けーちゃんコラム大最終04272015

すでに不動産投資で成功を収めている著名現投資家に「もし、これから不動産投資をはじめるのなら、どんな物件を選ぶのか」をインタビューする当企画。第2回は、行動力抜群の投資家けーちゃんこと、寺尾恵介さんにお話をお伺いした。

不動産投資をはじめようとしたとき、一体どんな行動をとったらいいのだろうか。

「まずは物件100件を見る!」当時、そう決めて実行したという寺尾さん。

不動産投資をはじめて4年でサラリーマンをリタイヤ、その軌跡をブログで綴り人気を博した人気ブロガーでもある。果たして、寺尾さんが今選ぶ1棟目の物件とは?

高速バスに乗って3カ月で100件の物件見学

北陸地域を中心とした中古一棟マンションと、首都圏(神奈川・埼玉・東京)と名古屋に限定してファミリータイプ区分マンションに投資をしている寺尾さん。

不動産投資を知って勉強をはじめたのが2003年のこと、実際に物件を探しはじめたのは2004年に入ってからだとか。

「当時は転勤で富山に住んでいましたが、東京の区分マンションを購入しようと考えていました。都内の区分マンションは、今ほど値段は高騰していませんでしたが、当時でも表面で10%あるかないかの利回りでした。

利益は少ないけれど安定して手間をかけずに運営できる……というところに魅力を感じて購入したいと思ったのです」

今のようにインターネットだけで簡単に物件検索ができなかった時代、地方に住みながら一体どのように物件探しをしたのだろうか。

「当時は富山県の高岡市に住んでいまして、情報はインターネットで調べていましたが、当然『楽待』のような便利なサイトはありません。不動産会社のオフィシャルサイトに物件情報が出ていたので、区分を取り扱う会社を常にチェックして、気になる物件があれば問合せを行って、資料を送ってもらっていました」

そうして物件情報をコツコツと集めたら、2週間に一度、週末を使って上京。地道な物件調査を繰り返したそうだ。

上京したら、だいたい15件程度の物件を調査しますので、資料も15件分集めないといけません。当然、売れてしまう物件もあるわけで、実際には2週間に15件ではなく、もっとたくさんの情報を集めていました。今と違って情報収集は手間がかかりましたね。

もちろん、どんな物件でもいいわけではありません。駅からの距離や築年数など自分なりの目安で選定していました」

また現地に行っても、今のようにスマホでその場ですぐ検索して、地図アプリで簡単に辿りつくということはできない。そのため、資料が揃ったら、あらかじめパソコンで交通機関を調べて効率よく見学できるルートを作成していたという。

「そうやって平日に準備をしておいて、金曜日に仕事が終わったら、高岡市を23時に出発する深夜バスに乗ります。おおよそ一晩かけて移動して、朝5時に池袋につくのです。

今でもあるのですが、サウナ付のカプセルホテルには1時間ショートコースがありまして、お風呂だけ入れるのですね。入浴料1000円払って、お風呂に入ってさっぱりしてから物件見学をしていました。

東京は6時前から電車が動いていますから助かりました。午前中に3~4件見て、午後にも3~4件見て、夜はまたカプセルホテルに宿泊します。そして、翌日も同じようなスケジュールをこなして、また深夜バスに乗って高岡へ戻るのです」

明け方に高岡についたら、そのまま出勤するというハードスケジュールを寺尾さんは3カ月間こなしたそうだ。

2004年の4月から6月の3カ月の間、月2回ずつ上京して100件の物件を見ることができました。物件調査の100本ノックですね(笑)このやり方が正しいとは思いませんが、おかげで見る目が養われたと思います」

そうして、いよいよ1棟目の物件を購入することになる。

1棟目は1980万円の木造アパート

「はじめて物件を購入したのは、2004年の8月25日でした。不動産投資活動を開始したのが2004年早々でしたから、購入まで8カ月かかったことになります。

結局購入した物件は、東京ではなくて、当時住んでいた場所からほど近い富山県射水市(いみずし)にある築14年の木造アパートで、物件価格は1980万円でした」

1棟目

富山県射水市の木造アパート

都内で100件もの物件を見学した寺尾さんだったが、結局1棟目に選んだ物件は意外にも地方の木造アパートだった。都内で物件を買うことはなかったが、東京に物件調査へ行ったことは決してムダにはなっていないという。

何のために物件をいっぱい見るかといえば、比較できる対象をつくるためです。商品を高い・安いということを判断できるのは、比較があるからです。比べるものが無ければわかりません。100件の物件を見ることによって自分の中に比較のデータベースができるわけです」

実際に買った物件の利回りは20%。築古でもないのに高利回りにはワケがあった。

「いってみれば、典型的な人気のない物件です。築年数はそこそこだったのですがバストイレはよくある3点ユニットタイプで、ベランダもないような低スペックです。当然、客付に苦戦することは目に見えていました」

1棟目から難易度が高そうに思えるが、一体どうして、その物件に決めただろうか。

利回り10%の都内区分マンション、利回り20%の地方木造アパートと比べたときに、運営するのが区分マンションに比べて倍大変でも、利益が倍になるならいいじゃないか……そう考えたのです。今でも同じような考え方で、空室の多い物件を購入しています。実際には空室はなかなか埋まらないし、滞納もありましたし大変でしたよ」

また、なぜ当時、RCや鉄骨のマンションではなく、木造アパートを買ったのだろうか。

「その時にRCマンションに融資がでるとは思えなかったのです。自己資金は900万円でしたが、なけなしの全財産でした。当時、オーバーローンが出ることはなかったので、使い切るわけにはいけません。今だったら、400万円を使えば1億円の物件も買うことができます。その点でいうと、今の融資状況はすごく恵まれていると思います」

当時は不動産投資に融資を出す銀行が少なく、寺尾さんは融資付けに苦労したそうだ。結局、国民生活金融公庫、略して「国金」と言われた現在の日本政策金融公庫から1700万円の融資を受けることができた

「今は期間15年までは比較的簡単に融資を受けられますが、当時は融資期間10年が精一杯でした。しかし利回りが高いため、10年でも返済することができました

1棟目のアパートは6年間保有して地元の投資家に売却しました。6年というのは、短期譲渡から長期譲渡(短期と長期では譲渡税率が変わる)となるタイミングです」

売値は買値よりは下がったけれど、残債が減っているため、寺尾さんの手元には1000万円という大金が残った

「1000万円の現金はこれまで一度も手にしたことのないお金です。一生懸命貯めた自己資金は900万円ありましたが、1980万円の物件価格に対して、諸費用など含めて400万円程度を使っていましたから、手元にあるのはほんの少し。

融資を受けて一時的に大金を手にしても、すぐに支払いに当てますから、1000万円を手にしたときはちょっと感動しましたね(笑)」

この現金を元手に物件規模を増やしていくきっかけができた。寺尾さんは、キャッシュフローは大事な要素だが、物件を売ることで投資家としてレベルアップしていくのだという。

「今、資産規模が10億円以上になっているようなメガ大家さんは、売却を行うことによって手元資金を厚くして次へ買い進んでいるのです。結局そういうことなんだ……と自分で売却を経験して、はじめて気が付きました」

もし、1棟目の物件を購入するのなら……

そんな寺尾さんが、もしこれから1棟目の物件を購入するのであれば、どんな物件を選ぶのだろうか。

「僕は当時、月100万円のキャッシュフローが欲しいという明確な目標を持って不動産投資をはじめました。

同じ目標を持ってサラリーマンの立場で、今から1棟目から購入するのであれば、自己資金をなるべく温存する方法で、できるだけ大きな物件を購入すると思いますね。自分の当時の属性ではメガバンクは断られたので、地方銀行さんを狙います

寺尾さんの検索条件は以下となる。

寺尾さんが教えてくれた物件の検索条件はコチラ!

・エリア:神奈川県、北陸三県(福井県、石川県、富山県)
・築年数:指定なし
・利回り:10%
・駅徒歩:指定なし
・価 格:5000万円以上

今すぐ、上記の条件で「楽待」の物件を検索してみる!

 

基本的に決めた条件に沿って探すのではなく、決めた条件の中で割安な物件を探すというイメージだとか。

「利回りは条件によって変わってくるので、絶対値でなくどれだけ割安な物件かを見極めるべきだと思っています。

駅からどれだけ近くて築浅であろうと、その条件に対して利回りが低ければ買いません。だから駅から遠ければ、遠いなりの金額で買えればいいのです。もちろん、同じ10%の利回りなら、築年数が新しい方がいいでしょう」

物件種別はRC造か鉄骨の中古1棟マンションで、築年数や駅からの距離は気にしないそうだ。

「要は駅から遠かったら、それなりの利回りであればいいのです。また地方では駅はあまり重要視されず、駐車場を確保する方が大事ですし」

また融資については、住んでいる地域によって大きく変わるという。

「今、1棟目を購入すると考えたとき、当時と同じように富山に住んでいたら、東京方面か地元でしか融資はできません。

これはアドバイスになりますが、地方から首都圏の物件を購入するのはいいですが、地方から別の地方で買う必要は全くありません。というのも、住んでいる地域で買ったほうが融資もつきやすいし、よい情報も得られやすいからです」

そう考えると首都圏に在住する投資家は有利となる。東京近郊に住んでいれば、金融機関が数多くあり、どこの物件も狙えるからだ。また検索条件以外にも物件探しのチェックポイントがあるという。

自分にとって有利なフィールドで戦うということです。

融資でいうのであれば、先ほどの住んでいる地域もそうだし、サラリーマンであればサラリーマン属性を評価する銀行、自営業なら自営業者をよく扱ってくれる銀行が有利でしょう。不動産会社に対してもまったく同じ考え方です。

でも実際には、なぜか自分の不利なフィールドで勝負している人が多いのです。
『金利が高いから地銀は嫌だ、メガバンクがいい』なんて言う方も多いですよね。

たしかに1棟目から低金利のメガバンクで融資を受けられたらいいですが、そういう銀行を恒常的に使っている投資家さんは、銀行から信頼を得られるだけの金融資産や実績があるものです。

サラリーマンで1000万円の貯金がある人は珍しいですが、資産規模の大きい不動産投資家になれば1億円の貯金がある人はけして珍しくありません。仮に年収1000万円で貯金が1000万円のサラリーマンが、1億円の貯金がある人と同じフィールドで戦おうとすれば圧倒的に不利だと思います。

中国の故事に『鶏口牛後(けいこうぎゅうご)』がありますが、これは不動産投資においても大事なポイントです。小さくても自分の有利なフィールドでトップを走ることです」

高利回り物件を探し出すには「見る目」が必要

また寺尾さんのように、不動産投資で経済的自由を目指す新人投資家へアドバイスをいただいた。

「僕と同じような中古のRCマンションを狙っている人に向けたものですが、高い利回りを得ようとすれば、古い物件だったり、冴えない場所にあったりするものです。それは仕方のないこと。

その場合、地方だと平米あたりの賃料の単価が低いので、原状回復を1つとってもリフォーム代が割高なります。ある程度の築年数だとしても、買ってすぐに大規模修繕をしていると、絶対に割に合いません。そのためには、建物のクオリティを見極める力が必要です」

○外壁塗装・屋上防水は何年後に迫っているか?
○設備の入れ替えにかかる費用は?

そういった知識があれば、その物件を買うことによるメンテナンス費用がどれくらい必要なのかがわかる。

「建物の修繕に関しては、よほどボロボロでない限り銀行は評価しません。同じように銀行がフルローンで評価した物件でも、5年間、大規模修繕の費用がかからない物件もあれば、数カ月以内で大規模修繕が必要となる物件もあります。保有期間中に大規模修繕をしてしまったら、収益が半減してしまいます

不動産投資の書籍で勉強される方は多いと思いますが、建築やリフォームの本というのもありますから、読んでみるといいと思います」

外壁塗装をやっている会社のHPには、『こうなったら直しどき!』などと写真入りで説明されている場合も多い。

平米単価も出ていますから概算もわかりますよ。そうやって建物を見る力、リフォーム費用について勉強をしてください。大規模修繕があるとどれだけ収益を圧迫するかということがリアルにわかります」

立て続けに2棟購入、2015年に加速する投資スピード

寺尾さんが不動産投資をはじめた10年前と今を比べると、不動産投資を取り巻く環境は一変している。雑誌やテレビなどでも気軽に取り上げられるようになった現在と比べて、当時は不動産投資を行いたいという現役サラリーマンはごく僅かだった。

「昔買った人は今よりずっと物件が安くて良かったといいます。

たしかに物件についてはそうですが、そのお買い得な物件を、当時買うことができたのかといえば、それは別の話ですよね。

というのも1棟目のエピソードでお話したように、10年前と今では融資の状況が違います。逆に今は物件情報が簡単に探せますから、掘り出し物はなかなか見つけにくい環境ですね」

その代わり、すでに成功パターンがあるのが大きな特徴でもあるという。

「年収○○万円のサラリーマンであれば、○円規模のRCマンションが可能だから、○銀行で融資を引いて購入する……といったような成功パターンに則って買うことができます。

いってみれば10年前は道を切り開かなくてはいけなったけれど、現在、道はすでに整備されています。ですから間違えずに道を選べば良いだけとも言えます」

そんな寺尾さんの投資10年目の近況をお伺いしたところ、年始インタビューを行った2014年の12月末から考えると大きな動きがあったそうだ。

「今年は物件の購入ペースが速いです。2月神奈川県秦野市で木造アパート、3月石川県小松市で1棟RCマンションを購入しました。合計の取得金額が1億6000万円程度でしょうか。秦野市は表面利回り32%、リフォーム後に21%になる予定です。小松市は15%を予定しています。

僕はもともと空室の多い物件を安く購入し、埋めて価値を上げる投資手法を行っています。神奈川は31室がすべて空室で、石川の物件は33室中12室が空室……つまり43部屋の空室を抱えることになります

現状では2カ月かかった神奈川のリフォームが終わり、順調に募集をしています。石川はまだリフォームの見積もりをとっている段階です」

神奈川

神奈川県秦野市の木造アパート

石川

石川県小松市のRCマンション

2月、3月と立て続けに物件を購入したうえに、7年間所有した富山県のRCマンションを売却した。

富山のRCマンションは空室率40%で購入して7年間所有しました。売却金額は買値よりは高いものの、地方なので相場はさほど値上がりしていません。

ただ18年借りていたローンを7年間支払っているので、所有している間の収益に加えて残債も減っていました。そのためキャピタルゲインを得るというよりは、まとまった現金が手に入ったという感覚です」

富山の物件は寺尾さんが所有している物件のなかでは、それほど利回りの良いものではなかった。むしろ入居率もそれほど高くなく、リフォームにお金がかかる……そんな厄介な物件であった。

しかし、不動産投資というのは単純な値上がりだけではなく、月々の家賃でインカムが入ってくるもの。所有してローンを返済しているうちに自然と含み資産が貯まっていったそうだ。

「僕がいつも言っていることなのですが『満点の物件を狙うよりも早く買う!』という話です」

高利回り物件を上手に運用している寺尾さんだが、時間が生み出す不動産の力こそ、不動産投資の最大のメリットという考えを持つ。不動産投資は単純な値上がりだけでなく、ローンを返済しているうちに、自然と含み資産が生まれることも大きな特徴なのだ。

大きな儲けを狙って物件探しに何年もかけるよりは、まずは一歩を踏み出す……それが成功する不動産投資家への近道かもしれない。

「投資家けーちゃん」こと寺尾恵介さんプロフィール

けーちゃん大手保険会社に12年勤務後、2004年8月から不動産投資をはじめ、2008年3月までに7棟94戸の不動産を購入し、サラリーマンを卒業。

空室の多い高利回り物件を狙って購入する手法で成功し、取得物件の平均利回りは19%。一般的にはリスクが高いと言われる地方物件への投資にもかかわらず、常時90%以上の入居率をキープしている。

現在は大家業のほか、無料webマガジン『満室経営新聞』(http://manshitsu.info/)の編集長を務める。

著書『満室チームで大成功!全国どこでもアパート経営』(筑摩書房)ほか。

ブログ:投資家けーちゃん ハッピー&リッチBlog
http://toushika-keichan.com/

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