築5年後の家賃設定最終_04092015

新築から5年が経過した物件。見た目はまだ真新しく、周辺環境も決して悪くはないのに、なぜか空室が埋まらない……。対策として必要なのはリノベーション? そう思っても、それにかかるコストを目の前にするとと二の足を踏んでしまう。

都内の不動産管理会社に勤務する大林英樹さん(仮名)は、こうした事例を数多く見てきたという。

大林さん(仮名)

都内の不動産管理会社勤務
大林さん(仮名)

20代前半で不動産業界に飛び込み、10年以上にわたって現場の最前線で活躍する大林さんに、賃貸経営の潮流を聞いてみた。

空室が埋まらない要因のほとんどは、『家賃設定の甘さ』が原因」。

匿名を条件に、リアルな実態を語ってくれた。

 

思いきった家賃設定の見直しが利益につながる

たとえば月10万円の賃料の部屋があったとして、1カ月空室だと10万円のマイナス、3カ月の場合は30万円のマイナス、さらに6カ月では60万円のマイナスと、放置すればするほど損失が広がっていく。大林さんは「賃貸経営における一番の『悪』は空室である」と話す。本来得られるはずの収益が得られなくなる空室問題に対して、管理会社としてはどのような提案を行っているのだろうか。

「空室を解消する方法はいくつかあります。室内を大幅にリフォームして物件の競争力を上げるのもその一つですが、程度によって数十万円、数百万円のコストがかかります。また、それだけお金を掛けたら、賃料を月1万~2万円上げる事ができるかと言われれば、難しいと言わざるを得ないでしょう。」

そこで、大林さんが提案するのは家賃設定の見直しだ。

「賃料を安くするのに当然コストはかかりません。また、設定次第で競争力は大幅に上昇します。ただし、月々入ってくる収入は減ってしまう。実際の提案ではここを懸念するオーナーが多いのです。」

具体的な数字を挙げてもらった。
冒頭の10万円の部屋を例にすると……

【例1】
10万円の部屋を9.5万円にして募集を開始し、開始から1週間で成約して2年間賃貸した場合……9.5円×24カ月=228万円

【例2】
10万円で募集をしたが成約までに3カ月を要し、2年間賃貸した場合……10万円×21カ月=210万円

賃料を5000円下げて募集することで、2年後の収入に18万円の差が出る。こうした現実的なシミュレーションをいかに実行できるかが重要だ。大林さんは常に「賃貸経営の肝は家賃設定」とオーナーに話している。