入居者が物件を選ぶ際、「広さ重視」か「設備重視」かで分かれることも多い。築年数も古く、設備も古いが広さはある物件と、部屋は狭くとも設備が充実している物件。このふたつのうち、より多くの入居者が希望するのはどちらなのか。20~30代の独身男女30人に聞いた。
【A物件のイメージ】
【B物件のイメージ】
A物件(25平米以下で狭いが、設備が充実している)
B物件(25平米以上で広さはあるが、設備は古い)
蓋を開けてみると、30人中22人と一方が圧倒的な支持を得た。また、回答には性別による差も生じた。
読者の皆さんは、賃貸物件に住む入居者から圧倒的な支持を受けたのはA物件だと思うだろうか? それともB物件だと思うだろうか?
結果は下記の通り。
A物件(25平米以下で狭いが、設備が充実している) ……73.3%
B物件(25平米以上で広さはあるが、設備は古い)……26.7%
7割以上が選んだのが、「狭いけど設備が新しい」というA物件。特に女性は15人中13人が「設備」を優先させると回答した。設備が新しいA物件を選んだ理由と、具体的にどんな設備が求められているのかを聞いてみた。
女性の一人暮らしには、オートロック&宅配ボックスが人気設備
「設備」を選んだ理由として多く挙がったのが「防犯面を重視して」という意見。
「現在住んでいる物件は、家賃が8万円の1Kマンション(22平米)。女性の一人暮らしということでオートロック付物件に絞って物件探しをしました。部屋はかなり狭いのですが、首都圏だとこのくらいの予算と広さが相場の様子。予算と条件を照らし合わせて、仕方ないかなぁと思って納得しています」(女性・27歳)
「買い物はネットショップに頼ることが多いです。帰宅時間が遅いので宅急便が受け取れないし、『宅急便業者を装って変質者が家に来た』という話を聞いたことがあるので、できれば宅急便の対応をしたくない。そのため、宅配ボックスは必需品です。以前はなくてもいいと思っていたのですが、一度使うとその便利さから宅配ボックスなしの生活は考えられないですね」(女性・32歳)
また、「広さ重視派」の女性のなかでも「ほかの部分は古くてもいいから、オートロックは絶対にほしい」という声があがったので、シングル女性にとってはもはや必須の設備と言えるのかもしれない。
プラス2畳分の広さより、独立洗面台、室内乾燥機が優先!
水回りの設備面に関して女性陣から声が上がったのが「バス・トイレ別が大前提」という声だった。また、そのほかに希望が多かったのが「独立洗面台」と「室内乾燥機」。
「狭かったとしても、室内乾燥機があり、洗濯機を室内に置ける物件がいいですね。帰宅が遅い上、春先は花粉症もひどいので外に洗濯物を干すことはあまりありません。なので、お風呂に室内乾燥機があるかどうかはかなり重要。
また、外に洗濯物があると雨風などで汚れてしまいそうだし、いちいち外で洗って濡れた洗濯物を部屋へ持ってあがって……という作業が面倒なので、室内にあってほしいです」(女性・28歳)
「独立洗面台はあるほうがうれしいですね。朝バタバタしているときに、キッチンや風呂場で準備するのは不便なので。『スペースがあと2畳分広い家と、独立洗面台がある家、どっちがいい?』と言われたら、確実に後者を選びます(笑)」(女性・32歳)
なお、男性でも「独立洗面台はヒゲソリには欠かせない」(男性・36歳)と語る人も。
設備重視派の最大意見は「一度使うと、もう元には戻れない」
ここまで女性陣の意見ばかりを紹介してきたが、男性陣はどうなのだろうか。「設備面が充実しているほうがよい」と答えた男性陣のコメントがこちら。
「以前住んでいた家がバランス釜だったので、お風呂に入るたびに元栓を開いたり点火させたりしなければならず、風呂に入るのが面倒くさかった。寒い日などはお風呂に入らない日もありました。
いまは最先端のお風呂なので、毎日ちゃんと入るようになったのが大きな進歩です。まさに、生活が変わりましたね」(男性・39歳)
「荷物は減らそうと思えば減らせる。でも、オートロック、宅配ボックスに追い焚きできる風呂など、設備面は自分ではどうしようもない。一度設備面が良い所に住んでしまうと、もう後には戻れないと思う。
設備が良い家に住んでみて特に感動したのは『室温』の違い。以前住んでいた家は築40年のボロアパートで、建築材が悪いのか暖房をつけてもなかなか温まらなかった。でも、今の家は築5年なので、冬場暖房を入れなくてもそこそこ暖かい。設備が良い家=築年数が浅い家ほど、保温性が高くて電気代がかからないので、お得な気もする」(35歳・男性)
単純に設備の機能面だけを求めているというよりは、「設備の良い家=築年数が浅い家」というケースが多いため、耐久性や耐震性などが高くて住み心地が良いと考えている人も多いようだ。
「広さ重視派」は、趣味を充実させたいタイプに多し!
「部屋に広さを求める」と答えたのは、大半が男性だった。広さを求める理由としては、「仕事が忙しく平日あまり家に帰れないのでくつろぎたい」「アウトドアなどの趣味を持っているので、家にあまりいない。設備が整っていてももったいないだけ」という声が聞かれた。
設備は充実していないが広い部屋を所有している人は、入居ターゲットを男性に絞ったり、趣味のためのスペースが取れることなどを打ち出し方をしてみると良いかもしれない。
「趣味でロードバイクに乗っています。高価な自転車なので駐輪場においておくのは怖いので、自宅の室内で保管したい。そのためのスペースを確保できる部屋がなにより最重要でした。いまは築30年以上のボロ物件ですが、広さが30平米以上ありロードバイクも置けるので満足です」(男性・32歳)
「家でホームパーティを開くことが多いので、できれば広さがあるほうが望ましいです。もともとDIYが好きなので、多少設備が古かったり室内が汚かったりしても、自分でアレンジすればいいので気になりません。今住んでいる家は10畳一間の和室のボロアパートですが、さっそくフローリング風のカーペットを敷き詰めるなどDIYしています」(男性・34歳)
「最低限の設備」の「最低限」レベルはどこ?
また、「広さを求める派」のなかでも、「これだけは絶対に譲れない!」という設備もあるようだ。
「ボロさは気にしないが、3階以上のフロアに住むならエレベーターは絶対にほしい! 以前エレベーターなしのアパートの5階に住んで、腰痛になったことがあるので」(男性・32歳)
「ベランダがない家は厳しいです。いま住んでいる家は約40平米のマンションで、家賃は10万円。築年数は30年以上でボロボロではあるんですが、そこそこ広いし住み心地はそんなに悪くないんです。
ただ、本来は事務所用物件だったからなのか、大きな道路が目の前にあるせいなのか、ベランダがありません……。洗濯物など室内でも乾かせるものは良いのですが、布団やシーツなどが干せないので、かなり不便ですね。次に住む家は絶対にベランダ付にしたいです」(男性・36歳)
反対に、「ここまではしなくてもいいかも!」という声が上がった設備がこちら。
「オール電化とか床暖房、食洗機はいらないですね。そこまで一日中家にいるわけでもないし、電気代もかかりそうだし……。最新鋭の設備は欲しいけど、ある程度は自分の選択肢があるほうがうれしいです」(女性・29歳)
「会議室やプールまでついているなど、設備が高級すぎるのも考えもの。管理費が高そうな割にシングルの身の上では使わなさそうなので。家族連れだったら使うかもしれないですが……」(男性・38歳)
性別やその人のライフスタイルによって、優先順位が変わってくるのは当然のこと。ただし、そのなかでも「設備面」を重視する人が多かったということは、忙しい現代人の生活において、「少しでも効率的に生活の質をよくしよう」と考える人が増えている結果なのかもしれない。全ての設備を揃える必要はないが、独立洗面台や宅配ボックスなど、日常生活の利便性が向上するような設備は揃えておいた方が良さそうだ。
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