.12.18
7
フルローンを受ける1番の近道って? 6棟の物件をフルローンで購入している元銀行マンが銀行の内情を暴露
2014.12.16
PR
プロフィール画像を登録