プチリノベ術最終_05082015

こんにちは。デザイナーのみなやまくみこです。

「手間をかけずに低コストで行える」リフォーム術、第2回目はなんと、1000円以下で出来るプチプライスのリノベテクニックがテーマです。

昨今、不動産投資家さんの間でいろいろな空室対策が行われています。その中でも、IKEAや楽天市場などで売っているアイテムを使ったリノベは人気があります。

そもそも、何のためにプチリノベをするのかですが、それは入居者さんに「選んでもらえる部屋」にするためです。

入居者さんは部屋を探すときに、不動産会社の案内で複数件のお部屋を内覧します。その数は平均で3件程度、なかには1日で5件も見てまわる人もいるそうです。

大抵の人には予算がありますから価格帯が同じということで、同じような印象の部屋に案内されることが多いようです。同じ価格帯で同じような間取りの部屋が複数。そんな中でいかに「印象に残る部屋」にするのかが「選んでもらえる部屋」になるポイントになります。

もちろんお金をかけてフルリノベーションすれば、素敵なお部屋に生まれ変わることはできますが、賃貸物件ではリノベーションの費用対効果を考えなくてはいけません。

その結果、内見に来た人の、目につく部分に“アクセント”を置いて、印象付けるということが価格を抑えて行える上に、もっとも効果的なポイントです。

では、どこにアクセントを置いたらいいのでしょうか。具体的にいうと次の3箇所です。

① 玄関に立ってみえるところ
② リビングの壁面
③ キッチンや洗面所など水回りの壁面

まずドアを開けて部屋に入ったとき、そこからパッとみた印象は大事です。

また、メインとなるリビングは、これからの暮らしをどれだけ思い描けるのか、入居者さんがイメージを膨らませるような部屋で合ってほしいですね。

もちろん、毎日使うことになるキッチンや洗面所はとくに女性のチェックポイントです。

こうした印象付けでよく使われるのはアクセントクロスや、第1回目「塗るだけ簡単! 狭い部屋もオシャレにDIYできる“黒板塗装”」でご紹介した、黒板塗料などのペイントがあげられます。

大きな壁面にアクセントをつくるのは効果的ですが、フルリノベまでとはいかないまでも、それなりに費用と時間がかかります。

そこで、今回はより簡単に、安く、オシャレにできるアイテムとして、壁面に取り付ける「フック」をご紹介します。

オシャレさを演出! フック=収納ではありません!

フックといえば、物をかける収納具ですが、ここでの使用法は収納ではなくて、あくまでアクセントです。そのため、重いものをかけられるなどの実用性ではなく、部屋のイメージにあっているかどうか、という点を重要視しましょう。

例として、アンティークの雰囲気を出すには、アイアン製(鉄製)のフックがおすすめです。

①

アイアン製のフック

アイアン製のコートフック680円、アンティークの雰囲気を感じませんか?

シンプルで、どんな部屋にも合わせやすく、かつデザイン性が良いのはIKEA製のフックです。2ピースで1499円と、コストも安価です。

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IKEA製のフック

なかには最初から重たいものがかけられないシリコン製のフックもあります。デザイン性も良く重みで壁が傷むことがないので、賃貸用にはおすすめかもしれませんね。こちらは972円です。

③

シリコン製のフック

④

取り付けも簡単

フックを取り付ける前に、壁面をチェック!

まず、フックを取り付ける壁面を決めます。取り付ける壁面は、先ほどご紹介した3つのポイントを考慮し、効果的に見えるところを選びます。

次に、取り付ける際は壁に柱などの下地が入っている場所に取り付けるのが基本ですので、壁に下地が入っているのか、入っていないのかを確認します。確認する方法としては、職人さんのように手でたたいて音の違いで見分ける方法がありますが、まったくの素人では、よくわからないでしょう。

そこで下地が入っているかどうか、間柱がどこに入っているかを調べるための道具をご紹介します。

その名も、「下地探しどこ太(710円~)」という商品。これは壁に指して使うのですが、下地の有無を簡単に判断することができます。下地がない場合は、スプリングで戻り壁に刺さりませんが、下地のある場合は、下の写真のように刺さった状態になり、それは石膏ボード下の木部に刺さっている証拠で、下地があるということです。軽くてかんたんで女性でも気軽に使える便利な道具です。

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下地探しどこ太

下地がない壁(石膏ボード)にはフックは取り付けられないの?

木部や下地材の入った壁なら普通にドライバーでビス留めすればOKですが、自分の取りつけたい壁面に下地のない場合(石膏ボードの場合)もあります。下地がないということは中が空洞になっているため、ネジやクギを打つことができません

でも、そんな場合でもフックはつけられます

そんな時には「ボードアンカー」というものを使います。ネジをはめ込むためのネジ穴を作ってくれる優れもので、フックだけでなく、棚などを壁に取り付ける際にも重宝します。ボードアンカーにはたくさんの種類があります。

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ボードアンカー

左より、① トグラー、② トリカ、③ トリプルグリップ、④ カベロックです。

今回は ③ の樹脂製のボードアンカーである、昭和貿易のトリプルグリップ(TG#8グレー、20本入り 597円~)を使用しました。下記のような特徴があります。

・長所:施工が容易
・短所:12ミリボード以外では十分な強度が出ない

ネジの頭の直径が4ミリ、ネジ穴が6ミリのタイプは、普段良く使うドライバーの軸径(ドライバーの太さ)とボードアンカーの穴あけの大きさがほぼ同じとなるため、使い勝手がとても良いのが特徴です。

早速作業を開始します。まずドライバーで、ビス留めをする位置に穴を開けます。そして、その穴にボードアンカーを差し込み、ハンマーもしくはドライバーの柄の部分でトントン叩き、中にしっかりはめ込みます。

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ボードアンカーをはめ込む

あとはフック固定用のビスを打込むことで、ボードアンカーの先端部分が開き、石膏ボードの内側で固定します。

写真のように、ドライバー1本で女性でも出来る作業です。

⑧

ビスを打込む

今回は、3つのポイントのうちの1つ、水回りで、洗面台のミラーと照明器具に合わせたフックを取り付けてみました。

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オシャレな洗面台が完成

洗面台はコスト面から、量販メーカー製の収納を重視したものを使う大家さんが多いです。が、それゆえ平凡、どこにでもあるなどの印象を与えがちです。

たしかに水回りはこだわりすぎるとコストがかかってしまうのですが、洗面台の収納を外してミラーやフックを別に設置するだけで、ぐんとオシャレに仕上がります

これだけで、他の物件と差別化された「印象に残る部屋」にすることができます。

知っていると便利! フックとりつけの小技

下地のない石膏ボードの場合で、タオルなど重いものを掛けない場合や、使う頻度が少ない場合ならば、ボードビスを使うまでもなく「ねじパテ(10cc 380円~)」を使う方法もあります。

ビスを打つ時に少し穴をあけて、「ねじパテ」を付けてビス留めします。これは接着剤のような効果があり、フックを取り付けるビスと石膏ボードを固めることでしっかりと固定が出来ます。

また、一度取り付けたフックがグラグラしたときの補修用としても使えます。

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ねじパテ

タオルハンガーが○○に大変身!

その他にも、壁を使ったデザイン収納として、タオルハンガーを2本使ったシューズラックもおすすめです。

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IKEA製タオルハンガー

680円のIKEA製タオルハンガー(現在、廃番ですが、イメージに近いタオルハンガーを探して、チャレンジしてみて下さい!)を使用しています。

玄関廊下の壁面にIKEA製のタオルハンガーを2本取り付けてスリッパラックにしました。パンプスのヒールをかけることもできるので、簡易シューズラックとして使えます。

シューズラックにすると壁は汚れますので、壁面の素材を汚れのふき取りやすい、ダイノックシートなどにすることをおすすめします。

少しの工夫で、お金を掛けずに印象に残る部屋づくりをするためには、大家さん目線ではなく、入居希望者からどのように見えるのかをしっかり考えます

実用的な住みやすい部屋であることはもちろん、ちょっとした遊びやデザインは入居を決めるポイントを高めます。

今回ご紹介したアイディアは、とってもかんたんで時間も手間もお金もかけません。皆さん、ぜひチャレンジしてみてくださいね!