金融機関の融資審査基準が大きく変わってくると容易に予測できます。
現在、金融機関が不動産投資家に対して融資をする際には、各行の「貸出基準」に則って審査が行われています。
不動産投資の貸出基準の主なるものには、以下の3つがあります。
①属性(年収、保有する資産)
②物件の積算評価
③物件の収益評価(収益還元法)
金融機関によって、上記①から③のどれを重視するかは手法が異なります。
例えば、積算評価が7、収益評価が1、属性が2の割合で評価する金融機関もあれば、積算評価が2、収益評価が2、属性が6の割合で評価する金融機関もあります。
これらの評価基準は全て定量的評価であり数字で表すことが出来ます。且つ融資時点で取得できる数字になります。
数字で表すことが可能なため、各金融機関の融資審査も機械的に出来ます。
極端なイメージでいえば、上記①,②,③の数字をコンピュータに入力することで、機械的に審査結果(融資額や融資期間及び金利等の数字)を出すことが出来るようになっています。
賃貸住宅経営者としての資質が重視されるようになる
しかし、物件価格の高騰や賃貸マンションの供給が急増しており、各金融機関が不動産投資への融資を「少し行き過ぎた」と感じ始めた現在は、上記の①,②,③の基準だけでなく追加での基準を設けてくることが容易に想像されます。
それは、一般的な中小企業向けの事業融資の審査基準と同様なものが付加されてくると考えるのが自然です。
一般の中小企業への事業融資の場合には、定性評価(数字にできない評価)として、経営者の資質を重視しています。中小企業は経営者で決まるともいわれるくらい大事な部分です。
経営者としての資質で重要なファクターは、「熱意」「志」「ビジョン」「評判」「交友関係」「事業に対する経験や知識」「事業計画」等です。
今後、金融機関が新規融資の審査を実施するにあたっての審査基準は、属性、積算、収益還元の3つに加えて、「賃貸住宅事業の経営者としての資質」がこれまで以上に大きなウエイトを占めてくると考えます。金融機関は面接等によってこれを判断することとなるでしょう。
新規投資を考えている方は、以下のようなことを改めて整理して金融機関向けのプレゼン資料にまとめておくことをお勧めします。
A.なぜ、賃貸経営をするのか?
B.賃貸経営で何を目指すのか?
C.賃貸経営を通じてどのように社会に貢献するのか?
D.なぜ、自分がそれを実施することが可能なのか?
E.5年後や10年後の財務状況は、どのような計画なのか?
これらの説明がキチンと出来ることが、厳しい時代になっても条件の良い融資を引き出す手法です。決して「儲かるって聞いたから」「楽をしたいから」等の不純と思われるようなことであってはなりません。
AからCは、自分自身の背景から不動産経営を志す「ことば」を考える必要があります。
Dの「なぜ、自分がそれを実施することが可能なのか?」については、賃貸住宅経営者としての実績が一番よいのですが、これから始める人には実績はありませんので、知識や能力を本やセミナー、講演等でどれだけ勉強したのかが説明できると良いでしょう。また、大家仲間やメンターがいるならば、困難発生時でも仲間やメンターとで知恵を出し合って足りない部分を補うことが可能であることをアピールできることも重要になります。
Eの「5年後10年後の財務計画」は、5年後10年後の財務状況として総資産、純資産、自己資本比率をどのようにするつもりでいるかの計画がアピールできるとより良いと考えます。
最後までお読みいただき誠にありがとうございます。
根本 伸之
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