アパートローンが通らず、現金購入を決意

大学卒業後、新卒で入った会社が企業買収に遭い、1年余りで解雇されてしまったと語る優待×大家さん。その後、ニートやフリーター生活を経て、一部上場のIT企業に拾われたそうだ。

「上場企業といってもITの世界は競争が激しく、勝ち組と負け組に明確に分かれています。私が働く会社は後者のほう。長時間労働を強いられ、ブラック企業と紙一重ですね。おまけに給料は安く、勤続9年目の今でも年収300万円。年によっては300万円を切ることもありました

薄給にあえぎ、将来に対する不安は募るばかり。そんなときにサラリーマン大家ブームが到来する。『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)の本をすでに読み、不動産投資への関心が高かったため、いざ行動を決意。物件購入に向けて第一歩を踏み出したのだが、待っていたのは厳しい現実だった

「某不動産会社に相談したら、アパートローンを利用できないと言われてしまい……。自己資金の少なさと属性の低さが要因だったと思います」

アパートローンが閉ざれたならば、お金を貯めて現金で物件を購入するしかない! そう決意した優待×大家さんは、節約に専念。実家暮らしで家賃を払わずにすんだのも大きいが、会社の飲み会を極力断ったり、株主優待を使って生活費を浮かすなどして数年間、資金を蓄えたのだ。

「購入対象にしたのは中古の区分所有です。アパート1棟ともなると数千万円もして貯められませんが、区分は価格帯が安く、自分でも手の届く物件があると思いました」

区分から戸建てにシフト。指値を使って格安物件の購入へ

こうして地元・埼玉県川口市の中古区分を615万円で現金購入。念願の大家業をスタートさせ、1年後には再び現金で同市の物件を取得している。

ただし、次に選んだのは区分ではなく戸建て。一体なぜなのだろうか?

「ボロ物件投資で有名な加藤ひろゆきさんの本を読み、ボロの戸建てが格安で買えることを知ったからです。加えて戸建ては区分と違って土地付き。最終的には土地が残り、新築や実需への売却、更地にして駐車場にするなど出口戦略を立てやすいのも魅力でした」

ボロ戸建て第1号の価格は450万円。もとは600万円で売りに出されていたものを、指値したそうだ。

「セットバック(敷地後退)のため、マイソク(物件の概要、間取り図などをまとめた資料)に載っている敷地面積より狭くなる点を指摘したら、値引きに応じてもらえました。物件のマイナス面を交渉材料にするのが指値の有効策と言えるでしょう」

手持ち資金が尽きて万事休すも、融資の活路を見出す

この1号の経験から、ボロ戸建てを指値で安く買い、リフォームして貸し出すやり方に手ごたえを得たという優待×大家さん。以後そのスタイルで進むことを決めたのだが、そこでまた大きな問題に直面する。

区分、戸建てと購入した時点で自己資金が底を尽いてしまったんです」

現金がなければ2号目の戸建ては買えない。万事休すの状態に焦りつつ、何か手立てはないものかと探り、2号目の戸建ては地元の信用金庫、3号目と4号目の戸建ては政策金融公庫、次にはアパート1棟へと飛躍してノンバンクからの融資を実現したのだ。

「一部を除き、物件購入費用とリフォーム費用の全額を融資で賄えました。融資の活用により物件の獲得スピードも上がり、家賃収入も増えていきましたね