知っておきたいストレージ投資の基本
低コスト&高利回りの利点と欠点
実績でいえば利回り10%から25%程度といわれるストレージ投資。アパート・マンションの物件価格が高騰している住居系の不動産投資から見れば、まさに「夢のような投資」だ。
菅井さんが実践しているのはトランクルームとガレージ倉庫だが、ストレージ投資には、大きく分けて2種類あり、屋内トランクルームと屋外コンテナボックスが代表的なようだ。
■トランクルーム
屋内を細かく間仕切りした屋内収納スペース。
■コンテナ
屋外にコンテナボックスを設置するタイプの屋外収納スペース。
■ガレージ倉庫
ビルや倉庫の1フロアを間仕切った一つ一つの空間を貸出している大型の収納スペース。
「代表的な2つについて、まず、コンテナボックス事業から解説します。
空地にコンテナを設置して、倉庫として貸し出します。オーナーは賃借が基本となりますが中には地主さんもいます。
初期投資はコンテナの場合は500万円~800万円からとなり、300万円~500万円ではじめられるトランクルームに比べて割高ですが、月々の維持費はコンテナの方がかかりません。
トランクルームは1つのテナントを細かく間仕切りして収納スペースとして貸し出します。菅井さんはすべてされていますが、新築した物件の1階や中古物件の1階をトランクルームにするケース、テナントの賃貸物件を転貸するケースがあります。最近は初期コストをかけずに行えることから、物件を所有しない転貸を希望される方も増えています」
初期費用以外では耐用年数の違いがあり、屋外コンテナ7年、屋内トランクは3年。そのため収益目的だけでなく節税対策の一環として、ストレージ投資を行う投資家も多い。
「その他の特徴としては、トランクルームもそう簡単ではないですが、屋外コンテナの方がまとまった土地が必要となり、より立地選びが難しいとされています。
そんな事情もあって、最近ではコンテナ事業よりは、少ない自己資金で比較的手軽にはじめられるトランクルーム事業に人気が集まっています」
なおストレージ投資の利回り計算の方法は、一般の不動産投資と同じく、「収入―支出」の金額を投資した金額で割った数値になる。
収入は家賃収入となり、通常の不動産投資と同じだが、支出に関してはグッと少ない。月々の固定費用は、物件の賃借料(転貸の場合、所有物件の場合はなし)に、管理料として10~20%程度。電気代は1万円程度。
初期費用については規模によって変わるがリフォーム工事費用として、最低でも300万円程度は必要となる(新築の場合はもっと少ない)。
「また、ストレージ投資と一般の不動産投資との大きな違いは、賃借人と結ぶ契約の種類が違うことです。レジでは普通賃貸借契約、定期借家契約を結びますが、ストレージ投資では駐車場の契約と同じ使用賃借契約を結びます。
その他の大きな違いとして、一般不動産のように担保価値がないため、土地を担保にして金融機関から融資を受けることができません。
つまり、アパート・マンション経営のように“頭金0でフルローン”といったような、レバレッジをかけることができないのです。これが一番のデメリットだと思います」
ただし、リフォーム費用は設備資金として短期間の融資を受けることは可能となる。
まだまだ伸びる!? ストレージの需要
現在、少子高齢化が続く日本では、国内の空家数が820万戸といわれ、賃貸物件の空室率の高さも懸念されているが、ストレージ投資の将来はどうなるのだろうか。
「意外に思えるかもしれませんが、“まだまだ伸びるであろう”というのが業界の見解です。
裏付けとなるのは、世界のストレージ需要です。アメリカでは100世帯に約9世帯が貸倉庫を使っているデータがあるそうですが、日本では200世帯に1世帯・0.5%程度の利用しかないと言われています。
シンガポールや香港では100世帯に3世帯・3%に伸びており、日本でも同程度には伸びるであろうと、成長が予想されているのです。
部屋が狭くて、収納が少ない都心部の需要はもちろんですが、郊外や地方でも需要があります。
郊外のファミリー層が多いところでは、一般家庭が物置として使う需要がありますが、地方のロードサイドでは自営業者の倉庫利用も多くみられます」
菅井さんのように1階テナントやレジの空室対策のために行う投資家はもちろん、少ない元手で高利回りのチャンスを得たい新人投資家まで、これからますます注目を集める投資法と言えそうだ。
菅井敏之さん
1960年生まれ。1983年、学習院大学卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。個人・法人取引、およびプロジェクトファイナンス事業に従事する。2003年には金沢八景支店長(横浜)に、2005年には中野支店長(東京)に就任。
48歳のときに銀行を退職。その後、起業し、アパートの経営に力を入れる。また2012年には、東京の田園調布に『SUGER COFFEE』をオープンし、人気のカフェとなった。
銀行員としてお金を「貸す側」、不動産投資家としてのお金を「借りる側」、どちらの視点も持っていることで、大きな資産を築くことに成功。資産形成のための銀行の活用法や住宅、保険の選択方法には定評があり、講演やセミナーでも一躍人気講師になった。
初の著書『お金が貯まるのは、どっち!? お金に好かれる人、嫌われる人の法則』(アスコム)は33万部を超えるベストセラー。
<取材協力>株式会社アンビシャス代表取締役 徳永暢也氏
http://www.ambitious8.biz/
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