こんにちは。税理士兼大家の鵜之沢巧です。

サラリーマンをリタイアして専業大家として生活したい、と考えている人も多いと思います。
ではそのためにはどのくらいのキャッシュフローが必要なのでしょうか?

大事なのは税引き後のキャッシュフロー。でも…

実際に生活費等として使える金額は家賃収入から経費を差し引き、更に税金を収めた後の金額となります。

所得税や法人税は、出た利益の金額によって税率が変わってきます。

また、私のように築古木造を購入している方は、建物の耐用年数は4年間となり、5年目からは減価償却費がなくなり、いわゆるデッドクロスの状況になります。

デッドクロスになると、税引き後のキャッシュフローが大幅に減少します。
一方で法人で物件を購入している方は、いくつか節税方法があり、上手く対策していけば、税金を抑えることができます。

こういった事情も考慮していくとなると、税引き後のキャッシュフローの計算はかなり複雑になってしまいます。

私の場合は細かいことを考えていてもしょうがないので、税引き前のキャッシュフローの30%を納税分として考えています。

現実的には今は減価償却を多くとれているので、納税は30%より少なくなっています。
一方で前述の通り、デッドクロスを迎えた後は、何か対策をしないと納税は30%超となってしまうかもしれません。

月いくらのキャッシュフローが必要?

これは人それぞれでというのが正直なところです。

目安としてサラリーマンの給与額程度を目指している方は多いと思います。
月々の自分の生活コストから逆算して計算している方もいらっしゃるでしょう。

ただ、リタイアはキャッシュフローから生活費を賄えるだけでは成り立ちません。

生活費以外に大規模修繕のための積立や、リタイア後も物件を取得していきたいという方は、次の物件のための自己資金も溜める必要があります。

また、家賃収入は年々下がり、空室率も高くなっていく傾向にあるというところも考慮する必要があります。

その他、リタイア時の年齢や借入額、残りの返済期間等も関係してくるでしょう。

ギリギリの計算でリタイアしてしまうと、少し計画が狂うだけで、生活が破綻してしまいます。

私自身はリタイアするつもりはないですが、仮にするとしたら、税引き後で100万/月のキャッシュフローは最低でも欲しいと思います。
(税引前のキャッシュフローですと142万/月(100万÷0.7)となります)

特に100万の根拠はないのですが、ここから生活コストを差し引いて考えると、次の物件購入(数千万規模の小さめの物件)のための自己資金くらいは年間で溜まるかなという感じです。

あとは生活コストのうち多くを占めているのは自宅の家賃という方も多いと思いますが、リタイア後は会社の近くに住む必要もないので、家賃を下げられるという方もいらっしゃいると思います。

リタイアを考えている方はこのような点を考慮しながら、まずはキャッシュフローの目標額を決め、それに向けてどのように物件を購入していくのかを考えてみるといいと思います。