04_老後の生活費最終_20150203

少子高齢化が進む日本社会。その影響からか年金受給額は下がり、一方で受給開始年齢は引き上げられている(厚生年金では生年月日によって60歳以降から一部受給)。今後も改善される見込みは薄く、定年後の生活費(=退職してから命を全うするまでの期間の生活費)を気にしている方も多いだろう。

では、現在の生活をある程度維持するとした時に、どれくらいのお金を蓄えておく必要があるのだろうか?

そこで資金計画のプロであるファイナンシャルプランナーの田代英樹さんに、定年後の生活費について詳しいお話を聞いた。ちなみに月々の生活費とは、食費、水道光熱費、通信費、家事用品費、生命医療保険費用、医療費、交際費、小遣い・習い事・教育費、ガソリン代、外食・レジャー費、健康・介護保険料・所得税住民税、固定資産税などの総計とする。

定年後はあまり生活費が掛からないだろうとおっしゃる方も多いですが、それは大きな間違いです。実際は時間ができたことでレジャー費が増えたり、孫や親戚のお祝い事があったり。確かに子育てにかかる費用はなくなりますが、その分夫婦の医療費は増加します。

つまり、よっぽど切り詰めるか、逆に散財しない限りは、現在と老後の生活費は大きな違いがないのが事実です。ちなみに平成25年に総務省統計局から発表されたデータによると、夫65歳、妻60歳以上で無職夫婦世帯の老後の標準生活費は、毎月27万2455円とされています。

今回は、いずれもサラリーマン家庭として、また国民健康保険と厚生年金以外の保険に加入していないことを前提に、老後のために貯蓄しておきたい金額を算出してみましょう」

以下、田代さんによる算出である。

ケース1

平均年収300万円程度
夫婦2人子供2人
80歳まで生きるとした場合

平均年収から想定する現在の月々の生活費=20万円
老後の月々の生活費=20万円

20万円×12ヶ月×20年=4800万円 (賃貸の場合はここに20年分の家賃と更新料をプラス)

これから月々の厚生年金受給額を15年間(年金受給開始年齢を65歳とする)受給したとして、

14万8000円(平成27年現在)×12ヶ月×15年=2664万円

これを退職後から80歳までの生活費から引くと、

4800万円-2664万円=2136万円

これから退職金を引いた額が退職時に必要な金額となる。

平均年収300万といえば、民間給与実態統計調査結果によると年収別統計の8~9パーセントという割合で、日本では最もこの層が多い。しかし、例えば現在35歳の人が今から2136万円を貯蓄するには、年収から年間の生活費を引いた60万円すべてを貯蓄に回したとしても、単純計算で約35年はかかってしまう。実際には現在の貯蓄や退職金もあるだろうが……。

ケース2

平均年収500万円程度
夫婦2人子供2人
80歳まで生きるとした場合

平均年収から想定する現在の月々の生活費=30万円
老後の月々の生活費=30万円

30万円×12ヶ月×20年=7200万円 (賃貸の場合はここに20年分の家賃と更新料をプラス)

これから月々の厚生年金受給額を15年間(年金受給開始年齢を65歳とする)受給したとして、

14万8000円(平成27年現在)×12ヶ月×15年=2664万円

これを退職後から80歳までの生活費から引くと、

7200万円-2664万円=4536万円 これから退職金を引いた額が退職時に必要な金額となる。

若いうちからコツコツと貯蓄し、退職金もある程度出ることを考えれば、このくらいの平均年収の方だと、老後にそれほど節約しながらの生活を送らなくてよさそうだ。ただし、あくまでもある程度の退職金が出ることが前提である。

ケース3

平均年収1000万円程度
夫婦2人子供2人
80歳まで生きるとした場合

平均年収から想定する現在の月々の生活費=40万円
老後の月々の生活費=40万円

40万円×12ヶ月×20年=9600万円 (賃貸の場合はここに20年分の家賃と更新料をプラス)

これから月々の厚生年金受給額を15年間(年金受給開始年齢を65歳とする)受給したとして、

14万8000円(平成27年現在)×12ヶ月×15年=2664万円

これを退職後から80歳までの生活費から引くと、

9600万円-2664万円=6936万円 これから退職金を引いた額が退職時に必要な金額となる。

田代さんによると、年収が500万円から1000万円と倍になっても、生活費まで倍になるケースは少ないという。もちろん貯蓄しておきたい額は高いが、これまでの余力を考えると、ゆとりある老後が過ごせそうだ。

ケース4

平均年収2000万円程度
夫婦2人子供2人
80歳まで生きるとした場合

平均年収から想定する現在の月々の生活費=60万円
老後の月々の生活費=60万円

40万円×12ヶ月×20年=1億4400万円 (賃貸の場合はここに20年分の家賃と更新料をプラス)

これから月々の厚生年金受給額を15年間(年金受給開始年齢を65歳とする)受給したとして、

14万8000円(平成27年現在)×12ヶ月×15年=2664万円

これを退職後から80歳までの生活費から引くと、

1億4400万円-2664万円=1億1736万円 これから退職金を引いた額が退職時に必要な金額となる。

年収2000万クラスにもなると一般のサラリーマンは少なく、経営者や医者などが多いと田代さんはいう。彼らは場合によっては60歳で引退せずにそれ以降も働けるので、もう少し額は減るようだ。最後に田代さんはこうアドバイスしてくれた。

「安心できる老後を迎えるためにも、退職時に貯めておきたい貯蓄額は少なくとも1億円だと思います。大変な高額ではありますが、月々の生活費を除いた分を運用することによって、到達不可能な数字ではありません。

株や投資などの不労所得をいかに増やしていけるか。これが少子高齢化が進む日本で、ゆとりのある老後を送るための、ひとつの策ですね」

老人になったときのことは、あまり想像したくはないかもしれないが、老後という第二の人生を豊かに過ごしたいならば、それなりの蓄えが必要なことは明白。今一度、定年後の生活費について、しっかりとした資産の形成を考えてみてはいかがだろうか?

 

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