こんにちは。税理士兼大家の鵜之沢巧です。

皆さんは物件の出口をどのように考えているでしょうか?
今回は構造別の出口戦略の話です。

出口戦略の種類

出口戦略の種類は一般的には下記があると思います。

・中古物件として売却
・更地にして売却
・建て替え

厳密に言えば、建て替えはその後保有し続けるならば出口というわけではありませんが、一旦新しい物件となり仕切り直しとなりますので、出口に含めて考えます。

中古物件として売却

この際に大事なのが、買主側が融資を引けるかどうかです。
特に返済期間が問題となることが多いでしょう。

返済期間の上限は法定耐用年数までとしている銀行が多いので、木造の耐用年数22年を考慮すると、次の買い手は返済期間を取るのが難しいということになります。

最近は法定耐用年数越えの木造に対して長期融資をする銀行もありますが、そういった銀行は金利が高いことが多いです。

買主側がこういった金利の高い金融機関から借りたとしても、メリットが出る金額で売りに出さなければ売れません。

一方でRCの法定耐用年数は47年あります。
仮に築20年の中古RCを取得、5年運用して売却をしたとしても、買主側からするとまだ耐用年数が22年残っています。

22年というと新築の木造の耐用年数です。
このくらいの築年数のRCなら融資付けは比較的容易なので、売却時も高値で売れる可能性があります。

というわけで中古物件として売却ならばRCに軍配が上がります。

更地にして売却・建て替え

これらの出口戦略をとるときはまず、土地の価値が建物の解体費用以上あることが前提となります。

例えば更地にして売却する場合、2,000万でしか売れないのに、建物の解体費用が3,000万かかってしまったら損してしまいますよね。

建て替えは土地を直接売却するわけではないですが、近くの同じような土地が2,000万で売っているのに、わざわざ自分の建物を3,000万で解体するなんてことしないですよね。

ここで解体費用ですが、もちろん地域やお願いする業者、現場の状況によって大きく異なるとは思いますが、ざっくりした目安で言うと下記のような感じだと思います。

木造:2~3万/坪
RC:4~5万/坪

当然、頑丈に作られているRCの方が解体費用は高いです。

また、木造の場合は2階建ての物件が多いですが、RCの場合は3階建てや4階建て以上の物件も多く存在します。

となると、RCは土地の面積に比して建物の面積が大きくなり、解体費用もかさみます。

一例をあげると、100坪の土地に木造2階建てが建っていたケースとRC4階建てが建っていたケースを考えてみます。

1階あたり80坪だったとすると、木造は合計床面積160坪、RCは合計床面積320坪となります。

解体費用の単価を木造3万/坪、RC5万/坪とすると解体費用は以下の通りです。

木造:160坪×3万=480万
RC:320坪×5万=1,600万

同じ広さの土地に建物が建っていたのに、RCの方が3倍以上解体コストがかかってしまいます。

もちろん、RCの方が4階建てなので部屋数も多く、家賃も木造よりも取れたでしょうから、トータルの稼いだ金額では多いかもしれません。

しかし、この解体費用のことを考えると、RCはほどほどの築年数で売り抜けた方がいいように思っています。

よほど立地がいい価値のある土地ならば別ですが、あまり持ちすぎると、最後に解体費用というババを引くことになってしまいます。

以上から、更地として売却・建て替えを考えるならば木造に軍配が上がります。

 

さて、自分の物件の出口はと言うと…どうしようか迷っている物件がいくつかあります。
ここら辺はもう少し物件の運用状況を見ながら決めていきます。