03_無計画オーナー-最終_03042015

不動産を購入するのは、ある意味大きなイベントになる。多くの方は詳細な計画をし、物件の購入を行うだろう。

しかし世の中には、計画性が乏しいために不動産投資で失敗してしまったオーナーも少なくないなかには、やっと購入した物件を売らざるを得なくなったオーナーも存在する

都内の管理会社に取材し、「無計画だったために、物件を売らざるを得なくなったオーナー」の実例を集めた。

会社を辞めるという判断が早すぎたオーナー

以前から不動産投資に興味のあったSさん。40代を越えサラリーマンとしてそれなりの貯蓄が出来たときに、区分マンションを2部屋購入。東京郊外の物件で、価格はおおよそ1200万円と800万円。築年数はどちらも10年程度だった。投資用に2000万円ほど貯蓄しており、1200万円を現金で、残りをローンで購入した。

Sさんは不動産投資への準備を入念に行っていたため、その後の入居者募集も滞りなく進んだ。2部屋のうち1部屋は1LDKで30代の社会人が契約。もう一部屋は事務所として、あるベンチャー企業が借りた。

Sさんのことを知る管理会社によると、この時点で1ヶ月の家賃収入は40万円ほどになっていたという。不動産投資としては順調な滑り出しだったが、その後、Sさんの取った行動が「軽率だった」という。

部屋を購入して半年ほどで、本業の会社をやめてしまったんです。『これからは不動産投資でやっていく』といっていましたね。確かにその時点では家賃収入だけで十分生活できましたから気持ちは分かります。でも、結果的には会社をやめるのが早すぎました……

Sさんが会社をやめてすぐ、事務所として貸していたベンチャー企業がその部屋の契約を打ち切ることを決定。部屋に不満があるわけでなく、人員が減ったためにもう少し狭く賃料の安い別の事務所を探すのだという。

「Sさんもそのときは特に動揺することもなく『また新たな入居者を探せばいい』と言っていました。しかし、そこから半年以上入居者が決まらない事態に。ちょうどそのころ、近隣に新しくオフィスビルが出来たことも影響したようです。Sさんの収入はこちらの部屋が主でしたから、次第に苦しくなりました」

40万円の家賃収入の内、30万円ほどは事務所として貸していた部屋から生まれていた。そのため収入は激減し、Sさんは焦ってしまったという。

「結局Sさんは『事務所用の部屋はもう厳しい』と言って、その物件を手放してしまいました。というより、いったん売って仕切り直したかったんだと思います。売却金額は1000万円以下。単純な売却益を考えても、360万円の損失。不動産を本業にするのが早すぎたといえますね」

Sさんは結局、別の会社に入社し、今は業務の傍らで不動産投資を行っているという。現在所有しているのは最初に買った1部屋のみだ。

副業と本業では、不動産投資の進め方や目的も大きく異なってくる。会社を辞める判断は慎重を期した方が良いだろう。