はじめに

ビル全景

楽待会員の皆さま、こんにちは。
清陽通商株式会社の栗本唯と申します。

今回より楽待さんのサイトでコラムを連載させていただくことになりました。

僕は大阪で不動産仲介会社を経営しています。
一般の住宅などは扱っておらず、一棟収益アパート・マンションの仲介に特化した会社です。

楽待にも物件をたくさん掲載していますし、楽待会員の方は当社からの提案メールを受け取られた事のある方もおられるかもしれません。

取り扱い物件のほとんどは関西圏の物件で、だいたい年間2~30棟仲介しています。

そんな僕がこのコーナーで書きたいことは、業者の目で見た不動産投資業界やマーケットのこと。
特に関西のマーケットの特徴やトレンドについては力を入れて書いていきたいと思います。

怪しくも魅力ある関西収益物件業界の裏事情、是非お楽しみください!

さて、第1回は「違法建築を買っても良いのか?という話題から。

「大阪違法物件」は生まれた背景は?

楽待に物件情報を掲載していると地元関西の方だけじゃなく、首都圏など遠方の方からのお問い合わせもたくさんいただきます。

遠方にお住まいの投資家の方とお話ししていると次のようなことをよく言われます。
「大阪ってさあ、違法建築が多いんでしょ?そういうの買ったら与信毀損しちゃいますよね!」

実際にどうなんでしょうか?
まず、建築基準法のおさらいです。

建物を建てる時、建築基準法や都市計画法といった法律で定められた条件通り建てる必要があります。

建物を建てる計画がある時、最初に建築確認申請を自治体に出します。
自治体はその申請が法令等に適合しているかを調べ、問題無ければ確認済証を発行します。

この確認済証の交付を受けると建築の着工が出来るようになります。
建物が完成すると完了審査の申請をします。
問題無ければ検査済証が交付され、建物を使用しても良いということになります。

ところが、このルールをきっちり守ると問題が出てくるケースがあります。

例えば、この土地にマンションを建てようとしたら容積率の関係で3階までしか建たない。
でもそれじゃ収支が合わないのでなんとか4階に出来ないか?というケースです。

この場合、駐車場の面積は一定範囲までなら容積率に換算しないというルールを使って、1階が駐車場の4階建のマンションで建築確認申請を出す建築会社がありました。

それで確認済証の交付を受け4階建のマンションを建築した後、1階の駐車場を店舗や住居にするのです。
そうすると利回りは上がりますが、当初の申請のものと違う建物が建っているので検査済証は交付されません。

本来ならそういう建物は使用してはいけないのですが、大阪は取り締まりが緩かったので多くの建築会社がそういうマンションを建てました。

平成初期頃までは金融機関が「こうすれば利回りが上がる」と施主や建設会社をそそのかしていたそうです。
(某銀行支店長・談)

これが「大阪は違法建築が多い」の背景です。

素人は「検査済証有、利回り」を買い、プロは「違法高利回り」を狙う

じゃあ、こういう物件を買ってはいけないのか?ですが、地元では気にする人はあまりいません。

なぜなら普通に融資が出るからです。

容積率オーバー物件には融資をしないと決めちゃうと大阪で融資出来る物件はほとんど無くなるので銀行は貸出先を無くします。

メガバンクや地銀の一部は貸さないというところがありますが、
多くの地銀、信金、信組などは検査済証があるか無いか、遵法性のチェックなどをあまりやっていません

以前、容積率200%の土地に400%弱という超容積率オーバーの物件を扱ったことがあります。
さすがにこのレベルになると融資付けに苦労しましたが、最終的に某金融機関でフルローンが出て成約しました。

最近は「容積率オーバーは2~30%くらいまでにしてね」という金融機関がいくつか出て来たので、そのくらいの範囲なら融資はあまり問題ないと思います。

融資が出る以上、「出口戦略」に困る事もありません。

ちなみに正確な統計はありませんが、感覚的に大阪で築10年以上の物件の7~80%は検査済証の無い容積率オーバーの物件のようです。

特に高利回り、高キャッシュフロー物件の大半は遵法性に問題のある物件であるケースが大半です。

なぜなら「検査済証有は高く売れる」という神話があるから値段が下がりません。

楽待の関西の物件のページをよく見るとタイトルに「検査済証有り!!!」ってビックリマークが3つくらいある物件広告があったりします。

検査済証あり!!!でも安心できないその理由とは?

ほとんどの物件が検査済証なんて取得していない容積率オーバー物件なので、あるとそれが営業面での訴求効果があると思われています。

実際に初心者の投資家の人は安心と思って高く買ってくれたりしますし。

ただ、注意しなければいけないのは「検査済証を取得した後に増築したので実際は容積率オーバー」と言う物件も少なくないということです。

そういう物件が「検査済証有!!!」って書いて売られているのです。

きちんとした業者なら契約時はそのあたりをきっちりと調べて重要事項説明書にはきちんと記載しますが、最初の売り出しの段階で、先物の物件だと普通はそこまで調べません。

そういうわけで遵法性が良くわからないまま流通している関西の収益物件マーケット。

他の地方とはちょっと違うんだなと認識していただいて物件探しをしていただければと思います。

 第1回目のコラム、いかがでしたでしょうか?

ご意見・ご感想をいただければ幸いです。

次回は「モータープールって何なのさ?知られざる関西の不動産用語と取引慣習」について書きたいと思います。お楽しみに!