楽待のDVDでもお馴染み、岡田のぶゆき氏に、直接お悩みを相談できる「コンサル座談会」【後編】をお届けします!
座談会【前編】「物件を買ってから怖くなった……」この投資は、果たして失敗だったのか!? はコチラ
今回のご相談者は、3棟のアパートを購入されている楽待新聞読者の脇さん。
テーマは、「セミリタイア」。サラリーマンで、将来的にリタイアを目標にされている方には必見の内容です!果たして、脇さんが抱えるお悩みや疑問は解決するのでしょうか!?
座談会のダイジェスト
○セミリタイアをするには、法人設立が必須! 法人化すると何が有利?
○金融機関も納得!「決算書」を良く見せる裏ワザがある!?
○これから法人を設立する際、お勧めの金融機関は?
○一体何部屋保有すれば、キャッシュフローが安定するのか?
3人目の相談者
お名前
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脇太さん(仮名)
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性別
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男性 |
---|---|---|---|
自己資金
|
4000万円 |
ご職業
|
会社員 |
ご年収 |
約900万円
|
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居住地
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東京都大田区
|
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ご自宅 | 賃貸(家賃13万5000円) | ||
所有投資物件
|
アパート3棟 バルク1棟(4区分所有)
|
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不動産投資経験
|
2年5ヶ月 |
セミリタイアをするために準備しておくべきこととは?
岡田
よろしくお願いします。脇さんのお悩みをお聞かせ頂けますか?
脇
僕は不動産投資を知ってから楽しくて仕方がなくて、これだけでご飯が食べられたら良いなと思っています。ビジネスモデルとしても仕組みができていて、アウトソーシングで物事が動くので凄く興味がありますし、マーケット情報の非対称性にチャンスがあると思っています。
ただ、将来セミリタイアを目指すには、手残りの純利益がしっかりとある状態になっていないとダメですよね。今はサラリーマンですが、いずれ辞める場合、何を準備しておいた方が良いのか?ぜひ経験豊富な岡田さんにアドバイスを頂きたいです。
岡田
そうですね。やはり法人を設立すべきだと思います。物件を買い進めていくとしたら、個人ですと上限がありますし。法人の場合なら、法人ごと売却することもできます。M&Aでそのまま会社を売る方が、買う側としても取得税や登録免許税も必要ありません。売る側としても、入ってくるお金がそのまま利益になるので、手残りが残りやすいのです。
期間にもよりますが、個人で物件を売却して利益がでたら譲渡税で40%や50%かかりますが、M&Aで売却をしたら株の譲渡税で20%くらいです。そのような売却の仕方もできます。
Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併買収のことを言います。
Point2 譲渡税
不動産を譲渡したときにかかる税金。個人の譲渡、法人の譲渡では税率が異なります。
リタイアされた後は、その分の収入が無くなり、入ってくる収入も限定されます。「家賃収入だけで」となれば、どれだけ法人の決算書内容を良くできるかがポイントになりますね。
やはり銀行から見れば、業歴が長い法人の方が担保力もあり融資を出しやすい。
例えばご家族の方も、銀行から見て属性が良く「資産を持っていそうだ!」と感じてもらえるような内容にしておいた方が、融資に対して積極的に動いてくれるでしょう。
また、銀行の担当者によっても物件の評価は変わります。例えば築古物件を買おうとしている場合、担当者によっては修繕費用まで融資が出たり、逆に入居者が全くいないから評価が下がり売買金額の半分しか融資が出なかったり。だからセミリタイアされるまでに、多くの金融機関とのパイプを作っておくのも不可欠ですね。
脇
なるほど。担当者の違いだけで、そんなに評価が変わるとは思いませんでした。
融資額の目安ですが、サラリーマンの場合だと一般的に年収の7倍、最大で30倍とよく耳にしますが、法人にも目安はあるのですか?
岡田
法人はありません。あくまで事業としてやっているものですから。売上で事業規模を見て、利益剰余金で黒字の具合を見ます。あとは融資を受けている年数や債務、それを何年で返せるか。債務償還年数と言うのですが、それが何年なのか? そういう点を特に見られます。
そもそも個人向けのアパートローンと、法人向けの事業融資は全然違います。担当する部署も変わります。
脇
では見方を変えると、その状態や状況が良ければ青天井になるということですか?
岡田
そうです。物件を売却すれば転売益が会社の決算書にのります。どんなところでも利益を上げて、それを決算書に反映させて良くしていければ、どんどん物件は買えていけます。
脇
なるほど! そうなると、売却を行う方が効率良くなる仕組みですね?
岡田
サラリーマンの収入も、資本金として投入していくことができます。資本金を投入していく……資本金というより役員からの長期借入金という形式になります。
会社を作ったとき資本金が1000万円以上は法人税が上がります。だから資本金は少ないままでも、役員からの長期借入金として、1000万円や2000万円を入れていても税金は上がりません。
銀行から見ると資本金300万円と借入金2000万円で「この会社は資本力が2300万円の価値がある!」と判断してくれます。そういう点でも銀行の会社の見方は変わりますね。
これから法人を設立する際、お勧めの金融機関は?
脇
事業として法人を立ち上げることになった場合、スタート時向けの金融機関はありますか?
岡田
なるべく大きいところからスタートするべきですね。やはり銀行同士や、信金・信組同士でも住み分けがあり、競争意識があります。都銀からすると信金・信組と付き合いが深いとあまり行きたがらない。逆に信金・信組から見ると「大手と付き合っているのなら、うちともやらせてください!」となります。
僕が最初に融資を受けたのは地銀です。信金・信組は真剣に話を聞いてくれるのですが、都銀は相手にしてくれず、その対応の違いをすごく感じました。
対応するエリアも都銀の方が広いだけに、できればそういう所からはじめられた方が良い。
やはり金融機関にも良い時期と悪い時期の波があり、融資に対して積極的な時もあれば、やらない時もあります。どこで自分の入り口を見つけられるかが大事です。 今は世間的に融資が出るようになっていますが、そんな状態でも、前は出していた金融機関が最近は出さなくなったりするパターンもあります。
半年に1回でも銀行に行っていると、前は不動産の分譲業者ばかりに1~2年の短期融資しか出していなかったけれど「長期保有する収益物件にも融資を始めました!」という変化もあります。
そういう所で入り口を掴めて、融資を受けられると、その後で多少融資姿勢が悪くなったとしても、柔軟に対応してくれる場合があります。
今は口座を作るだけでも本当に大変ですから、なおさら最初の入り口が大事です。先日も、地銀に銀行口座を作りに行ったら1時間もかかりました。しかも1回目は拒否されましたよ。
脇
そんなことがあるのですか?
岡田
はい。事務所の目前にある銀行の方が使い勝手もよく、単純に「近くの銀行で作りたい」という理由なのに、「どうして住民票がない地区の銀行で口座を開くのですか?」と聞かれました。最近は振り込み詐欺の問題で、口座売買をされているというのも理由だそうです。
吉野
法人だからですか?
岡田
いいえ、個人の口座です。
脇
もし、いろいろな口座を持っていたら、「使わないから僕の口座は処分してください!」とせず、持っておいた方が良いですね。
岡田
そうですね。結局、住民票のない銀行でも口座を開くことはできたのですが、「作るのであれば積立預金の口座も作らないと、うちでは受け付けません!」と、ギブ&テイクを求められまして(苦笑)
また、自分の住民票のある所が郊外で、そこで口座を作ってしまったら、融資を受ける時もその支店になってしまいます。
なるべく大きな地域の、本部があるような銀行支店で口座を開く方が良いですね。融資に強い担当者がいるのも本部、大きな支店ですから。
でも「住民票が無いから!」という断られ方をされます。その場合、決算書を良く見せる必要があります。
脇
どのようにしたら良いのでしょうか?
岡田
知っている仲介業者さんですが、そこは自社でも物件を買っています。決算書をよく見せるために中間省略登記をして、一旦オーナーさんから自分のところに売却して、そこから売却をして、売り上げ規模を大きくしています。
所有者がAさんからBさん、BさんからCさんと順次移転する際に、中間者(この場合はBさん)への登記を省略し、後に物件を取得した者へ直接登記を移転すること、およびその登記のこと。主に、登録免許税や不動産取得税などを節約することができます。
普通に仲介するだけなら1億円の物件で、仲介手数料3%で売上が300万円しか入らないところ、売却益で1億円の売上にできます。それで会社の規模を大きく見せて、金融から信用を得ているのです。
脇
その場合の法人は、不動産資産管理法人でも可能ですか?
岡田
あくまで資産管理法人というのは自称であり、金融機関からの評価の分け方ですから関係ありません。融資を出してもらうなら「資産管理法人です!」と言った方が銀行から長期で借り入れられます。
極端な話、「いや、うちは転売ばかりしている転売業者です!」と言えば「長期で貸すのはちょっと……」と断られますね。相手からどういう風に見てもらえば自分にメリットが大きいかを考えて見せ方を変えていくのが良いでしょう。
「資産管理法人」は、投資家が所有している賃貸不動産の管理を請け負う会社です。その他に、賃貸不動産そのものを所有する法人として、「資産所有法人」があります。
脇
今から作って準備をしておいた方が良いのですね?
岡田
会社に問題がなければ。
脇
僕は物件を持っていますが、法人を立ち上げたら法人に移すべきでしょうか?それとも個人所有のままが良いのでしょうか?
岡田
融資を出す金融機関が、法人へ移すことに対して問題はないか? あとは移す時の費用がどれくらいかかるのか? 考慮する必要があります。
その物件をしばらく持っていても大丈夫なら、5年後の税金が安くなるタイミングで売却してもいいですし、今持っている物件の管理会社として、売上を立てていくのも1つの手ですね。
脇
なるほど。物件自体を移す・移さないは特に重きをおくポイントではないのですね?
岡田
そうです。銀行が何を見ているかというと、法人の決算書と、そこの代表者や株主の保証能力があるかどうかです。賃貸の客付でも、連帯保証人にも保証能力があるのか調べるじゃないですか。それと同じことです。
個人で数十億円もある資産家が会社を1つ作った。そこでどんどん物件を買えていくようなものなので、別に法人で資産を固める必然性はありません。
ただし、今後の流れとして金融庁の話ですと、法人以外に、個人の保証は持ってはいけない方向へ持っていく気配です。長期的に見ると、会社にしっかり資産と利益を蓄えていく方が良いと思います。
脇
法人にした時、「法人収入にしていないと利益が上がらないものだ」という先入観で固まっていました。そうでなくてもやっていけるのですね。
岡田
おっしゃる通りです。
金融機関にも、個人向けの商品、法人向けの商品、いろいろあります。次に物件を買うとき、個人では「年収何倍」という限度があるけれど、「その人の持っている法人であれば融資が出せる!」となれば、法人の方の融資を勧めてくるでしょう。向こうも選択肢の幅が広がるので良いと思いますね。僕は個人で物件を持っていませんが。
吉野
それは始めた当初からですか?
岡田
僕の場合は、父の経営コンサルティング会社に入社したのですが「この会社は将来的に厳しいな」と思い、自分の資金を会社名義にしておきました。会社はものすごく赤字だったので、それで利益が出ても税金を払わなくて良いというメリットがあり、それで会社名義にしていました。法人は経費枠が大きいですし、役員報酬として親族に収入を分散することができるので。
吉野
赤字決算にしておけば税金は払わなくて良いと?
岡田
ただし融資が厳しくなりますけれど(笑)とんとんプラスαなのが良いかな。「来年も物件をどんどん買っていくぞ!」という人は、たくさん利益を出していくかもしれませんが、「来年はあまり物件を買わないでおこう」という人は、ちょいプラスの方が良いかもしれません。
新規で金融機関の付き合いを広げるのなら、決算書を出して評価をしてもらわないといけませんから税金を払った方が良いです。
一体何部屋保有すれば、キャッシュフローが安定するのか?
脇
最後にスケールメリットの相談です。僕は4部屋からスタートして、10部屋、18部屋、今は28部屋です。家賃収入は150万円で純利益が70万円になり、お金の貯まるスピードがすごく速くなってきたと実感します。反面、空室も増えています。どのくらいまで部屋数があれば、安定化できるのか目安はありますか?
岡田
これという目安はないですね。でも、なるべくスケールは大きい方が良いと思います。「これは安いな!」と思う物件が見つかれば、どんどん買い進めていけば良い。ただしスケールだけを追い求めて、全体のバランスを考えないのは問題があります。
例えば、物件を持っていても立地、築年数、需要によって入居付けが厳しくなってくれば、どこかで売却しなければいけない。そうなると、他の物件で賄えなければいけませんよね。ではどういう物件を持っておくべきか?当然、築浅で立地が良く、入居付けが安定して、RCで長期的に融資が組める物件なら良いでしょう。
物件の規模を増やして、その中で古くて立地の悪い物件から売って、また好立地の物件を買い足してストックする。また郊外の、古いけれど高収益の物件を循環の1つとして購入する。物件が出てきた時は、どちらかに分けて購入するという買い方をお勧めします。
脇
なるほど。そのようにロジックを組んで戦略を立てているのですね。
あと、投資規模が拡大すると悩みの種になるのが「税金」についてですが……。僕は現在、サラリーマンをしながら不動産投資をしています。給与年収と、家賃収入を通算すると、結構な年収になってきます。物件を毎年のように買い足していれば減価償却をかけて、その年は一気に落ちますが、初期費用がない分、次の年に何も買っていなかった場合、税率がすごく跳ね上がってくると思います。
所得税率を考えた時に、手残りで月100万円~120万円くらいが、サラリーマン大家の頭打ちなのかと思うのですが、どうでしょうか?
建物の資産価値は時間が経つごとに減少します。減少部分を値化して計算したものが減価償却費となり、減価償却できる法律で定められた年数を法定耐用年数といいます。年数は建物の構造や用途によって変わります。
岡田
減価償却すると売却した時、利益がかなり大きくなります。だから現時点で上限は頭打ちですが、いざ売却を考えたとき、そこで上がってくる利益に対する税金も、貯蓄しておかないと怖いですね。減価償却はあくまでも先に繰り延べしているというイメージで考えてください。僕の場合は法人ですが、売却するのは1年の最初のうちか、最後の決算期の前後に分散し、税金を分けて払うようにしています。
脇
なるほど。税金の支払いを分散させて、手元に残るお金を調整しているのですね。不動産投資を行う上で、税金は切っても切り離せない。だからこそ、しっかり考慮しなければいけないと改めて分かりました。ありがとうございました。
一同
ありがとうございました。
この連載について
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