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会社員の仲川さん、子育て中のママでもあります。3年前に不動産投資を知って、半年前から本格的に投資物件を探すようになりました。実際の物件探しでは机上の勉強とは違い、思わぬ壁にぶつかります。果たしてその壁とは? 新人投資家にありがちな様々なお悩みを石原さんが1つ1つ丁寧に解決します!

はじめに

外国暮らしが長く、仕事でも海外へ行くことが多い仲川さんは、日本の秒単位の生活ではなく、ゆったりとした海外の暮らしに憧れています。不動産から得られる収入があれば、今よりもっと時間的にも金銭的にも余裕のある生活を送ることができると考え、物件探しに奮闘中です。

しかし、保証人もいない中での初めての投資。限られた条件内で出てくる物件情報は、土地勘もない遠方の築古物件ばかり。投資エリアの的を絞りきれずに悩まれています。

その他、不動産会社さんから上手に話を聞き出す方法や、値下げ交渉に応じて貰えるためのトーク術など、誰もが知りたい基本的なノウハウについて、石原さんがわかりやすくレクチャーします!

お名前
仲川美智子さん(仮名)
性別
女性
自己資金
900万円
ご職業
会社員
ご年収

600万円

居住地
東京都
ご自宅

自己所有でローン有

所有投資物件

無し

不動産投資経験
勉強歴3年

相談者のお悩み

幼少時代に海外暮らしの経験がある仲川さんは、自然に国際感覚を身につけていらっしゃいます。それゆえ、東京の分刻みのような生活よりも、ゆとりがある欧米のような暮らしを望まれているようです。

夢を叶えるためにも不動産から毎月得られる収入は願ってもないことですが、初心者の仲川さんは「保証人なし」「限られた自己資金」という制約があります。

そのため自身の条件に合う物件は、首都圏でなく地方となりました。実際に探しはじめると、土地感のない地方には不安を感じます。

こうして投資するエリアに迷われている仲川さん。また、売主さんへ快く値下げ交渉に応じてもらうにはどうすればいいのか、お悩みを抱えていらっしゃいます。

石原氏からのアドバイス(ダイジェスト)

○限られた自己資金で購入できる築古物件の耐久性に不安を抱いている
⇒しっかりと建てられてメンテナンスされた木造建築は法定耐用年数より長く持つ。またアパートは間取り上、柱の数が多いため一般住宅より地震に強い。

○投資エリア選びは、土地勘のない場所ばかりで常に判断に迷ってしまう
⇒現地へ出向いて下見をする前に、電話で複数の不動産業者へのヒアリングを行い、地域の状況を確認して、投資として勝負ができそうなエリアなのか見極める。

○値下げ交渉に快く応じてもらうにはどうしたら良いか
⇒銀行との交渉や、自身の情報は業者を通して逐一報告して売主を安心させる。情報を引き出そうとするだけではなく、こちらも誠意をもって接してみよう。

○物件購入後に賃貸管理や入居付けができるのか心配
⇒賃貸経営は入退去するのが当たり前の事業であることを認識すれば心配は減る。地元の市況に精通する賃貸のプロから、生きた情報が得られるよう心がけるべし。

限られた自己資金で購入できる「築古物件」の耐久性が不安……

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石原

仲川さんはどうして不動産投資に興味を持たれたのでしょうか。

仲川

ずいぶん昔にロバート キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』という本を読んだのがきっかけです。しかし、そのころの私は契約社員でお金もあまり持っていませんでした。

それで正社員になってからお金をコツコツと貯めました。

Point1 金持ち父さん貧乏父さん

アメリカの投資家、実業家であるロバート・キヨサキが、全く違うタイプである2人の人物の影響を受けて構築した、ユニークな経済論を展開。発売以来、ベストセラーとなり、何冊も同シリーズの書籍がある。2013年には改訂版も出版された。

石原

自己資金を拝見すると、ざっと1000万円近い貯蓄があるのですね。勉強はいつからされていましたか?

仲川

私は不動産投資を知った3年前にすぐ勉強をスタートさせました。でも書籍が中心です。そのときは行動するまでに至りませんでした。ネットで見て「そうかぁ~」という感じで私にはまだ無理かな、と。その当時は株式投資をやっていました。

石原

株は最近成功している人が多いですね。今もやっているのですか?

仲川

今はほとんどの株が上がっていますからかなりいい感じです。リスクを取らないように手堅くやっています(笑)。

半年前から実際に動き始めてみて「やはり知識とは、自分が動いてこそ落とし込めるものだ」と実感しました。

石原

ご賢明ですね。金融機関にも相談歴があるのですね?

仲川さん

はい。何行か相談に行き、それはそれで勉強になりました。

石原

そうですよね。実際に行動して身に付くものです。

これは優秀な人に多いようですが、知識だけで頭でっかちになってしまい、怖くて動けなくなる人もいます。僕はどちらかといえば自分で動いて開拓していくタイプです。時には痛い目にも遭いますが、その方が身になりますよ。

ところで仲川さんは保証人がいないようですね。保証人なしの自己資金900万円で物件を買うとすれば、どれくらいの規模をイメージされていますか?

仲川

高くても3500万円以内です。最初は石原さんに影響を受けて1500万円くらいで探していました。でも1000万円台のアパートでは築年数が古いものが多く、地震に弱そうで、ちょっと不安になりました。

ちゃんとお金を借りられたら3000万円台でしっかりした物件を買いたいと思います。

石原

古いアパートに対して、そのような印象をお持ちなのですね。実は、柱の数が多い木造アパートは、一般住宅よりもよほど地震に強いと言われていますよ。もしもアパートが倒壊するなら、戸建てはそれよりもっと先に倒れてしまうでしょうね。

「木造でなければいけない!」など構造へのこだわりはありますか?

仲川

物件価格が安いと聞いているので、木造と軽量鉄骨を中心に考えています。木造アパートが地震に強いのであれば安心しました。

石原

ところで、東京都内にご自宅を購入されているようですが、そのとき不動産投資は考えていなかったのですか?

仲川

実は自宅を先に買うか、投資物件が先に買うかで大いに悩みました。ただ既に不動産投資の勉強をしていため、金利についてはかなり安く借りられました。

石原

あまり一般の方がやらないような金利交渉も踏み込んでされたのですか?

仲川

はい。提携銀行だけでなく、いろんな金融機関へも打診しました。その結果、ネット銀行での融資に決めました。ローン金利が0.65%です。

石原

さっそく知識を役立てていますね!

仲川

おかげさまで。金利を友人に教えたら驚いていました。本当に投資用の金利と比べたら雲泥の差だと思っています。ただ不動産投資のことを考えて、現金は残しておこうと、自己資金は使っていません。

石原

では自宅を担保にすることは難しいかも。でも十分に自己資金があるから心強いですね。

どれくらいの規模まで目指したいという目標はありますか?

仲川

自分が仕事を辞めてもいい状況まで、年収500万円が目標です。

石原

そうですか。可能であればお仕事を辞めてもいいと計算されているのですね? そのあとは何か実現したい夢があるのですか?

仲川

今の仕事は子供のころから夢でしたが、実際に子育てしながら……と考えると勤務以外の時間まで仕事に費やし、気苦労の多い世界です。両立はとても厳しく感じます。今後は少し気楽に働けるようになりたいです。

投資エリア選びは、土地勘のない場所ばかりで
常に判断に迷ってしまう

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仲川

物件選定にあたっては、利回りを重視したいですが、そうすると田舎の方の物件まで広範囲に探さなければなりません。

石原

そうですね。利回りはどのくらいで考えていますか?

仲川

やはり15%以上は取りたいです。

石原

かなり僕の本に影響されているようですね(笑)。

仲川

その通りです(笑)。石原さんの本は教科書のように読ませていただいています。

石原

ありがとうございます。ところで物件はこまめに探されていますか?

仲川

本格的に探しはじめたのは半年ほど前からで、それまでは仕事で忙しく、本を読んだり少しセミナーに出たり、たまに物件を見に行く程度でした。今は時間に余裕ができたので、しっかり探して現地調査にも行っています。

石原

利回り15%で探してみて物件はありましたか?

仲川

あるにはあります。でも、いざ現地へ行ってみたら山と山の間の谷間だったり、今にも壊れそうな家だったり。「リフォームで何とかなる!」というお話は聞きますが、先ほどの耐震性もそうですが、初心者としては不安が拭えません。

石原

遠くまで車で行かれるのですか?

仲川

いいえ、電車でコトコト(笑)。

石原

物件が出るたびに遠方へ電車賃をかけ、時間をかけて行くのは大変ですね。

僕の場合はヒアリング……まず電話インタビューをします。地元の管理会社さんにお話を聞き、最初にどんな環境なのかイメージを浮かべるようにします。

例えば同じ町内でも、川を挟んで東と西のエリアでは人気度も全く違ったりするものです。西側ばかり栄えていて、うっかり東エリアの町に住んでしまうと、橋を渡るだけで通勤・通学に大変な時間を費やしてしまう。

そのような町の背景事情にしても、地元に住んでいる人ならではの情報です。まずはエリアについてイメージをつかむことが大切です。

仲川

土地勘がまったくない地域というのも不安要素です。

石原

土地勘のあるエリアはどの辺りですか?

仲川

西武池袋線や山手線近辺なら地理的になんとなくわかります。でも、それは自分が住んだことがあるからというレベルです。

自分が住みやすいからと判断しても、たくさんの人がそこに住みたがるのか自信はありません。それに自宅の周辺のアパートを見て歩きましたが空室が目立ちます。
利回り15%を目指していくと、どんどん田舎の方へ遠ざかるので不安が募ります。

石原

僕も東京出身ですが途中から千葉へ移りました。最初のころ、実家があるエリアでアパート経営をするなんてイメージが湧きませんでした。それで地元の周りは避けて違うエリアを探しています。

その後、ピンポイントで僕の実家の近辺を投資エリアに選び、かなりの高利回りで成功した投資家さんがたくさんいました。

なにせ地元だから僕も投資家の目線で見極められず、勝手に「ここは賃貸に向かない!」というイメージを作り上げていたのです。意外と知っているようで「何も知らなかった!」という経験は僕自身にもありますね。

僕の友人に温泉地の出身者がいます。関東では保養地として有名な温泉街です。彼も僕と同様に「自分の故郷が投資先に向いているわけがない!」と思い込んでいたのです。

でも現実にその温泉街は高利回りでした。そうであるにも関わらず、彼は全く検討していません。そこよりも端から見れば「少し分が悪いのでは?」というエリアばかり投資していました。一方、他の友人はピンポイントでその温泉街の投資物件を購入しました。

実際にどうなったのか経過を見ましたが、見事に再生させ高稼働する高収益モデルとして大成功でした。温泉地は山肌が多く平らな土地は希少です。だから駐車場にとれるスペースも限られる。それで地元の人たちは「アパート投資なんて向いていない!」と思い込むそうです。

でも旅館にお勤めの人や、年金暮らしをする年配者の需要が多かった。そのような現実を後から学びました。

仲川

なるほど。思い込みは禁物ですね。

物件を見に行く前に、いろんな不動産屋さんへ電話で町の状況を確認し、投資として勝負ができそうなエリアなのかを見極めた上で現地に見に行った方がいいのですね。

じつは、業者さんへのヒアリングも何回かやってみたのですが、思うようにいかず毎回自分の会話力の無さに落ち込みます。

石原

相手が悪いときもありますからね。僕の場合は電話をする時間にこだわりました。

おそらく夕方など忙しい。昼時も普通の会社と同じように食事へ出かけたりするだろうから、そのような時間帯は避けるべき。あるいは週末の稼ぎ時もNGです。

それと皆さんメールだけで連絡しがちですが、まだまだメールより電話で会話をする方が優先されると思います。

仲川

メールでの問い合わせで返信がないことも結構あります。

石原

相手もメールで文章を書くのが面倒だったり、いろんな理由で後回しになってしまう。だから直接に電話をしてエリアの情報だけでなく、売り物件があるのか、他の大家さんの状況なり、いろんなお話をすればいい。

「では、いくら位の予算なら?」と、もしかしたら情報を流してくれるかもしれません。あとは「情報だけ欲しい!」だけでは嫌がられるし、警戒されてしまう可能性もあります。

やはり、相手に対して失礼のないように接するのがポイントですね。

例えば「物件購入を検討していること」、「管理会社さんを探していること」を事前にお伝えしておきましょう。

相手の貴重な時間を頂戴するわけですから「少しお時間よろしいですか?」と丁寧に気づかうことです。そのとき相手が忙しそうにしていても、別の日に改めて応対してくれることがありますから。

人間関係はちょっとした細やかさで、結果が大きく違ってくるものです。世間には育った環境なのか交渉事が上手な人もいれば、経験の浅い方、人とあまり接しないなど、職種によってもバラつきがあるものです。

そこは会社の看板を外し、真っさらな個人として謙虚に向き合いたいですね。そういった心構えは、よく相手から見られていると思います。