保険最終_01062015

所有物件を修繕する際、自費で行うだけでなく、ものによっては保険で適応できることや、場合によっては保険を利用した上で、お釣りがくることもある。

使い方によってかなりお得になる保険だが、対応可能な範囲があまり知られておらず大家さんによっては活用しきれていないこともある。そこで、大家さんが得する保険の適応や、お得な保険選びについて紹介する。

損害保険から事故物件の修繕費が出ることも

偶然の事故や天災により生じた損害を補償する損害保険。損害保険が使えるのは、例えば居住者のたばこの不始末による火事や、集中豪雨によって川が氾濫し物件が水浸しになった場合など。あくまで火災や水害などが起きた際の補償であるため、一般的な修繕費には使えない点は注意したいところだ。

しかし、なかには、居住者が孤独死してしまい、部屋の修繕をしなければいけなくなったような場合に対応してくれる損害保険もある。昨今では賃貸に住む独居老人が増えていることから、孤独死や自殺に備えるタイプの保険も多く出てきている。「部屋の修繕費を自費で出さなければいけない」と思ったときでも、一度契約内容を確認した方が良さそうだ。

生命保険から物件の修繕費用を捻出!?

物件の所有期間が長ければ、経年劣化の末、水回りのトラブルやタイルの張り替えなどで修繕費がかかることも。まだ使えたとしても物件の見栄えが悪ければ空室率の悪化につながるため、自分が持っている物件はきれいに保ちたいものだ。

とはいえ、修繕のためには当然お金がかかる。例えば、木造のワンルーム×10室程度のアパートでも、屋根の張替え、外壁の塗装、排水管洗浄、給湯器交換になどを行えば、1回の修繕で200万円~300万円かかることも珍しくはない。

当然、規模の大きいRC物件では修繕費はますます嵩む。

たとえ現在所有している物件が新築であっても10年後~15年後には修繕が必要になるケースが多い。あらかじめ修繕費が必要になることを想定して準備をしておきたいものだ。

そんなときに、使いたいのが保険。保険と一口に言っても火事に備える火災保険や、水害のための水災保険、地震に備える地震保険などがある。損害保険では地震の際には補償が受けられない場合もあるので、地震のリスクに備えたいのならば地震保険はかけておく方が良い。前述の通り、最近では入居者が孤独死した際に備える孤独死保険なども出てきており、”もしも”を考えて様々な保険に加入することが可能だ。

たとえば、生命保険を活用すれば、積み立ての金利もある程度の額が保証されたり、銀行の金利よりも有利になったりすることもある。銀行の定期預金は現在、利率0.1%がほとんど、良くても0.3~0.4%台だ。生命保険の予定利率は1.5%~3%台。銀行に預けておくよりも高い水準となっていることからも、有利なことが伺える。

方法は簡単。修繕をするときに合わせて生命保険を組むだけ。具体的には2~5年程度の短期間で保険料を払い込む。そして、10年後などの修繕のタイミングが来たときに、保険を解約し、解約返戻金を受け取り、そのお金を修繕に当てるのだ。その時点で修繕が必要なければ、解約せずに契約し続けるというのも一つの方法。

100万円~300万円ほどのお金を銀行よりも有利な金利で運用でき、万が一の場合には保障も受けられる。大きなメリットと言えるのではないだろうか。

実際に、たまたま生命保険に入っていて満期のタイミングと修繕のタイミングが重なったので助かったという大家さんもいる。
Aさん(男性・50代)は「親から物件を相続し所有していたものの、自分の定年後、修繕費がかかることになった」そうだ。

他にも、働いているときに「使うあてもないし銀行においても利率が微妙だから、自分に万が一があったときに備えて」と思い生命保険に入っており、それを利用して修繕費を払ったというケースもある。

保険は備えあれば憂いなし。余裕があるときに準備をしておくのがいいかもしれない。

ご用心!解約で保険金の50%を請求、昨今増加する悪質業者

生命保険を使い、計画的に物件の修繕をすることは可能だが、ときおり「住宅修理に保険金が使える」といって勧誘する業者がいて、それがトラブルになる事例も多いので気を付けたい。

過去にあった手口はこのようなもの。「災害などで壊れた箇所がないか」などと連絡し、「それは保険で修理できる。うちの指定業者が無料で調査をして保険の申請も手伝うから」と言葉巧みにアポを取り付ける。

実際に来てもらって契約し、保険が貰えることになったが、その後不信感などが募り解約を申し出たら工事も行われていないのに保険金の50%近い手数料が取られることになったというケースだ。なかには詐欺まがいの行為を働く人たちもいるので注意が必要だ。

また、「この屋根の修繕も災害で壊れたことにして保険を申請しましょう」と持ちかけるケースや、「自己負担ゼロで修理できるから」とそそのかして工事をさせるが、実際には全額自己負担になってしまって高いお金を払わざるを得ないケースなどもある。

「修繕に保険が使えるなら……」とつい安易に考えてしまいがちだが、それを逆手にとって騙そうとしてくる人たちもいることも念頭に置いて契約を進めたほうがよいだろう。

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