とある決済の時の話です。

我々仲介会社は指定時間の15分くらい前に銀行に行くようにしている人が多いのですが、その日はギリギリの到着。

銀行の会議室に通されると既に売主、買主、売り側の仲介会社、司法書士と関係者の皆さんは既に来られておりました。

お客さんより遅く着いたので少々気まずい思いをしながら席に座って改めて室内を見渡すと、部屋の奥に知らないおっちゃんが座っています

少々人相の悪いそのおっちゃん、間違っても司法書士の先生ではなさそうです。

強面のおっちゃんの正体は?

とりあえず挨拶しとこうと名刺交換したのですが、屋号が「○○エステート」と不動産業者っぽい名前。

うむ??契約書や重要事項説明書に載っていない、初めて聞く屋号だけどこの取引とどういう関係がある人なんだ?

お客さまもこちらを見て何やら言いたそうな雰囲気。

売り側の業者に小声で聞きました。
「あの人、誰?」
「売主さんとの色々な交渉をまとめてくれた人です。言ってませんでしたっけ?」

聞いてないし・・・

決済そのものは何事もなく終わりました。

奥に座っていた○○エステートのおっちゃんは売主と売り側業者から現金が入っている封筒を渡され、ご機嫌で去って行きました。

会社に帰って調べると、あのおっちゃんは宅建業者ではなく、いわゆる不動産ブローカー。
無免許営業なので免許番号はありません。

ご存じない方もおられますが、不動産の仲介は売買も賃貸も宅地建物取引業法という法律で免許を受けた宅建業者しか行ってはいけないことになっております。

ところが、宅建業の免許を受けるには色々な制限と責任があるので、無免許で営業する人も少なくありません。

例えば、宅建業法では社員5名に1名以上の割合で専任の取引主任者を置くことが義務付けられています。
つまり、社員の5名に1名以上は宅建主任者である必要があります。

独立したけど宅建は持ってない、かといって宅建を持っている社員を雇う余裕が無い、こういう人は年輩のブローカーには少なくありません。

あと懲役を受けたり、破産して5年を経過していない人は宅建免許を受けることが出来ません。

以前は立派な不動産会社を経営していたけど倒産、本人も自己破産したのでとりあえず生活のためにかつての人脈を伝って無免許ブローカーをしているという人も多いです。

最近まで刑務所に入っていたというブローカーにも会ったことがあります。

最近多発する自称・不動産コンサルのブローカー

不動産業は決まれば大きなお金が動きますので、いろんな人が集まってくるんですね。

ただ、我々宅建業者は仲介に介在する以上、宅建業者としての様々な責任や義務が発生します。

ところがブローカーは手数料だけ貰って、何の責任も負いません。

それどころか、自分の望む手数料が得られなかったからと言って夜中に買主の自宅に押しかけて手数料を払え!とゴネたブローカーの話なども聞いたことがあります。

こういうブローカーのおっちゃんは業界のコンプライアンス強化の動きと共に減少傾向にあります。

ただ、一方で新たに不動産ブローカーを始める人も増加しており、色々と問題になっているようです。

特に収益物件の場合、決まれば大きな手数料を得れるということで、個人投資家の間でコンサルタントを名乗りブローカー業務を始める人が増えているようです。

裁判沙汰になるようなトラブルも多数発生してるようで、業界団体でも行政と協議しながら対策を検討しているようです。
皆さまも十分ご注意ください。

ちなみに当社が加盟している社団法人大阪府宅地建物取引業協会の広報誌「TOMORROW OSAKA」の5月号に次のような記事が載りました。

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(以下転載)
~不動産ブローカーに手を貸していませんか?~

 昨今、不動産取引のおいて、宅建業の免許を持たずに仲介業を行う「不動産ブローカー」が横行していることが大きな問題になっています。
 彼らは無免許であるにもかかわらず、「不動産コンサルタント」(不動産コンサルティング技能登録はしていない)等と称して、主に収益物件の情報を持って元付業者と客付業者の間を走り回り、「企画料・コンサルティング料」等の名目で報酬を受領しています。
 無免許で仲介業を行って報酬を得る行為は、宅建業法第12条第1項に抵触するだけでなく、詐欺罪にも問われかねず、取引関係者全てに迷惑を掛ける恐れがあります。
 また、彼らブローカーのみならず、元付業者等として関わった免許業者についても、相手が無免許であると知りながらその行為に手を貸した場合、「宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為(無免許事業の幇助)」という業法違反【宅建業法第65条第2項第5号違反】に問われる可能性があります。
 会員は、免許業者として宅建業法等を遵守し、こういった違法行為には一切手を貸さない様にすることが、消費者保護や不動産業界全体の信用力の向上、そして何よりも自己防衛に繋がることを肝に銘じていただいた上で、業務に従事していただきますようお願い致します。
(ここまで)

 不動産コンサルタントと称するブローカーが跋扈するということは、我々正規の宅建業者がお客さまから信頼を得ていないということなので、猛省が必要です。

そういうわけで、収益物件のご用命は正規免許業者の当社へ!と思いっきり我田引水なオチで今回のコラムももおしまい。

次回をお楽しみに!