年金制度最終_04132015

老後の生活資金として、私たちの人生設計に欠かせない国民年金。仕事をリタイアした後、将来その恩恵を受けるために、誰もが若い頃から国民年金を払い続けてきたはずだ。

しかし、その国民年金も、数年前から将来の運用を不安視されている。実際、国民年金保険料は、2017年度まで毎年280円ずつ引き上げられるなど、今後の運用への対策も取られ始めた。

そのような対策があっても、将来の国民年金における不安は消えない。「私たちが高齢者になったとき、年金を本当にもらえるのか」と疑問を持つ人も多い。そこで、年金関連の著書を多数執筆している、社会保険労務士の北村庄吾氏に、年金の未来を伺った。

このままだと、25〜30年で国民年金は破綻する

国民年金の未来を考えたとき、もっとも怖いのは年金を受給できないこと。つまり、制度が破綻してしまい「払い損」になることだ。北村氏によれば、その不安は限りなく現実的で、「今のままなら、確実に年金は破綻するでしょう」という。

「今の国民年金は、『世代間扶養』というシステムで運用されています。これはつまり、若い世代が高齢者の年金を支払っている仕組み。しかし、高齢化により世代間のバランスは大きく変わってしまいました。となると、世代間扶養システムでは確実に運用不可能でしょう」

若い世代が払ったお金を、高齢者が受け取るシステムで運用されてきた国民年金。このシステムは1960(昭和35)年から開始され、微調整はありながらも、基本的には当時の人口分布に基づいて作られている。

「1960年の時点では、65歳以上の高齢者1人に対して、11.2人の現役世代が支えている計算でした。しかし、2011年まで進むと、高齢者1人を現役世代2.7人で支える形に変わっています。今後もこの傾向は進み、2030年には、高齢者1人につき現役世代1.8人、2050年には高齢者1人を現役世代1.3人で見る予測となります」

このような状態を鑑みて、国民年金は保険料の増額が行われている。だが、「それでも破綻は免れない」と北村氏は指摘する。

医療の進化で今後も高齢化が進みますし、一方で少子化も並行しています。現状の引き上げでは計算が合いません。これからも、ますます払う人は少なくなり、もらう人は増えますから。となると、25年〜30年の間には、国民年金は破綻してしまうのではないでしょうか」

国民年金の破綻が25年〜30年の間に起こるとなれば、20〜30代の人が将来その恩恵を受けられないのはもちろん、40代以上の人たちについても、途中で年金の受給停止というケースが考えられるだろう。

第一ステップとしては、「受給年齢の引き上げ」

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料(25年版)」によれば、1960年における65歳以上人口の割合は、わずか5.7%。それが、2011年には23.3%にまで増えている。

平均寿命についても、厚生労働省の「平成25年簡易生命表」によれば、1960年は男性65.32歳、女性70.19歳だったのが、2013年には男性80.21歳、女性86.61歳へと伸びた。その分、年金の支払いは増えるわけで、このままの運用はあまりに厳しい状況だ。

「破綻をする前の段階として、まず受給年齢が上がってくるでしょうね。これは10年以内に起こる可能性も高いです。諸外国を見ても、日本より受給年齢の高い国は多く、アメリカは67歳、イギリスは68歳に設定されています。日本も確実に上がってくるでしょう」

受給年齢が上がることは免れなさそうだが、あくまで「それは第一ステップ」と北村氏は言う。同時に受給金額の引き下げなども起こり、より根本的な改革が行われない限り、最終的には25年から30年で破綻するというのが、悲しいかな、「現実的なシナリオ」のようだ。

年金破綻に備え、今から何をすべきか?

国民年金の破綻が濃厚となってきた今、現役世代はどうすればよいのだろうか。北村氏は「自分で何かしらの方策を行うことが必須です」という。

現役世代の方たちは、ほかの方法で年金を作らなければなりません。たとえば企業年金や個人年金などを使うのもいいでしょう。これらは所得税を免除されるので、『節税メリット』としても期待できます」

国民年金に頼れないとなると、何かしらの代替案を用意することが必要不可欠。北村氏によれば、実際にそういった準備をしている現役世代も増えているようだ。

「30代・40代の人でも、いろいろな方法で老後の対策をとっている人は多いですね。不動産についても、若いうちからマンションなどに投資している人も増えています。少しずつ、できる範囲で老後の資金を作っていくべきでしょう」

定年後の生活資金として考えられてきた国民年金。しかし、このままだと、そのシステムが崩壊してしまう可能性は高い。もしものときに路頭に迷わなくても済むよう、今から自分なりに対策を考えておくべきだろう。

北村庄吾さんプロフィール

1961年生まれ。社会保険労務士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。株式会社ブレインコンサルティングオフィス代表。「年金博士」として、テレビや雑誌で活躍。年金・医療保険等の評論家として問題点を追及している。

著書に、『定年前後のお金の手続き2015~16年版(Gakken Mook)』、『ど素人がとりもどす年金の本(翔泳社)』がある。