都心の不動産市場には引き続き注目

【野村さん:相続税アップにより都心マンションのニーズが高まる】
「来年から相続税が増税になります。相続税を支払う人の割合が増加する分、相続対策のため低金利でローンを組んで換金価値の高い都心のマンションを購入する人や、不動産売却を検討する人が増えるという傾向が出てくると思います」(公認会計士・野村さん)

たとえば2020年、JR品川駅と田町駅間に山手線新駅が開業予定というニュースは大きな話題となった。この周辺の地域・路線も順次開発が行われることになっている。

【伊藤さん:新しい「東京の玄関口」に期待】
「これにより東京の玄関口が大きく変わるかもしれない。周辺の土地・建物価格に大きくプラスの影響が出るものと想定されます。この先、期待してよいのではないでしょうか」(FP:伊藤さん)

ただ、次の意見にも耳を傾けておきたい。

【冨田さん:都心の投資収益物件で稼ぐなら冷静に検討を】
「純粋に投資収益物件それ自体で稼ぐ事を目的とする場合は慎重に本質的に良い物件を厳選して動くべき。例えば、一部の不動産業者に、東京都心の高度商業地で3%程度の表面利回りで回すというような投資収益物件購入の動きもあるようですが、個人的には過熱しすぎと感じています。

一部の不動産業者の過熱に惑わされず、東京都心の高度商業地でも還元利回り4.5%(表面利回り5%台)程度を目安に動くのが妥当でしょう」(不動産鑑定士・冨田さん)

冷静に判断しながらうまく波に乗っていきたい。そのために私たちは今後、どう動くのが望ましいのだろうか。

2015年以降、不動産投資家としてどう動く?

【伊藤さん:再開発や人口増加が見込まれる地域の中心部に投資】
再開発のある地域で今後も発展が見込める地域に的をしぼるか、人口が今後も増加する地域(東京、神奈川、愛知、沖縄など)で中心部に投資を行うのがよいのではないでしょうか。タイミングは再開発などの発表後でも遅くないと思います。また、基本的に株価の上昇のあとに不動産価格はじわじわ上昇していくため、今からでも遅くはないと考えています。

複数の物件に投資する場合には、地域や購入時期をわけて分散投資するとよいでしょう。新築に比べて割安感のある築浅物件を探すのがおすすめ。地道に楽待で探し、良い物件がでてくるのを待つことも重要です」(FP・伊藤さん)

【野村さん:中古住宅のリノベや流動性の高い都心物件を視野に】
「長期的には不動産投資は少子高齢化問題をはらんでいますが、短期的には、オリンピックや消費税増税に向けた投資活動が活発になると思われます。また、法改正により空き家に課税されることに伴い、古い不動産の供給量増加を見越して準備を行うことも考えられます。

例えば、利便性の良い地にある空き家のリノベーションを行うことを前提として物件に関する情報収集を行い、投資を行う準備をしておくのもいいかもしれません。

とはいえ、数年先の経済状況は専門家でも難しいといわれています。リスクを取りたくないのであれば、流動性が高く比較的売買が容易な都心のマンションで良い物件を発掘できたら購入するというのも一つの手法です」(公認会計士・野村さん)

相続税対策のための不動産投資に絞って考えると、中古アパートも大いに視野に入ってくるという。

【冨田さん:相続対策なら耐用年数満了直前のアパートもアリ】
「相続税改正を睨み、現金で投資収益物件を購入して相続税対策をするという意味も含めた投資の場合は、稼働率がそれほど高くない耐用年数満了直前の古いアパートというのも選択肢に入れても良いでしょう。ただしこれは、『適正な更地価格-建物取壊し費用-立退料相当分(家賃の6~12ヵ月分)』以下で購入できる場合に限った話です。

投資収益物件を購入することで相続税は圧縮されますし、今後立ち退き・更地化することが考えられるため納税後の換金ポテンシャルも維持出来ます。

もちろん税務的に不合理にならないよう配慮する必要はありますが、選択肢に入れることは十分可能です。むしろ相続税対策の場合、純粋に投資収益物件で稼ぐ意図だけではないため、その物件のグレードの高さにはそこまでこだわる必要はないでしょう」(不動産鑑定士・冨田さん)

税制改正により新しい潮流もみえてくるであろう2015年の不動産投資市場。新築物件だけでなく、中古物件にも上手に選択肢を広げながら資産形成につなげてほしい。

【文=鉢須祐子】

【取材協力(敬称略)】

■伊藤 亮太
CFP認定者。スキラージャパン株式会社取締役。自身でもマンション投資により4戸保有。オールアバウト『株式・社会ニュース・ファイナンシャルプランナー』ガイドも務める。ヤフー不動産、ニッキンマネーなどでマネーや不動産のコラム連載中。金融庁、日本証券業協会、東海労働金庫など金融機関等で講演多数。
HP:http://www.ryota-ito.jp

■冨田 建
不動産鑑定士・公認会計士・税理士。1974年4月生。慶應義塾大学卒。70年代以降生まれの世代では会計・税務関連の鑑定において無敵の強みを誇る「最も会計・税務に強い不動産鑑定士」である。2014年12月に㈱税務経理協会より「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」を発売予定。
HP:http://tomitacparea.co.jp

■野村 宜弘
公認会計士・税理士・公認不正検査士。大学非常勤講師(金融論)。神戸大学経営学部卒。かつて、不正調査機関に勤務した経験を生かし、本業は不正調査を行っているが、監査法人からの独立を契機に不動産を取得。自らも築30年程のマンション組合の理事長を現任。自利利他をモットーに経営者のライフワークのサポートを行っている。
HP:http://minatoku.tkcnf.com/