みなさん、石川貴康です。
前回ご紹介したとおり、現在は久しぶりのアパート2棟の決済準備中です。実は今頃は決済されているはずでしたが、そうならなかったのです。その辺の顛末をお伝えしながら、私が銀行とどのように付き合っているか、最近の銀行の動向などを垣間見ていただければ幸いです。
最初に融資を打診した銀行の対応:人が変われば融資姿勢も変わる
この3月に向けて、私は融資の打診をしていました。融資の打診をした物件は、不動産業者から優先的に回してもらった物件でした。場所は茨城県のつくば市。つくばエクスプレスが開通してから、人口が増え、開発が進んでいる地域です。茨城県では唯一と言ってよい、人口が増えている地域でもありました。環境が良く、これからも市場性が高い物件と判断したものです。
まず、M銀行に融資を持ち込みました。M銀行は、最近売却により融資の一括返済をしたばかり、7年にわたるお付き合いに区切りがつきました。
そのM銀行は昨年組織体制が変わり、私の担当支店が変わったので、営業マンが何度か挨拶に来ました。その営業マンは熱心で、「是非融資を」というので、返済後初めてその支店に相談に行きました。すると、彼の上司が出てきました。
担当者は融資に乗り気で、私が投資を拡大していく意向があるので、上司に面通しをする行為を取ったのでした。その場でも、担当者は融資を積極的に行いますので、是非うちに最初に相談してください、と熱心だったのです。
しかし、私は上司に会った途端に、「こりゃだめだ」と思いました。見るからにお役人風で、まともに話が成立しないのです。不動産の融資に関しては何の知識もない様子。世の中の流れ、ビジネスの動き、投資動向、お金の流れ、どれをとっても会話ができないのです。挙句、「投資不動産の融資は慎重にしています」と。
「ああ、鼻から貸す気がないんだ。自分のわからないことに融資をすること自体、この人には無理だな」と思って、早々に話を打ち切りました。この上司は、いったいどういう案件なら融資するのだろうか、と疑問に思うような人でした。
年齢だけ上がって上司にはなったものの、自分の意思はなく、内規に従った処理だけを行うのであれば、ビジネスを展開しようとする私のような人間にとって、付き合う価値はありません。
そのうち、融資とは関係ない野球やゴルフの話を始めようとしたので、時間のムダだと考え、早々に話を打ち切りました。こちらから、「今回は購入検討中の案件でしたので、またお伺いします」と挨拶して支店を出ました。当分この支店には来ることはないでしょう。
人が変われば融資姿勢も変わる。また、新しい担当者と上司を開拓しなければなりません。
2行目に融資を打診した銀行の対応:
長い返済期間は魅力だが、行内の方針が制約に
さて、1行目に失望したので、別の銀行に打診しました。この銀行は福岡の支店で融資を受けたのですが、福岡支店の担当者に連絡をとって、東京の支店の担当者を紹介してもらいました。
この銀行の良いところは、耐用年数の残存期間を超える、長期間で融資をしてくれることです。もちろん、その分金利は高いのですが、返済期間が長いため、十分キャッシュフローが取れるのです。
予想通り、金利が若干高めですが、長期の返済期間を出してくれます。しかし、いくつか制約が出ました。行内の内規で融資対象拠点として東京、神奈川、千葉、埼玉を優遇していて、他の県は担保評価が厳しいというのです。茨城はその要件に外れています、と。
実際に不動産投資をしている人間からすると、東京、神奈川、千葉、埼玉ではくくりが大きすぎて、基準として大雑把すぎる内規だと思います。たとえば、千葉と言っても広く、人口減少が続き、不動産投資に適していない地域は広大です。埼玉も、神奈川も同様です。
基準から外れたつくば市の方が開発が進み、地域が整備され、人口が増えているのですから、ここ数十年では千葉、埼玉、神奈川のほとんどの地域より有望な地域と私は判断しています。国、県、市の投資状況、JRの投資状況、企業の進出、研究所への頭脳の集積を見れば、数少ない将来性がある地域なのです。
なんとも大雑把すぎる内規ですが、外の人間がどうこう言っても仕方がありません。少し待って、本店とも交渉してもらったところ、やはり優遇地域外で担保評価が低くなるため、自己資金を多く入れてほしいとの話でした。当時、借地を買ったばかりで、あまり手持ちの現金を使いたくない時期でした。ここで提示された自己資金を用意することはできなくはないのですが、躊躇しました。
いったん私の方から融資申し込みはペンディングにしてもらいました。
3行目に融資を打診した銀行の対応:やる気を失った担当者
さて、2行目と同時期に相談にいった3行目。既に数億の融資をしてくれている銀行です。私のメインバンクと言っても良い銀行です。
いつもの担当者に話を持っていくと、なんだか歯切れが悪い。開口一番「がんばってみますが、最近方針が変わり、難しいかもしれない」と言いだす始末。なんだか、最初からやる気がありません。
方針が変わったというのは、行内で不動産融資に対する厳しさが増しているということらしいのです。ここでもやっぱりアベノミクスはインチキだったか! と思いながら、どの様なことかと聞くと、「鉄骨構造はすべて木造と同じ扱いになり、返済期間が長くとれず、担保価値も出ない」とのこと。
それでも何とか融資を切り開いてくれるのがあなたでしょう? と思いました。電話で話していると、「もうすぐ異動かもしれません」とも言う。
うーん、なんだかやる気がありません。私への融資が数億円になったので、天井に来ているのか、それとも行内で何か失敗をして立場が弱くなったのか、いろいろ類推してみましたが、類推の域を出ません。
動きの速い人なので、さっそく物件は見に行ってくれて、「これは買いです」というお墨付きはくれる。しかし、今回は融資に自信がないと言う。
そうはいっても、頑張ってみますと言うので書類を送り、融資検討をしてもらいました。融資時期は年度末なので、成績的には欲しいところじゃないかとも思いました。もしかしたら目標は達成しているので、来年に回したいということかとも類推しました。しかし、そうであるなら、「来年度でも良いですか?」と打診してくれるはず。
なんとか審査に上げてもらいましたが、案の定厳しい回答。残念ながら今回は融資を引くのをあきらめました。というよりも、もう、この担当者とのビジネスは当面ないなと思いました……。
不動産業者は予算達成、決済時期延期OKの連絡
こうした銀行の動きはすべて不動産業者には伝えています。3行目に至っては、もともと不動産業者から紹介されて付き合いが始まっているので、不動産業者と銀行で情報交換をしてくれています。
不動産業者としても年度末に売却して、成績にしたいだろうと思い、確実なそうな3行目に持っていったのですが、めずらしく難航している様子を横目で見て、業者の方から「もう予算は達成したので、4月以降の決済で良いですよ」との連絡がきました。
過去、私は買うと言った物件はすべて買ってきたので、この不動産業者としても私に売り続けたいらしく、社内の壁になってくれています。そもそも私が買い付けをやめれば、他の営業マンがこの物件を売って自分の成績にできるのですから、「その物件をよこせ」との声が強いのだと思います。
しかし、その営業マンは私が買うと言ったら買うとタンカを切って、押しとどめてくれています。そうした姿勢に応ずるためにも、融資を通さなければなりません。
実は、早い段階でも政策金融公庫にも打診していた
この物件を紹介された最初に、実は政策金融公庫に打診に行っていたのです。融資は可能、ただし自己資金を数千万円入れてほしいとのことであきらめたのでした。この金額は2行目のハードルよりも高く、準備できないことはなかったのですが、キャッシュがすっからかんになるのは嫌だったので、見送ったのでした。
結局2行目に戻り、現在審査中、何が何でも買う予定
しかし、融資相談を始めて3カ月が過ぎ、時間がたったこともあって、手元に現金も貯まり始めました。この物件の購入はあきらめず、結局2行目に戻って、正式に稟議をあげてもらうことにしました。
現在稟議中で4月中には結論が出るでしょう。思った通り返済期間が長く、キャッシュフローが出ますから、自己資金さえ出せば行けます。既に、要求された自己資金の準備も終えました。あとは結果待ちです。
しかし、この自己資金をキープするために、かなり節約中です。もともと贅沢はしない方ですが、今はとにかく1円でもキャッシュアウトしないように、日々節約しています。
金融機関は不動産投資のパートナー、メンテナンスと開拓は大事に!
今回はいつもと違って融資が難航しています。世の中、アベノミクスとかで異次元緩和されているのではなかったのでしたっけ? なぜ、融資が難航するのか不思議なものです。
一方、某メガバンクからは、私の会社に対して融資要望はないかと電話が来ています。ということは、貸し先を探している様子。お金はジャブジャブある感じですから、変ですね。
営業の電話をいただいたので、こちらのメガバンクへの融資申し込みも考えましたが、不動産投資とは違う本業のコンサルティング会社に対する融資ニーズの打診ですから、また話が面倒になりそうなので、見送りです。
しかし、担当地域の変更、銀行の方針の転換、担当者のやる気など、いろいろな変化に対応していかないと銀行の融資が受けられたり、受けられなかったりして大変です。
最近、近くに来たら、ちょっと顔を出すとか、現状の投資状況や今後の投資方針を伝えるといった行為ができていないので、銀行との関係作りのメンテナンスが必要だと痛感しました。
一方、新しい金融機関の開拓をしておかないといけないと強く感じました。たくさんの持ち札を持っていないと、買いたいタイミングで買えなくなりますから。
銀行の業界全体で融資姿勢のトレンドが変わったということはなさそうですが、不動産価格が高騰しているため、肌感覚として融資が通りにくいという印象はあります。
さて、今年は金融機関開拓の年かもしれませんね。なんだか雑談みたいなコラムになってしまいましたが、結構銀行に気軽に相談している姿が垣間見えたのではないかと思いますが、いかがでしょう。来月にはこの物件の決済ができていることを願っています。
この連載について
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外資系コンサルティング会社、シンクタンクに勤務し、現在は独立のコンサルタントとして活躍中の石川貴康さん。
本業を維持しつつ、本業の信用力を活用して不動産投資を継続していく「2足のわらじ」を実践する方法を伝授します。
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