不動産交渉術最終_04292015

不動産投資は、不動産仲介業者、銀行マン、リフォーム業者、管理会社など、様々な人と関わり、交渉する場面が多くある。それらの関係者と良好な関係を築き、少しでも多くの情報を仕入れることは、後の利益につながる重要な事柄だ。

そこで今回は、“不動産業者”から情報を仕入れるコツについて、『しぐさで見抜く相手のホンネ』の著者であり、日本ビジネス心理学会副会長でもあり、デジタルハリウッド大学の教授を務める匠英一氏に取材した。

物件を購入する際、有力な情報源となるのが、この道のプロフェッショナルである不動産業者の営業マン。彼らから、条件の良い物件や売主に関する活きた情報を聞き出すには、どのように接するのが効果的なのだろうか?

性格の異なる3タイプの不動産会社営業マンを定義づけ、30~40代の男性投資家が、それぞれとの結びつきを強めるための方法について解説していただいた。

1.海千山千のベテランタイプ~小細工は無用!~

豊作
交渉相手:ベテラン営業マンのAさん
60歳の男性。
郊外にある不動産会社の社長。
面倒くさがりなのが玉にキズだが、顧客には親切。
いわゆる人情家である。

「ベテラン営業マンのAさんは、ずいぶんと年上の相手であり、経験も豊富そうです。

そのため、こちらが萎縮しないようリラックスできる場所で話しをうかがうのが良いでしょう。本当なら自宅に招ければベストです。あえて自分の部屋の様子を見せることで、距離を縮めることもできますので。

こちらからさんAさんの会社へ出向く場合には、他の社員が出払っているタイミングを見計らうなど、自分が緊張しない環境作りを心がけてください

また、こういったタイプの方は元々、人との関係づくりに長けていますから、基本的に会話の主導権は委ねてしまった方が得策です。おそらく雑談がメインになるでしょうけどね(笑)

交渉の場面では回りくどい駆け引きは避け、不動産投資の目標や目的を正直に語ってください。こちらが手の内をさらけ出せば、向こうもそれに答えてくれるでしょう」

なるほど。人情味を感じる相手には、お互いオープンな関係になるように努めることが肝心なわけだ。

注意点としては、書類の作成などを急かさないことです。Aさんは細かい事務処理が不得手でしょうから、時間がかかるのは仕方がないこと。“作業をさせられている”と思われた場合には心象が著しく悪くなりますし、無理をさせることで思わぬミスが生じることもあります。

あせらず、じっくり付き合う関係を築きましょう。結局、それが最も効率的な結果につながると思いますよ」

2.生真面目な営業マンタイプ~交渉には、質問力が問われる~

神取
交渉相手:生真面目営業マンのBさん
45歳の男性。
大手不動産会社のフルコミッション営業マン。
プライドが高く、とっつきにくいタイプ。
ただし身内に対する面倒見は良い。

「生真面目営業マンのBさんの場合、交渉を進める場所は賑わっているレストランなどではなく、静かな喫茶店が良いと思います。真面目な性格の方には神経質なタイプが多く、余計な情報があるとどうしても気が散ってしまいがちなのです。

また雑談も得意ではないでしょうから、こちらから具体的な内容の質問をするように心がけましょう。その際5W1Hの内、なぜ(Why)を使用しないよう意識してみてください。いきなり“なぜ?”と核心に迫ると、考え込みやすいBさんは会話をストップさせてしまいますから。

聞き出したいことの周辺事情、ストーリーやバックグラウンドから攻めれば、自然と疑問が解消される“答え”を語ってくれるはずです」

つまり、このタイプの人とは親しくなるために段階を踏む必要があるわけだ。

「最初は多くを語らなかったBさんも、次第に“伝えたい”という欲求が増していくでしょう。そんな時には手や足の動きを観察してください。個人差はありますが、会話をはじめた時よりも動作が大きくなっているはずです。このタイミングで重要な情報を聞き出してみましょう。

しかし交渉をはじめるのは、一度大きくなった手や足の動きが落ち着いてからがベストです。その頃には十分に話し合い、お互いが分かり合えたと認識しているはずですから。“できるだけ期待に応えたい”という想いも生まれていることでしょう」

3.大手不動産会社の若手社員タイプ~互いに利益になる関係を築く~

横手
交渉相手:若手営業マンのCさん
30歳の男性。
大手不動産会社の平社員。
サラリーマン気質で作業のように淡々と業務をこなす。
若者らしくデジタルには強い。

「若手営業マンのCさんとの交渉の場は自分の職場など、周りに味方がいる環境が良いです。彼と良好な関係を築くためには、何かを語ってもらうより、有益な情報を与えて、リスペクトされるのが近道。だから、どこに何があるかを熟知している、自分のテリトリーに誘い込むことが大切なのです。

またインターネットで簡単に調べられる情報を、なんでもかんでも質問するのはNG。情報収集力の弱い相手にやさしく接するキャラではありません。過去に成功を収めたプロジェクトについて、グラフや図を用いて手短に語るのも有効的です。

まずは尊敬と信頼を獲得し、相手が“恩に報いたい”と感じるまで待ちましょう」

手間がかからず、むしろ与えられることの方が大きいと感じれば、恩に報いたくなるのが人の性。まずはCさんにとって有益な人物を目指すことが、良好な関係を築くための秘訣なわけだ。

「あとはスピード感のある対応が大切です。すぐには答えられない内容も、メールなどを通じて極力早めに伝えましょう。こまめに連絡を取り合う関係が築けたなら、何も言わずとも速報性の高い有力な情報が届くようになると思いますよ」

さて今回、匠教授に語っていただいたのは、人間の思考を研究する認知科学に基づいた攻略法だ。誰が相手でも同じ対応をするのではなく、営業マンのタイプ別に攻略法を変えることで、よりスムーズに交渉が進むかもしれない。有利な物件を紹介してもらったり、こちら主導で商談を進めるためにも、ぜひ実践してみてはいかがだろうか。

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